
情報整理ツールの代わりにAIを使う方法。散らばったメモや資料を、Geminiで表とフロー図にまとめる
2026/09/17
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
情報整理ツールの代わりにAIを使うなら、散らばったメモや資料をGeminiの入力欄に貼り、「何のために整理するのか」を一言添えて頼むのがいちばん簡単な方法です。
比べたいなら表、流れを見たいならフロー図、手順を伝えたいならマニュアルの形で出してもらいます。

どの形にするかは、情報の量ではなく、目的の側から選びます。
迷うときは、比べたり集計したりできる表から始めます。
情報整理ツールの代わりに、AIで散らばった情報を整理する手順
情報の整理は、次の5つの手順で進めます。
1. メールや議事録、チャットの文章をコピーして、Geminiの入力欄に貼る
2. 何のために整理するのかを、一言で書く
3. 表・フロー図・マニュアルのうち、目的に合う形を指定する
4. 情報が足りない項目は「不明」と書くよう頼む
5. 出てきたものを元の情報と見比べて、違う所をチャットで直してもらう
貼る文章に顧客名や個人情報が入るときは、先に社内のルールで入れてよい情報かを確かめます。
線引きの考え方は、生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするにまとめてあります。
Geminiに貼るプロンプトの例は次のとおりです。
次のメールと議事録を読んで、請求書を発行する業務の流れを整理してください。
目的は、誰から誰に作業が渡るかを確かめることです。
担当ごとに列を分けた表にして、各作業の待ち時間と、例外の分岐も書いてください。
情報がない項目は『不明』と書き、推測で埋めないでください。
出てきた文章は、回答の下の「共有とエクスポート」からGoogleドキュメントに移せます。
表を含む回答は、表の右下の「Google スプレッドシートにエクスポート」でスプレッドシートに保存できます。
どちらもGeminiアプリのヘルプにある操作です。
スプレッドシートを開いたまま使うなら、右上の「Gemini に相談」から表を作って挿入する方法もあります。
手順はGemini in Google スプレッドシートのヘルプにあり、Google Workspaceラーニング センターでは、ドキュメントやGmailでの要約や整理もGeminiに頼めると紹介されています。
どの機能も、所属する組織が対応していることが前提です。
プロンプトは、最初から完璧に書く必要はありません。
一度整理させて、足りない項目や見たい切り口が分かったら、チャットで追加を頼みます。
業務でそのまま使えるプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にもまとめています。
目的から選ぶ、フロー図・表・マニュアルの3つの形
「あの件の経緯、どこに書いてあったっけ?」という声が上がるのは、情報がないからではありません。
メールと議事録と口頭の説明が混ざって形がそろっていない、時系列でしか並んでいない、業務の流れが見えない、という状態になっているからです。
いちばん損失が大きいのは、構造が見えないことです。
構造が見えないと、改善の余地も見えません。
とはいえ、情報を集めて整理して図にするのに数時間から数日かかるので、どうしても後回しになります。
同じ情報から、次の3つの形が作れます。
フロー図
表
マニュアル
フロー図は、業務の流れと、誰が何をするかの受け渡しを見るときに作ります。
表は、複数の対象を比べたり集計したりするときです。
マニュアルは、手順を人に伝えるときです。
目的を先に決めておくのが要点で、何のために整理するのかが決まっていないと、どの形にするかも決まりません。
もちろん、最初に作るのは1つの形だけです。
3つを同時に作ろうとすると、結局どれも中途半端なまま残ります。
フロー図・表・マニュアルの作らせ方
3つの形は、それぞれ渡すものと書かせることが違います。
フロー図は、業務の説明(口頭でも構いません)と実際の記録、関係者の一覧の3つを渡して、流れを出してもらいます。
担当ごとに列を分けて表示させる「スイムレーン」の形にすると、受け渡しがはっきり見えます。
あわせて、受け渡しの箇所と、待ち時間、例外の分岐とその割合も書かせます。
例えば例外が3割を超える業務は、そもそも設計を見直したほうが早いです。
スイムレーン図の書き方は、スイムレーン図の書き方と作成ツール。業務の説明文やPC録画からGeminiでフロー図を作るにまとめてあります。
表は、列を先に決めるのが出発点です。
何を比べたいかが決まっていないと表が作れないので、その情報を何に使うかから逆算して列を決めます。
そのうえで、メールや議事録から決めた項目を抜き出して表に変換してもらい、抜き出せなかった項目を明示させます。
空欄が多い項目は、そもそも記録されていないということで、記録の設計の問題になります。
表の指示の書き方と、数値の確かめ方は、表の作成をAIで行う方法。Geminiに列を指定して頼み、数値を確かめてから使うにまとめてあります。
マニュアルは、操作の録画から起こすのが最も速い方法です。
やっている画面をそのまま録画して手順にまとめさせる形で、話しながら操作してもらうと質が大きく変わります。
手順だけでなく、判断の理由まで音声に入ってくるからです。
入れる項目は5つです。
「何のための作業か」「前提(必要な権限、準備するもの)」「手順(3〜7ステップ)」「判断が必要な箇所」「詰まったときの相談先」です。

「判断が必要な箇所」がいちばん価値があるのは、手順だけなら誰でも書けても、判断の基準は経験がある人にしか書けないからです。
作成時点も明記しておきます。
手順は必ず古くなり、いつ時点のものかが分からないと、使う側が判断できなくなるからです。
マニュアル作成の道具の選び方はマニュアル作成ツールとAIの使い方。操作の録画からGeminiで手順書を自動で作るに、動画から起こす話は動画を渡すだけで業務が変わる。マニュアル化と書類デジタル化の内製に、手順そのものを型として資産化する話は仕事の手順をAIに覚えさせる。社内の「型」を資産化する考え方にまとめてあります。
1業務で試し、部門で標準化して、部門をまたぐ受け渡しへ広げる進め方
組織で進めるときは、導入を1業務から始めて、段階を踏みます。

最初は、1業務について3つの形のどれか1つを作ります。
選ぶ業務の条件は、「情報が既にある」「担当者が協力的」「改善の余地がありそう」の3つです。
表から始めるのが最も手軽です。
列を先に決めて情報を貼るだけで作れ、抜けている項目もすぐに見えるからです。
手順を人に伝えたいときのマニュアルは、操作の録画から起こすと速く作れます。
フロー図は改善のための道具なので、改善に着手する意思がないまま作っても使われません。
期間は2週間を目安にして、作ったものを実際に誰かに使ってもらいます。
使われて初めて、不足が分かるからです。
効果が出たら部門に広げ、主要な業務について同じ形で作ります。
そのときに様式を統一するのは、部門の中で形が違うと後から並べられなくなるからです。
推進担当が全部作ると量に潰れるので、業務ごとに作る担当を決め、録画の撮り方と渡し方、確認の仕方を手順として配ります。
作ったものは、置き場所を1つに決めておきます。
主要な業務5〜10件を2〜3か月で、何が作られていて何が作られていないかの一覧まで作ります。
業務そのものの棚卸しはAI化する業務が見つからない。全社一斉の業務棚卸しの設計で扱っています。
部門ごとの整理が済んだら、部門をまたぐ受け渡しの部分だけを図にします。
全社の業務マップを完成させる必要はありません。
ここが最も改善の余地がある箇所だからです。
待ち時間を書き込み、同じ情報を複数の部門が入力している箇所を探します。
ここは自動化の効果が最も大きい部分になります。
あわせて、誰も持っていない業務を探します。
部門の間で落ちていて、誰かが気づいて拾っている作業のことです。
これが最も危険で、担当が明示されていないので、その人が抜けた時点で止まります。

社内のAIボットを共通資産にして回す全体像は、社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめてあります。
構造化の粒度は、初めてやる人が実行できるか
どこまで細かくするかは、形ごとに目安があります。
フロー図は1つの業務で7〜10工程、表の列は5〜8個、マニュアルの手順は3〜7ステップです。

それぞれを超えると、読めなくなるか、比べにくくなります。
マニュアルの手順が7を超えるなら、業務そのものを分けたほうがよいです。
細かくしすぎると、更新されなくなります。
業務が少し変わるたびに直す必要が出てくるので、そのうち誰も直さなくなるからです。
逆に粗くすると、何をするかが読み取れないので、そもそも使えません。
判断の目安は「その業務を初めてやる人が実行できるか」の一点です。
実行できるなら、それ以上細かくしません。
作らずにすぐ使える、情報整理とマニュアル作りの業務アプリ
プロンプトを書かずに、メモを表にまとめたいときは、業務ツール「情報整理→表化」をすぐ使えます。
画面の操作を録画して手順書にしたいときは、業務ツール「操作録画→手順書」です。
どちらも詳しいページで、できることと使い方を紹介しています。
組織のAIポータル「AI Portalize」には、こうしたすぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。
可視化したあとの打ち手は、伴走で決める
整理の作業そのものは、AIで軽くできます。
難しいのは、可視化したあとです。
フロー図ができても、どの工程に何を当てるかは別の判断になります。
AIに任せる、自動化する、前提の整備が必要、人が持つ、という切り分けには、複数の手段を実際に使った経験が要ります。
さらに部門をまたぐ受け渡しの改善には部門間の合意が必要で、双方に利害があるため、推進担当が図を持っていくだけでは動きません。
「誰も持っていない業務」の担当を決めるのも、組織の設計の話です。
結果として、図はできたが改善に着手されないまま置かれる、という状態が最も多くなります。
当社の業務のAI化を伴走で進める支援では、業務の可視化から打ち手の設計、実装までを一緒に進めています。
図はできたが次の一手が決まらない、という場合は、進め方の参考になるかもしれません。
目的を先に決めて、まず1つの形を作る
一言でいうと、「情報がない」のではなく「情報が使える形になっていない」という状態です。
整理するときは、散らばった情報をGeminiに貼り、目的を一言添えて、表・フロー図・マニュアルのどれか1つを指定します。
最初に作るなら、列を決めて貼るだけで作れ、抜けている項目もすぐに見える表です。
フロー図は受け渡しを明示して待ち時間と例外の割合を書き込み、表は列を先に決めて、抜き出せなかった項目を明示させます。
組織に広げるときは、まず1業務を2週間、次に部門で様式をそろえて2〜3か月、最後に部門をまたぐ受け渡しだけを図にします。
粒度の目安は、初めてやる人が実行できるかどうかです。
自部門の業務を1つ選び、手元のメモをGeminiに貼って、目的を書くところから始めてください。
参照した情報(2026年11月2日に確認)
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
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