組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

情報整理ツールの代わりにAIを使う方法。散らばったメモや資料を、Geminiで表とフロー図にまとめる

情報整理ツールの代わりにAIを使う方法。散らばったメモや資料を、Geminiで表とフロー図にまとめる

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

情報整理ツールの代わりにAIを使うなら、散らばったメモや資料をGeminiの入力欄に貼り、「何のために整理するのか」を一言添えて頼むのがいちばん簡単な方法です。
比べたいなら表、流れを見たいならフロー図、手順を伝えたいならマニュアルの形で出してもらいます。

バラバラな情報から作れる3つの出口。フロー図は業務の流れと受け渡しを見るとき、表は複数の対象を比べたり集計したりするとき、マニュアルは手順を人に伝えるとき。どれを作るかは目的で決まる。最初に作るなら表が手軽

どの形にするかは、情報の量ではなく、目的の側から選びます。
迷うときは、比べたり集計したりできる表から始めます。

情報整理ツールの代わりに、AIで散らばった情報を整理する手順

情報の整理は、次の5つの手順で進めます。

1. メールや議事録、チャットの文章をコピーして、Geminiの入力欄に貼る
2. 何のために整理するのかを、一言で書く
3. 表・フロー図・マニュアルのうち、目的に合う形を指定する
4. 情報が足りない項目は「不明」と書くよう頼む
5. 出てきたものを元の情報と見比べて、違う所をチャットで直してもらう

貼る文章に顧客名や個人情報が入るときは、先に社内のルールで入れてよい情報かを確かめます。
線引きの考え方は、生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするにまとめてあります。

Geminiに貼るプロンプトの例は次のとおりです。

次のメールと議事録を読んで、請求書を発行する業務の流れを整理してください。

目的は、誰から誰に作業が渡るかを確かめることです。

担当ごとに列を分けた表にして、各作業の待ち時間と、例外の分岐も書いてください。

情報がない項目は『不明』と書き、推測で埋めないでください。

出てきた文章は、回答の下の「共有とエクスポート」からGoogleドキュメントに移せます。
表を含む回答は、表の右下の「Google スプレッドシートにエクスポート」でスプレッドシートに保存できます。
どちらもGeminiアプリのヘルプにある操作です。

スプレッドシートを開いたまま使うなら、右上の「Gemini に相談」から表を作って挿入する方法もあります。
手順はGemini in Google スプレッドシートのヘルプにあり、Google Workspaceラーニング センターでは、ドキュメントやGmailでの要約や整理もGeminiに頼めると紹介されています。
どの機能も、所属する組織が対応していることが前提です。

プロンプトは、最初から完璧に書く必要はありません。
一度整理させて、足りない項目や見たい切り口が分かったら、チャットで追加を頼みます。
業務でそのまま使えるプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にもまとめています。

目的から選ぶ、フロー図・表・マニュアルの3つの形

「あの件の経緯、どこに書いてあったっけ?」という声が上がるのは、情報がないからではありません。
メールと議事録と口頭の説明が混ざって形がそろっていない、時系列でしか並んでいない、業務の流れが見えない、という状態になっているからです。

いちばん損失が大きいのは、構造が見えないことです。
構造が見えないと、改善の余地も見えません。
とはいえ、情報を集めて整理して図にするのに数時間から数日かかるので、どうしても後回しになります。

同じ情報から、次の3つの形が作れます。

  • フロー図

  • 表

  • マニュアル

フロー図は、業務の流れと、誰が何をするかの受け渡しを見るときに作ります。
表は、複数の対象を比べたり集計したりするときです。
マニュアルは、手順を人に伝えるときです。

目的を先に決めておくのが要点で、何のために整理するのかが決まっていないと、どの形にするかも決まりません。
もちろん、最初に作るのは1つの形だけです。
3つを同時に作ろうとすると、結局どれも中途半端なまま残ります。

フロー図・表・マニュアルの作らせ方

3つの形は、それぞれ渡すものと書かせることが違います。

フロー図は、業務の説明(口頭でも構いません)と実際の記録、関係者の一覧の3つを渡して、流れを出してもらいます。
担当ごとに列を分けて表示させる「スイムレーン」の形にすると、受け渡しがはっきり見えます。

あわせて、受け渡しの箇所と、待ち時間、例外の分岐とその割合も書かせます。
例えば例外が3割を超える業務は、そもそも設計を見直したほうが早いです。
スイムレーン図の書き方は、スイムレーン図の書き方と作成ツール。業務の説明文やPC録画からGeminiでフロー図を作るにまとめてあります。

表は、列を先に決めるのが出発点です。
何を比べたいかが決まっていないと表が作れないので、その情報を何に使うかから逆算して列を決めます。

そのうえで、メールや議事録から決めた項目を抜き出して表に変換してもらい、抜き出せなかった項目を明示させます。
空欄が多い項目は、そもそも記録されていないということで、記録の設計の問題になります。
表の指示の書き方と、数値の確かめ方は、表の作成をAIで行う方法。Geminiに列を指定して頼み、数値を確かめてから使うにまとめてあります。

マニュアルは、操作の録画から起こすのが最も速い方法です。
やっている画面をそのまま録画して手順にまとめさせる形で、話しながら操作してもらうと質が大きく変わります。
手順だけでなく、判断の理由まで音声に入ってくるからです。

入れる項目は5つです。
「何のための作業か」「前提(必要な権限、準備するもの)」「手順(3〜7ステップ)」「判断が必要な箇所」「詰まったときの相談先」です。

話しながら操作した録画から、何のための作業か、前提、手順、判断が必要な箇所、詰まったときの相談先の5項目のマニュアルを起こす図。判断が必要な箇所がいちばん価値がある。作成時点も明記する

「判断が必要な箇所」がいちばん価値があるのは、手順だけなら誰でも書けても、判断の基準は経験がある人にしか書けないからです。
作成時点も明記しておきます。
手順は必ず古くなり、いつ時点のものかが分からないと、使う側が判断できなくなるからです。

マニュアル作成の道具の選び方はマニュアル作成ツールとAIの使い方。操作の録画からGeminiで手順書を自動で作るに、動画から起こす話は動画を渡すだけで業務が変わる。マニュアル化と書類デジタル化の内製に、手順そのものを型として資産化する話は仕事の手順をAIに覚えさせる。社内の「型」を資産化する考え方にまとめてあります。

1業務で試し、部門で標準化して、部門をまたぐ受け渡しへ広げる進め方

組織で進めるときは、導入を1業務から始めて、段階を踏みます。

導入の3フェーズ。1業務の情報を表にまとめ2週間を目安に使ってもらう、部門で様式を統一して担当を分散し置き場所を1つにする、部門をまたぐ受け渡しの部分だけを図にする。全社の業務マップは完成させなくてよい

最初は、1業務について3つの形のどれか1つを作ります。
選ぶ業務の条件は、「情報が既にある」「担当者が協力的」「改善の余地がありそう」の3つです。

表から始めるのが最も手軽です。
列を先に決めて情報を貼るだけで作れ、抜けている項目もすぐに見えるからです。
手順を人に伝えたいときのマニュアルは、操作の録画から起こすと速く作れます。
フロー図は改善のための道具なので、改善に着手する意思がないまま作っても使われません。

期間は2週間を目安にして、作ったものを実際に誰かに使ってもらいます。
使われて初めて、不足が分かるからです。
効果が出たら部門に広げ、主要な業務について同じ形で作ります。

そのときに様式を統一するのは、部門の中で形が違うと後から並べられなくなるからです。
推進担当が全部作ると量に潰れるので、業務ごとに作る担当を決め、録画の撮り方と渡し方、確認の仕方を手順として配ります。
作ったものは、置き場所を1つに決めておきます。

主要な業務5〜10件を2〜3か月で、何が作られていて何が作られていないかの一覧まで作ります。
業務そのものの棚卸しはAI化する業務が見つからない。全社一斉の業務棚卸しの設計で扱っています。

部門ごとの整理が済んだら、部門をまたぐ受け渡しの部分だけを図にします。
全社の業務マップを完成させる必要はありません。
ここが最も改善の余地がある箇所だからです。

待ち時間を書き込み、同じ情報を複数の部門が入力している箇所を探します。
ここは自動化の効果が最も大きい部分になります。

あわせて、誰も持っていない業務を探します。
部門の間で落ちていて、誰かが気づいて拾っている作業のことです。
これが最も危険で、担当が明示されていないので、その人が抜けた時点で止まります。

部門をまたぐ受け渡しの部分を図にするときに探すもの。誰も持っていない業務が最も危険で、担当が明示されていないのでその人が抜けた時点で止まる。ほかは受け渡しの待ち時間と、同じ情報を複数の部門が入力している箇所

社内のAIボットを共通資産にして回す全体像は、社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめてあります。

構造化の粒度は、初めてやる人が実行できるか

どこまで細かくするかは、形ごとに目安があります。
フロー図は1つの業務で7〜10工程、表の列は5〜8個、マニュアルの手順は3〜7ステップです。

フロー図、表、マニュアルの作り方と粒度の目安を並べた表。フロー図は業務の説明と記録と関係者の一覧を渡し受け渡しや待ち時間を書かせて7〜10工程、表はメールや議事録から決めた列を抽出して抽出できなかった項目を明示し列は5〜8個、マニュアルは操作の録画から判断が必要な箇所を書かせ3〜7ステップ

それぞれを超えると、読めなくなるか、比べにくくなります。
マニュアルの手順が7を超えるなら、業務そのものを分けたほうがよいです。

細かくしすぎると、更新されなくなります。
業務が少し変わるたびに直す必要が出てくるので、そのうち誰も直さなくなるからです。
逆に粗くすると、何をするかが読み取れないので、そもそも使えません。

判断の目安は「その業務を初めてやる人が実行できるか」の一点です。
実行できるなら、それ以上細かくしません。

作らずにすぐ使える、情報整理とマニュアル作りの業務アプリ

プロンプトを書かずに、メモを表にまとめたいときは、業務ツール「情報整理→表化」をすぐ使えます。
画面の操作を録画して手順書にしたいときは、業務ツール「操作録画→手順書」です。
どちらも詳しいページで、できることと使い方を紹介しています。

組織のAIポータル「AI Portalize」には、こうしたすぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。

可視化したあとの打ち手は、伴走で決める

整理の作業そのものは、AIで軽くできます。
難しいのは、可視化したあとです。

フロー図ができても、どの工程に何を当てるかは別の判断になります。
AIに任せる、自動化する、前提の整備が必要、人が持つ、という切り分けには、複数の手段を実際に使った経験が要ります。

さらに部門をまたぐ受け渡しの改善には部門間の合意が必要で、双方に利害があるため、推進担当が図を持っていくだけでは動きません。
「誰も持っていない業務」の担当を決めるのも、組織の設計の話です。

結果として、図はできたが改善に着手されないまま置かれる、という状態が最も多くなります。
当社の業務のAI化を伴走で進める支援では、業務の可視化から打ち手の設計、実装までを一緒に進めています。
図はできたが次の一手が決まらない、という場合は、進め方の参考になるかもしれません。

目的を先に決めて、まず1つの形を作る

一言でいうと、「情報がない」のではなく「情報が使える形になっていない」という状態です。
整理するときは、散らばった情報をGeminiに貼り、目的を一言添えて、表・フロー図・マニュアルのどれか1つを指定します。

最初に作るなら、列を決めて貼るだけで作れ、抜けている項目もすぐに見える表です。
フロー図は受け渡しを明示して待ち時間と例外の割合を書き込み、表は列を先に決めて、抜き出せなかった項目を明示させます。

組織に広げるときは、まず1業務を2週間、次に部門で様式をそろえて2〜3か月、最後に部門をまたぐ受け渡しだけを図にします。
粒度の目安は、初めてやる人が実行できるかどうかです。
自部門の業務を1つ選び、手元のメモをGeminiに貼って、目的を書くところから始めてください。

参照した情報(2026年11月2日に確認)

すぐ使える業務アプリが300以上

開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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