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AI推進の課題と対策

課題

2

AIの社内ルールが
整っていない

ルールが整わない・形骸化する5つの原因と対策

生成AIを仕事でどこまで使ってよいのか、何を入れてはいけないのかが、まだ社内で決まっていないことがあります。ルールを作ってはみたものの、規程が共有フォルダに置かれているだけで、現場では読まれていないこともあります。情報漏洩が心配で利用を禁止したのに、個人のアカウントで使っている人がいたと、あとから分かることもあります。ここでは、ルールが整わない・守られない5つの原因と、原因ごとの対策を順に説明します。

AIを使いこなしている2人の利用の棒だけが長い社員の一覧と、そこから見本のカードの矢印がほかの社員へ広がっていくイラスト

こんな状態なら、このページが役に立ちます

✓ 商談メモや評価コメントをAIに入れてよいか、現場では判断できない
✓ 規程は作ったが、共有フォルダに置かれたまま読まれていない
✓ 利用を禁止したのに、個人のアカウントで使っている人がいた
✓ 「このツールを使いたい」と言われても、誰が判断するか決まっていない

1つでも当てはまれば、下の「原因」と「原因ごとの対策」から読んでください。

このページの要点

1

禁止の一覧が並ぶだけで、使ってよい範囲と相談先が書かれていないと、現場はルールを開かなくなります。

2

自由に使ってよいことを先に書き、情報を3段階に分けたA4の1枚を、書き始めてから2週間で配ります。

3

まず部署ごとに短く聞き取り、どのAIをどの契約で使っているか、使いたい業務は何かを集めます。

RISK

AIの社内ルールが無い・守られないままだと起きること

ルールが無いままでも、禁止の一覧があるだけでも、次のようなことが起きやすくなります。

  • 01

    会社が把握していないAIに、仕事の情報が入る

    使ってよいAIが決まっていないと、個人のアカウントや無料版で仕事の資料を扱う人が出てきます。利用を禁止している会社でも同じことは起こり、2026年10月には、利用を禁止していた外部の生成AIサービスに、従業員などの個人情報を含むデータがアップロードされたと公表した会社もありました。

  • 02

    慎重な人ほど、AIを使わなくなる

    使ってよい範囲が分からないと、「使わないほうが安全」と考える人が増えます。AIを入れても、使うのは一部の人だけにとどまりやすくなります。

  • 03

    入れてしまったときに、報告が遅れる

    知らせる先と、知らせた人の扱いが決まっていないと、言い出しにくくなります。アカウントや共有を止める、何が入ったかを確かめる、といった最初の対応がそのぶん遅れます。

  • 04

    新しいAIツールのたびに、判断が止まる

    現場から「このツールを使いたい」と声が上がっても、誰がどう判断するかが決まっていないと、答えが出ないまま時間がたち、そのあいだ仕事は前のやり方のまま止まります。

2026年10月の件を含め、情報漏洩がどんな経路で起きるか、漏れたと分かったときに最初に何をするかは、AIの情報漏洩はなぜ起きるか。事例と、禁止だけに頼らない対策にまとめています。

書いた人の経験

ガイドラインは、現場を待たせないためのもの

ガイドラインには、事故を防ぐ役割と、現場を待たせない役割の2つがあります。

私は、現場が「これは使っていいのか」と迷って手を止めないようにする役割のほうが、日々の仕事への影響は大きいと感じています。確認に1週間かかれば、現場は使うのをやめてしまいます。

そのため、作って終わりにせず、直す担当者を部署名ではなく名前で決め、届いた質問を次の改定の材料にすることを、いちばん大事にしています。

AI Portalize株式会社 代表取締役CEO 寺田昇平

寺田 昇平

― AI Portalize株式会社 代表取締役CEO(前職でグループ全体のAI推進を担当)

お役立ち資料「社内のAIガイドラインを作るときに、押さえておきたい10のポイント」より

CAUSE & SOLUTION

AIの社内ルールが整わない・形骸化する5つの原因と対策

5つの原因ごとに、推進担当が進められる対策を並べます。全体の順番は、使われ方を聞く、1枚を書く、2週間で配る、届いた質問で見直す、のくり返しです。

禁止の一覧を厚くするより、使ってよい範囲と相談先を書いた1枚を配るほうが、現場で開かれやすくなります。

5つの原因は、ルールを作り始めてから見直すまでの、それぞれ別の場面で起きます。

原因と対策の早見表

原因

対策

原因1
何を、誰が決めるのかが分からず、作り始められない

使われ方を聞いてから推進担当がドラフトを書き、法務・情報管理のレビューは3点に絞る

原因2
禁止の一覧になっていて、使ってよい範囲が書かれていない

自由に使ってよいことを先に書き、情報を「そのまま入れてよい/加工すれば入れてよい/入れない」に分ける

原因3
分厚い規程が置かれているだけで、自分の業務に当てはめられない

A4の1枚にまとめて2週間で配り、部門会議で職種ごとの例をつけて伝える

原因4
迷ったときの相談先と、別のAIを使いたいときの申請の道が無い

1枚に相談先を書き、申請と報告の扱いを書き足して、会社が契約したAIを先に配る

原因5
作ったあと見直されず、AIの変化に追いつかない

四半期に1度を目安に見直し、問い合わせの件数と利用率で効果を確かめる

原因

1

原因

何を、誰が決めるのかが分からず、作り始められない

↓

対策

使われ方を聞いてから推進担当がドラフトを書き、レビューは論点を絞って頼む

なぜ止まるか

公開されているひな形や国の指針は項目が多く、自社のどこに当てはめればよいかで手が止まりがちです。AIは、料金プランや契約の形によって、入力した情報の扱いが変わるので、その仕組みが分からないままでは線を引けません。誰がドラフトを書くかが決まっていないことも、着手が遅れる原因になります。

対策の進め方

まず、どの部署が、どのAIを、どの契約で使っているか、使いたい業務は何かを、部署ごとの短い聞き取りで集めます。そのうえで、聞いて回った推進担当がドラフトを書きます。業務でどう使いたいかを知っている側が書くほうが、現場で使える中身になりやすいためです。

法務・情報管理には全項目ではなく、入れてはいけない情報の区分、他社から預かったデータの扱い、社外に出すときの基準の3点に絞ってレビューを頼み、判断が要るところに時間を使ってもらいます。

日本ディープラーニング協会(JDLA)が公開している「生成AIの利用ガイドライン」のひな形や、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、ゼロから書く材料にするより、できた案に項目の抜けがないかを確かめるのに使います。

ドラフトができるまで
  1. 使われ方を聞く:部署ごとに、使っているAIと契約、使いたい業務を短く聞く

  2. 推進担当が書く:聞いて回った人がドラフトを書く

  3. 3点に絞って見てもらう:法務・情報管理に、情報の区分・預かったデータ・社外に出す基準を頼む

  4. 抜けを確かめる:JDLAのひな形や国の指針と照らす

ひな形は書き始めの材料ではなく、できた案の抜けを確かめるのに使います。

この対策に使えるもの
  • AIガイドライン作成+定着研修:使っているAIツールと契約、扱っている情報、現場での使われ方をうかがい、ドラフトを作って、話し合いながら仕上げます。

原因

2

原因

禁止の一覧になっていて、使ってよい範囲が書かれていない

↓

対策

「自由に使ってよいこと」を先に書き、情報は3段階に分ける

なぜ止まるか

「〜してはいけない」が並ぶだけだと、慎重な人はAIを使わなくなり、大胆な人だけが使う、という分かれ方になりやすくなります。情報漏洩が心配で全面禁止にした会社でも、仕事で使いたい人が、会社の把握していないAIに流れることがあります。

対策の進め方

公開されている情報の調べもの、自分で書いた文章の見直し、アイデア出しのように、自由に使ってよいことを先に書きます。情報は「そのまま入れてよい」「加工すれば入れてよい」「入れない」の3段階に分け、入れないものは5つ前後にとどめます。使ってよいAIの欄には、会社が契約したサービスとプランの名前まで書いておきます。

顧客名や取引条件は「A社」のように置き換えてから使う、と加工の仕方まで書いておくと、いちばん迷いやすい真ん中の段で手が止まりにくくなります。

この対策に使えるもの
原因

3

原因

分厚い規程が置かれているだけで、自分の業務に当てはめられない

↓

対策

最初はA4の1枚にまとめて、書き始めてから2週間で配り、職種ごとの例をつけて部門会議で伝える

なぜ止まるか

何十ページもの規程を共有フォルダに置いただけでは、忙しい部署では開かれません。「機密情報は入れない」とだけ書かれていても、営業の商談メモや人事の評価コメントが当てはまるのかは、読み手には判断できません。

対策の進め方

社員に配るのは、3分で読めるA4の1枚にします。1枚とは別に、会社の決まりとして持つ利用規程と、数か月で変わる中身(使ってよいツールと契約の一覧、情報の種類の一覧など)をまとめた別紙を分けて持っておくと、ツールが変わっても直す範囲が小さく済みます。

説明は全社向けの1回で終わらせず、部門会議に15分ずつ枠をもらい、営業なら商談メモ、人事なら評価コメント、経理なら締め前の数字、というように職種ごとの例で伝えます。

分けて持つ3つの文書
社員に配る A4の1枚

3分で読める。使ってよい範囲と相談先を書く

会社の決まり 利用規程

会社として持っておく決まり

数か月で変わる 別紙

使ってよいツールと契約の一覧、情報の種類の一覧など

変わりやすい中身を別紙に出しておくと、ツールが変わったときに直すのは別紙だけで済みます。

この対策に使えるもの
  • AIガイドライン作成+定着研修:本文と、更新が必要になる「情報の種類の一覧」を別紙に分けて原案を作り、改定のたびに本文を直さずに済む形にします。

原因

4

原因

迷ったときの相談先と、別のAIを使いたいときの申請の道が無い

↓

対策

1枚に相談先を書き、申請と報告の扱いを書き足して、会社が契約したAIを先に配る

なぜ止まるか

ルールでどれだけ細かく線を引いても、その境目で判断に迷う場面は必ず出てきます。聞く先が無ければ、人は自分の判断で進めます。新しいツールを使いたいという申請に返事が来ないときも、待つあいだに手元のツールで済ませてしまいます。

対策の進め方

最初の1枚には、部署ごとの相談先と、そこで決められないときのつなぎ先を、担当者の名前で書きます。配ってから1か月ほどのうちに、標準とは別のAIを使いたいときの申請(フォーム1枚と、何営業日で返事をするか)と、入れてしまったときはすぐに知らせてもらい、知らせた人を責めないという扱いを書き足します。

あわせて、会社が契約したAIを、使いたい人がすぐ使える形で配っておくと、外のAIを探す理由が減ります。

1枚に書くこと・書き足すこと
  • 部署ごとの相談先(担当者の名前で)

  • 相談先で決められないときのつなぎ先

  • 標準とは別のAIを使いたいときの申請(フォーム1枚と、何営業日で返事をするか)

  • 入れてしまったときはすぐ知らせてもらい、知らせた人を責めない扱い

上の2つは最初の1枚に書き、下の2つは配ってから1か月ほどのうちに書き足します。

この対策に使えるもの
原因

5

原因

作ったあと見直されず、AIの変化に追いつかない

↓

対策

四半期に1度を目安に見直し、問い合わせの件数と利用率で効果を確かめる

なぜ止まるか

AIのサービスは、数か月単位で機能や料金プラン、利用規約が変わります。見直す担当と時期が決まっていないと、書いてあることと実際の使われ方がずれていき、現場はルールを読まなくなります。

対策の進め方

見直す担当と時期を、ルールと一緒に決めておきます。四半期の定例では、届いた質問と例外の申請をもとに1枚と別紙を書き足し、AIのサービスに大きな変更があったときは臨時に直します。

効果は、「これは入れてよいか」という問い合わせの件数と、AIを仕事で使っている人の割合(会社が配ったアカウントのうち、過去28日間など決めた期間に使った人の割合)の2つで見ます。問い合わせが減らない項目は書き方を直し、使っている人の割合が上がらない部署には、どこで止まっているかを聞きに行きます。

効果を確かめる2つの数字
数字1 問い合わせの件数

「これは入れてよいか」の質問。減らない項目は書き方を直す

数字2 使っている人の割合

配ったアカウントのうち、決めた期間に使った人。上がらない部署には聞きに行く

ルールの効果は、問い合わせの件数と使っている人の割合の2つで見ます。

この対策に使えるもの

おすすめのサービス

御社に合ったAIの社内ルールを一緒に作り、
定着させる「AIガイドライン作成+定着研修」

AIガイドライン作成+定着研修は、生成AIの社内ルールを、ひな形を渡すのではなく御社の現状に合わせて一緒に作り、従業員の方が自分で判断できるようになるまでご支援するサービスです。上の対策のうち、ドラフトづくり、線引きの材料の整理、現場への定着、公開後の見直しを、次の形で進めます。

・使っているAIツールと料金プラン・契約の形、扱っている情報、すでにある就業規則や情報セキュリティの規程、現場での使われ方をうかがい、ドラフトを作って、話し合いながら仕上げます。
・AIツールごとに違う、料金プランや契約の形、入力した情報の扱い、管理できる範囲を整理し、線引きの材料としてお示しします。
・本文と、更新が必要になる「情報の種類の一覧」を別紙に分けて原案を作り、改定のたびに本文を直さずに済む形にします。
・定着研修では、業務でよくある場面を題材に、「入れてよいか」「誰が確認するか」を従業員の方に判断していただきます。迷ったときの相談先と、報告した人を責めない連絡の流れもお伝えします。
・公開後も、新しいAIツールを使いたいときのご相談、仕様や規約の変更に合わせた改定、3か月から半年に1回の見直しをご支援できます。
・すでにガイドラインがある会社には、今のガイドラインと実際の使われ方を見比べて、抜けている論点を確かめるところから始めます。

ルールを配ったあと、会社が用意したAIがどの部署で使われ始めたかは、組織のAIポータル「AI Portalize」で確かめられます。GeminiとClaudeの利用について、部署・職種・グレードごとの利用率と前期比が、集計の手間なしで出ます。

FAQ

AIの社内ルールについての
よくある質問

FAQ

  • Q

    AIの社内ルールは、何から決めればよいですか?

    A

    使ってよいAI(会社が契約したサービスとプラン)、AIに入れないもの、迷ったときの相談先の3つから決めます。この3つが書かれた1枚があれば、配り始められます。答えの確かめ方、別のAIを使いたいときの申請、入れてしまったときの報告の扱いは、配ってから1か月ほどのうちに書き足していきます。

  • Q

    生成AIの利用を禁止すれば、情報漏洩は防げますか?

    A

    禁止だけでは防ぎきれません。禁止しても、仕事でAIを使いたい人が、個人のアカウントや会社が把握していないAIを使うことは起こります。禁止するなら、その理由といつ見直すかを伝え、会社が契約したAIを使える道もあわせて用意しておくほうが、ルールは守られやすくなります。会社が契約したAIを使う場合も、入れてはいけない情報の線引きは要ります。

  • Q

    AIに入力してはいけない情報は、どう決めればよいですか?

    A

    社内の情報を「そのまま入れてよい」「加工すれば入れてよい」「入れない」の3段階に分けます。入れないものは、パスワードなどの認証情報、マイナンバーなど、未公開の経営情報、秘密保持契約で預かったデータのように、5つ前後に絞ると覚えてもらえます。顧客名や取引条件は、「A社」のように置き換えてから使う、と加工の仕方まで書いておきます。

  • Q

    ひな形やテンプレートをそのまま使ってはいけませんか?

    A

    そのままではなく、自社に合わせて直して使います。ひな形は、項目の抜けを確かめる出発点として役立ちます。ただ、扱う情報やすでにある規程、使っているAIの契約が違えば、決める内容も変わります。そのまま使うと、自社に合わない禁止事項が残ったり、他社から預かったデータの扱いのように必要な論点が抜けたりしやすくなります。

  • Q

    作ったルールが守られているかは、どう確かめればよいですか?

    A

    「これは入れてよいか」という問い合わせの件数と、AIを仕事で使っている人の割合の2つを見ます。問い合わせは配った直後に増え、浸透してくると減っていきます。使っている人の割合が上がらないときは、ルールが厳しすぎて使われていない可能性があります。

対策に使える業務アプリとナレッジ

すぐ使えて自社用に直せる業務アプリが300以上、組織のAI推進ナレッジが250本以上あります。業務アプリを見る ナレッジを見る

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