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AI推進の課題と対策

課題

3

AI化する業務が
決まらない

決まらない原因と、業務の洗い出しから選び方までの手順

「AI化したい業務を書き出してください」と頼んでも、数件しか返ってこない。返ってきた候補も小さく、どれから手をつければいいのか決められない。ここでは、AI化する業務が決まらない5つの原因と、原因ごとに、業務の洗い出し方から最初の1件の選び方までを順に説明します。

AIを使いこなしている2人の利用の棒だけが長い社員の一覧と、そこから見本のカードの矢印がほかの社員へ広がっていくイラスト

こんな状態なら、このページが役に立ちます

✓ 「AI化したい業務を書き出して」と頼んでも、数件しか返ってこない
✓ 工程の多い業務をまとめてAI化しようとして、作り終える前に止まった
✓ 自動化の仕組みは作ったが、現場の作業時間は減っていない
✓ 取引先ごとの例外のような判断が、担当者の頭の中にしかない

1つでも当てはまれば、下の「原因」と「原因ごとの対策」から読んでください。

このページの要点

1

業務を工程に分けず、時間も数字にしないまま「書き出して」と頼むので、候補が出ず、比べることもできません。

2

工程ごとに月にかかる時間を出し、効果が大きく難しくない業務から最初の1件を選びます。

3

書き出しを頼む代わりに、同じチームの2人に30分ずつ、業務の流れ・時間・止まる所・理由を聞きます。

RISK

AI化する業務が決まらないままだと起きること

どの業務にAIを使うかが決まらないままだと、次のようなことが起きやすくなります。

  • 01

    AIを配っても、たまに調べものに使う程度で止まる

    配られた側が自分の仕事のどこで使うかが分からないと、メールの下書きや調べものにときどき使う程度で止まり、業務の時間はほとんど変わりません。

  • 02

    大きすぎる業務から入り、作り終える前に止まる

    意欲のある人ほど、最初に時間が大きく減る業務を選びがちです。工程の多い業務をまとめてAI化しようとすると、作り終える前に手順が変わり、そこで止まります。

  • 03

    作った仕組みが、誰の業務も楽にしていない

    業務を洗い出さずに自動化の仕組みを先に作ると、触っていて面白いものはできても、現場の時間は減っていない、という結果になりやすくなります。

  • 04

    同じ業務に、部署ごとに別の仕組みが並ぶ

    同じ業務を部署ごとに違うやり方で進めたままAI化すると、やり方の数だけ仕組みを作ることになり、直す手間もその数だけ増えます。

帝国データバンクが2026年3月に1万社あまりに聞いた調査でも、生成AI活用の懸念・課題として「生成AIを活用すべき業務の範囲」を挙げた企業が40.0%あり、3番目に多くなっていました。どの業務に使うかは、多くの会社が迷っているところです。

書いた人の経験

Gem153件を見直したら、AIが要らない作業が多かった

2026年9月、Gemが提供終了になるかもしれないという話を受けて、社内で使っていたGem153件を1件ずつ見直しました。

判断の基準にしたのは、同じ作業を繰り返すかどうかで、例えば月に1度の調べものと、毎日行う転記とでは、合う作り方が違います。

見直した結果、作り直したアプリ110本のうち23本はAIを使わない作りになり、毎回AIに考えさせる必要のない作業を、なんとなくAIに任せていたことが分かりました。

AI Portalize株式会社 代表取締役CEO 寺田昇平

寺田 昇平

― AI Portalize株式会社 代表取締役CEO(前職でグループ全体のAI推進を担当)

寺田のnote「Gem廃止の噂を受けて、153件のGemをCanvasアプリ110本に移管したら、意外と再現できました」より

CAUSE & SOLUTION

AI化する業務が決まらない5つの原因と対策

5つの原因ごとに、推進担当が取れる対策を、洗い出しから最初の1件を選ぶまでの順に並べます。手順を詳しく書いた記事があるものは、あわせてご案内します。

5つの原因は、候補を出す、比べて選ぶ、AIに渡す、のどこかで業務選びを止めています。

原因と対策の早見表

原因

対策

原因1
「AI化したい業務を書き出して」と頼んでいる

書き出しを頼むのをやめ、同じチームの2人に30分ずつ、4つの問いで聞く

原因2
業務が工程に分かれておらず、時間が数字になっていない

業務を工程に分け、頻度と1回の時間から、月にかかっている時間を出す

原因3
候補を比べる物差しがない

効果と難しさの2つの軸で並べ、最初の1件を選ぶ

原因4
やり方が人や部署ごとに違い、判断のルールが書かれていない

やり方の食い違いはAI化の前にそろえ、判断のルールを書き出す

原因5
書くと仕事が増える、人を減らされる、と思われている

依頼するときに、減った時間の使い道と目的を先に伝える

原因

1

原因

「AI化したい業務を書き出して」と頼んでいる

↓

対策

書き出しを頼むのをやめ、同じチームの2人に30分ずつ、4つの問いで聞く

なぜ止まるか

人は自分の仕事を「請求書の処理」のような塊で捉えているので、塊のまま考えると「これはAIには無理」で終わります。AIで何ができるかを知らない人に使い道を考えてもらうのは、もともと難しい依頼です。

対策の進め方

困りごとではなく、事実から聞きます。1日・1週間・1か月の業務の流れ、それぞれにかかる時間、どこで手が止まるか、なぜその手順なのか、の4つです。

1人に1時間聞くより、同じチームの2人に30分ずつ聞くほうが、2人の話が食い違う箇所から、やり方がそろっていない業務が見つかります。聞き終えたら、聞いた業務への改善案を1つ返して帰ると、次の聞き取りにも協力してもらいやすくなります。

業務ヒアリングは、同じチームの2人に別々に30分ずつ、流れ、時間、止まる所、理由の順に聞きます。

この対策に使えるもの
  • AIコンサル&伴走支援:推進担当の方と一緒に現場の業務ヒアリングに入り、聞き取りの進め方も、その場で共有します。

原因

2

原因

業務が工程に分かれておらず、時間が数字になっていない

↓

対策

業務を工程に分け、頻度と1回の時間から、月にかかっている時間を出す

なぜ止まるか

業務名だけが並んだリストでは、どこにAIを当てるかも、どれが大きいかも比べられません。本人が大変だと感じている作業と、実際に時間がかかっている作業がずれていることもよくあります。

対策の進め方

洗い出しのシートで現場に書いてもらう列は、業務名、工程、頻度、1回あたりの時間の4つで足ります。請求書の処理を4つの工程に分けて書くと、月に約16時間かかっていて、そのうち転記と照合はAIに寄せられそうだ、と判断できます。

部門の定例で30分の枠をもらい、記入済みの例を見せながらその場で書いてもらうと、宿題にするより数が集まります。「AI化の見込み」は、集まったシートに推進担当が列を足して書きます。

業務をひとかたまりのまま見るとAIの出番は見えませんが、工程に分けると、AIに任せられる工程が見えてきます。

この対策に使えるもの
原因

3

原因

候補を比べる物差しがない

↓

対策

効果と難しさの2つの軸で並べ、最初の1件を選ぶ

なぜ止まるか

物差しがないと、声の大きい人の案や目新しい案から選ぶことになります。選んだ理由を説明できないので、うまくいかなかったときに次の候補へ移る判断もできません。

対策の進め方

効果は「月にかかっている時間×関わる人数」で、難しさは「扱う情報の機密性、判断の複雑さ、関係する部署の数」で見ます。最初に選ぶのは、効果が大きく、難しくない業務です。効果が大きくても難しい業務は、最初に手を出すと止まりやすいので後に回します。

着手は3件以内に絞り、1つの業務の1つの工程だけを作って、2週間ほどで現場に渡します。使われたら隣の工程や部署へ広げ、使われなければやめます。

効果が大きく、難しくない業務から始めます。

この対策に使えるもの
原因

4

原因

やり方が人や部署ごとに違い、判断のルールが書かれていない

↓

対策

やり方の食い違いはAI化の前にそろえ、判断のルールを書き出す

なぜ止まるか

同じチームでも、人によって手順や判断が違う業務はよくあります。「この取引先は締め日が違う」のようなルールが誰の頭にもあるのにどこにも書かれていないと、AIに渡す指示が作れません。

対策の進め方

聞き取りで手順の食い違いが見つかった業務は、AIに渡す前に、いちばんよいやり方に決めてそろえます。判断の箇所では「新人だとどこで間違えますか」と聞くと、書かれていないルールが具体的に出てきます。

例外が全体の3割を超える業務や、担当者しか手順を説明できない業務は、まず手順書を作るところまでを目標にします。洗い出した結果、「今はAI化しない」と決まった業務があっても、それも洗い出しの成果です。

AIに渡す前に確かめること
  • 人による手順の食い違いをそろえた

  • 判断のルールを書き出した

  • 例外が全体の3割を超えていない

  • 担当者以外も手順を説明できる

例外が3割を超える業務や、担当者しか説明できない業務は、まず手順書を作るところまでにします。

この対策に使えるもの
原因

5

原因

書くと仕事が増える、人を減らされる、と思われている

↓

対策

依頼するときに、減った時間の使い道と目的を先に伝える

なぜ止まるか

効率化した先に何があるのかが分からないと、現場は正直に業務を書きません。「AI化できそうな業務」を聞くほど、「無理そうだから書かない」が起きます。

対策の進め方

洗い出しを頼むときに、次の3つを先に伝えます。

推進担当が自分の業務を先に洗い出して見せておくと、ほかの人も正直に書きやすくなります。

洗い出しを頼むときに、先に伝える3つ
使い道 減った時間を何に使ってほしいか
目的 人を減らすことが目的ではない
範囲 書いた業務が必ずAI化されるわけではない

効率化した先に何があるのかを、業務を書いてもらう前に伝えます。

おすすめのサービス

業務の洗い出しから最初の1件のAI化まで、
現場に入って一緒に進める「AIコンサル&伴走支援」

AIコンサル&伴走支援は、AI化する業務の選定と設計から、実務への組み込み、AI推進室・プロジェクトの立ち上げ、ガイドライン作成、研修までを、コンサルティングと伴走で支援するサービスです。上の対策のうち、次のことを推進担当の方と一緒に進めます。

・推進担当の方と一緒に現場の業務ヒアリングに入り、聞き取りの進め方も、その場で共有します。
・業務を工程に分け、月にかかっている時間を試算して、AI化する業務の候補を並べます。
・効果と難しさで、最初に着手する業務を選びます。
・選んだ業務の流れを整理し、AIボットや自動化の仕組みを一緒に作ります。
・作ったものを現場に渡して使われ方を見て、隣の業務や部署へ広げます。

業務を選ぶ前に、社内のAI活用がいまどの段階にあるかを確かめたい場合は、無料の組織のAI活用力診断もご利用いただけます。

FAQ

AI化する業務の選び方についての
よくある質問

FAQ

  • Q

    AIに向いている業務と、向いていない業務は何ですか?

    A

    向いているのは、手順が決まっていて回数が多く、文章や表を読む、まとめる、書き写す、見比べる、といった作業です。書類やメールからの転記、議事録や報告書の下書き、資料の要約などがこれにあたります。反対に、例外が多く毎回人の判断が入る業務や、手順を担当者しか説明できない業務は、そのままでは効果が出にくいので、先に手順とルールを書き出します。

  • Q

    業務の洗い出しは、全社で一斉にやるべきですか?

    A

    全社で一斉に洗い出す進め方もありますが、候補が多すぎて選べなくなることがあります。進めやすいのは、業務とAIの相性がよさそうな1つの部署で2人に30分ずつ聞き、1件をAI化して見せてから、ほかの部署へ広げるやり方です。全社で一斉に行う場合も、着手する業務は3件以内に絞ります。

  • Q

    AI化で減らせる時間は、どう見積もればいいですか?

    A

    工程ごとに「頻度×1回あたりの時間」で月の時間を出し、AIに任せられそうな工程の時間を足し合わせます。この数字は試算なので、着手したら、AI化の前と後で同じ作業の時間を測り直します。

  • Q

    AI化の候補がどうしても出てこないときは、どうすればいいですか?

    A

    困りごとを聞くのをやめて、1か月の業務の流れを順に話してもらいます。とくに毎月の業務は、手順が決まっていて量も多いので、候補になりやすい領域です。同じ職種のほかの部署でのAIの使い方を見せてから聞くと、「それならうちのこの作業でも」と出てきやすくなります。

  • Q

    AIツールを先に選ぶべきですか、AI化する業務を先に決めるべきですか?

    A

    業務を先に決めます。使う業務が決まらないまま選ぶと、何ができれば十分かの基準を持てません。まずは会社ですでに契約しているAIで、選んだ業務の1つの工程を試し、足りない部分が分かってから、ほかのツールや自動化の仕組みを検討します。

記入例の時間は説明のための例です。

対策に使える業務アプリとナレッジ

すぐ使えて自社用に直せる業務アプリが300以上、組織のAI推進ナレッジが250本以上あります。業務アプリを見る ナレッジを見る

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