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AI推進の課題と対策

課題

8

AIの利用状況が、
見えづらい

生成AIの利用状況を可視化する方法と、見るべき数字

「今月、社内でAIはどれくらい使われたのか」と聞かれても、すぐには答えられないことがあります。管理画面を開いても、部署ごとの数字にするには名簿との突き合わせが要り、会社が把握していないAIがどこで使われているかも分かりません。ここでは、見たいものを3つに分けたうえで、見えづらい5つの原因と原因ごとの対策、社内への見せ方を順に説明します。

AIを使いこなしている2人の利用の棒だけが長い社員の一覧と、そこから見本のカードの矢印がほかの社員へ広がっていくイラスト

こんな状態なら、このページが役に立ちます

✓ 「今月AIはどれくらい使われたか」と聞かれて、すぐには答えられない
✓ 部署ごとの数字を出すたびに、管理画面の表を名簿と突き合わせている
✓ GeminiやClaudeなど、AIごとに別々の画面から数字を取り出している
✓ 個人の数字は監視と受け取られそうで、推進担当の手元に置いたままだ

1つでも当てはまれば、下の「原因」と「原因ごとの対策」から読んでください。

このページの要点

1

会社が配ったAI・社外のAI・入力した中身の3つを分けずに見ようとするので、どの記録を誰が見るかが決まりません。

2

配っているAIごとに取る数字と取る日を決め、名簿と結びつけて、部署ごとに毎月同じ形で残します。

3

見るもの3つそれぞれの担当と、数字を取る画面や記録の場所を、1枚の表に書き出します。

RISK

AIの利用状況が見えないままだと起きること

利用状況が見えないままだと、次のようなことが起きやすくなります。

  • 01

    研修やツールの配布が効いたかを、確かめられない

    打った手の前と後で何が変わったかが分からないので、続けるか、やめるか、別の手に替えるかを決められません。

  • 02

    経営への報告が「利用率」だけになる

    何人が使ったかは言えても、どの部署で、どの業務に使われているかが言えないと、次の投資や体制を決める材料になりません。

  • 03

    会社のAIを使わず、社外のAIを使っている人に気づけない

    会社が配ったAIが使われていない部署があっても、仕事でAIを使っていないのか、社外のAIを使っているのかは分かりません。社外のAIに仕事のデータが入っていても、気づくのが遅れます。

  • 04

    推進担当の時間が、毎月の集計に取られる

    管理画面から表を書き出し、名簿と突き合わせて部署ごとに集計する作業を毎月くり返すと、数字を見たあとの打ち手に使う時間が残りません。

ガートナージャパンが2026年6月に発表した国内の調査(2026年2月実施)では、会社が正式に承認していないAIの利用、いわゆるシャドーAIを「把握できていない」企業が43%、「把握しているが、有効な対策を取れていない」企業が30%でした(ガートナージャパンの発表)。シャドーAIとは何か、事例とリスクはシャドーAI(野良AI)とは。禁止せずに見える化と正規の道で減らす対策で説明しています。

書いた人の経験

ほぼ全員が「使ってはいる」のに、回数は人によって大きく違った

2025年、前職のAI推進室で、社内アンケートと利用ログからAIを使っているかどうかを調べると、ほとんどの人が使ってはいる状態でした。

ただ、同じ職場で同じツールを使い、同じ研修を受けていても、使う回数は人によって大きく違っていました。

使っているかどうかの割合だけでは差が見えないので、私は1人あたりの回数をあわせて見るようにしています。

AI Portalize株式会社 代表取締役CEO 寺田昇平

寺田 昇平

― AI Portalize株式会社 代表取締役CEO(前職でグループ全体のAI推進を担当)

寺田のnote「組織の生成AI活用のKPIは『プロンプト数』では」より

CAUSE & SOLUTION

AIの利用状況が見えづらい5つの原因と対策

「利用状況」と一口に言っても、見たいものは3つに分かれます。会社が配ったAIがどこでどれだけ使われているか、社外のAI(会社が配っていない、個人のアカウントや無料のサービスで使うAI。シャドーAIとも呼びます)がどこで使われているか、AIに何を入力したか、の3つで、記録のある場所も、見る担当も違います。このページで中心に扱うのは1つ目で、2つ目と3つ目は、記録のある場所と詳しい記事をご案内します。

「利用状況」には、会社が配ったAIの使われ方、社外のAIの使われ方、入力した中身の3つが含まれます。記録の場所と見る担当がそれぞれ違うので、分けて考えます。

原因と対策の早見表

原因

対策

原因1
見たいものが3つ混ざったまま、1つの仕組みで見ようとしている

見るものを3つに分け、それぞれの担当と記録の場所を決める

原因2
AIごとに、記録の場所と取り出し方が違う

配っているAIごとに、取る数字と取る日を決めて、毎月同じ形で残す

原因3
管理画面の数字が、そのままでは部署ごとの報告に使えない

書き出した表を名簿と結びつけ、部署・職種・グレードごとに集計する

原因4
利用率1つで見ていて、使い込みの差と用途が見えない

利用率に、使い込みの度合いと用途を足して見る

原因5
監視と受け取られるのを恐れて、数字を社内に出せない

集める目的と見られる人を先に伝え、見る人ごとに見せ方を分ける

原因

1

原因

見たいものが3つ混ざったまま、1つの仕組みで見ようとしている

↓

対策

見るものを3つに分け、それぞれの担当と記録の場所を決める

なぜ止まるか

会社が配ったAIの使われ方は管理画面に、社外のAIの使われ方は通信の記録や経費に、入力した中身は監査用の記録に残ります。3つを分けないまま始めると、どの記録を誰が見るのかが決まらず、どれも見えないままになります。

対策の進め方

会社が配ったAIの使われ方は推進担当、社外のAIの使われ方は情報システムの担当、入力した中身の確認は情報システムやセキュリティの担当、のように、見るものごとに担当を決めます。そのうえで、それぞれの数字をどの画面や記録から取るかを、下の表のように1枚に書き出しておきます。

シャドーAI対策の最初の一歩も、いま何がどれだけ使われているかを、使った人を責めずに把握するところです。

会社の端末と回線からどのAIのサービスにつながっているか(通信の記録やブラウザの管理機能で分かる場合があります)、会社で契約しているチャットや会議などのサービスで後から付いたAI機能が使われているか、個人で契約したAIの料金が経費に上がっていないか、の3つを見ると、おおよその状況が分かります。

会社が配ったAIの利用率が低い部署に「普段の仕事で、どこにAIを使っていますか」と聞きに行くと、会社のAIでは足りていない用途も分かります。

利用状況の見方の決め方
よくある形

3つを混ぜたまま、1つの仕組みで見ようとする

どの記録を誰が見るのかが決まらない

こうする

見るものごとに担当を決める

それぞれの数字をどの画面や記録から取るかを、1枚に書き出す(下の表)

社外のAIは、使った人を責めずに、いま何がどれだけ使われているかを把握するところから

見るものを3つに分けてから、担当と記録の場所を決めます。

この対策に使えるもの
原因

2・3

原因

AIごとに、記録の場所と取り出し方が違う/管理画面の数字が、そのままでは部署ごとの報告に使えない

↓

対策

配っているAIごとに、取る数字と取る日を決めて、毎月同じ形で残す

なぜ止まるか

Geminiの利用はGoogleの管理コンソール、Claudeの記録はClaudeの組織の設定から、というように、AIごとに記録の場所と取り出し方が違います。複数のAIを配っている会社では、まとめて見るだけで手間がかかります。

Geminiレポートの期間は「過去7日・28日・90日」から選ぶ形で、月の区切りでは出せません。書き出した表の1列目はメールアドレスで、職種やチームで見るには名簿と突き合わせ直す必要があります。

対策の進め方

配っているAIごとに、取る数字(使っている人の数、回数、使った日数など)と、取る日を決めておきます。Geminiの管理コンソールの数字は「昨日までの過去28日間」のように見た日から逆算して区切られ、反映に2〜3日かかります。

毎月4日ごろなど同じ日に取り、取った日と「その時点の過去28日間」であることを書き添えて残すと、月の区切りとは少しずれますが、前の月と同じ条件で比べられます。さかのぼれるのは最長90日なので、前の年と比べられるよう、取った数字は毎月別の表に残しておきます。

書き出した表は、社員の名簿とメールアドレスで結びつけ、部署・職種・グレードごとに集計します。管理コンソールの組織部門で絞り込む方法もありますが、組織部門の切り方が職種やチームの切り方と一致しているとは限りません。また、組織の変更がレポートに反映されるまで最長で72時間かかり、変更前の履歴は含まれないので、期の変わり目に部署を再編するときは、再編前の数字を先に残しておきます。

毎月の数字の取り方と残し方
  1. 数字を決める:AIごとに、取る数字(人数・回数・使った日数など)と取る日

  2. 同じ日に取る:毎月4日ごろなど。反映に2〜3日かかる

  3. 条件を書き添える:取った日と「その時点の過去28日間」。毎月別の表に残す

  4. 部署ごとに集計:名簿とメールアドレスで結びつけ、部署・職種・グレードごとに

Geminiの場合の例です。月の区切りとは少しずれますが、毎月同じ条件で取ると、前の月と比べられます。

この対策に使えるもの
原因

4

原因

利用率1つで見ていて、使い込みの差と用途が見えない

↓

対策

利用率に、使い込みの度合いと用途を足して見る

なぜ止まるか

利用率だけでは、毎日使う人と月に数回の人の違いも、どの業務に使われているかも分かりません。

対策の進め方

利用率に加えて、1人あたりの回数か使い込みの度合い(Geminiなら、ユーザーごとの画面の「高・中・低・ゼロ」の人数)と、どのアプリや用途で使われているかを並べます。どこが止まっているかが分かれば、話を聞きに行く先と、配る見本を決めやすくなります。

数字は見張るためではなく、よく使っている人と止まっている人を見つけ、次の手につなげるために使います。部署ごとの読み方は、AIを使う人が一部だけのページでも扱っています。

数字を見たら、止まっている部署やよく使っている人に話を聞きに行き、見本や手順を配って、翌月また同じ数字で確かめます。

この対策に使えるもの
  • 組織のAIポータル「AI Portalize」:所属×職種×グレードなど、複数の軸で分析できます。どの部署が止まっていて、どの職種で伸びているかが分かります。

原因

5

原因

監視と受け取られるのを恐れて、数字を社内に出せない

↓

対策

集める目的と見られる人を先に伝え、見る人ごとに見せ方を分ける

なぜ止まるか

個人の数字を並べると監視と受け取られるおそれがあるので、集めた数字を推進担当の手元に留めてしまい、現場の取り組みにつながりません。

対策の進め方

数字を集め始める前に、目的は手を貸す先と見本を見つけることだと伝え、個人の数字を誰が見られるかも決めて社内に知らせます。見せ方は相手で分け、社員には自分の回数の推移、部門長には部署どうしの比較と自分の部下の数字まで、推進担当には部署・職種ごとの詳しい数字、のようにします。部署どうしを比べるときは、人数の多い部署が有利にならないよう、1人あたりの数字で並べます。

同じ数字でも、見る人によって必要な粒度が違います。社員には自分の推移、部門長には部署の比較、推進担当には詳しい内訳を見せます。

この対策に使えるもの
  • 組織のAIポータル「AI Portalize」:社員は、自分の回数と前月比、全社・チーム・職種の中での順位を見られます。チーム同士の順位は1人あたりの回数で比べます。

MAP

AIの利用状況を可視化するときに見るもの3つと、記録のある場所

原因01の対策で書き出す1枚の例です。自社で配っているAIとプランに合わせて、記録の場所の欄を埋めていきます。

見るもの

知りたいこと・記録のある場所・主に見る人

会社が配ったAIの使われ方

知りたいこと:何人が、どれだけ、どの部署で、どの用途で使っているか
記録のある場所の例:各AIの管理画面(Geminiは管理コンソールの「Geminiレポート」)、利用データを部署・職種で集計する仕組み
主に見る人:推進担当

社外のAIの使われ方(シャドーAI)

知りたいこと:会社が把握していないAIのサービスに、どこからつながっているか
記録のある場所の例:通信先の記録、契約しているサービスの記録、経費精算。アンケートは「答えた内容で処罰しない」と先に書いて、記録と組み合わせる
主に見る人:情報システムの担当

入力した中身

知りたいこと:誰が、AIに何を入力したか
記録のある場所の例:AIとプランごとの監査用の記録。残るものはプランによって違い、Claudeでは会話の中身をプログラムから取り出す窓口(Compliance API)があるのはEnterpriseプラン
主に見る人:情報システム・セキュリティの担当

入力した中身の記録には、社員が入れた機密情報もそのまま写ります。置き場所と見られる人は、AIと同じかそれ以上に絞ります。

おすすめのサービス

部署・職種・グレードごとのAIの利用状況が、
集計の手間なしで分かる「AI Portalize」

AI Portalizeは、社内のAIツールとナレッジを共有し、使われ方まで見える化する組織のAIポータルです。利用の数字は、社員がGeminiやClaudeを使った記録から出します。上の対策のうち、会社が配ったAIの数字を部署・職種で並べるところと、社員に自分の数字を返すところを、次の機能で進められます。なお、社外のAIの利用を見つける仕組みではありません。

・部署・職種・グレードごとの利用率と前期比が、集計の手間なしで出ます。名簿との突き合わせや、毎月の集計資料づくりが要りません。
・所属×職種×グレードなど、複数の軸で分析できます。どの部署が止まっていて、どの職種で伸びているかが分かります。
・配ったのに使われていないツールや、一度も使われていないアカウントも見えます。
・よく使われているツールや、AI活用を進めている人(社内のキーパーソン)が名前で見えるので、誰に話を聞きに行くかを決められます。
・社員は、自分の回数と前月比、全社・チーム・職種の中での順位を見られます。チーム同士の順位は1人あたりの回数で比べます。
・Google WorkspaceのGeminiとClaudeの利用に対応しています(Claudeは、管理者が利用データを取り込む形です)。

数字を読んだあとの打ち手(話を聞きに行く、見本を作る、研修を打つ)は、AIコンサル&伴走支援で一緒に進めます。社外のAIをどこまで認めるかなど、社内のルールはAIガイドライン作成+定着研修で一緒に作れます。

FAQ

AIの利用状況の把握について、
よくある質問

FAQ

  • Q

    シャドーAI対策では、まず何をすればよいですか?

    A

    いま何がどれだけ使われているかを、使った人を責めずに把握するところから始めます。通信の記録、会社で契約しているサービスのAI機能の使われ方、経費精算を見て、会社が配ったAIの利用率が低い部署には、普段の仕事でどこにAIを使っているかを聞きに行きます。そのうえで、会社のAIのほうが楽に使える状態を作ります。シャドーAIとは何か、事例とリスクは、記事「シャドーAI(野良AI)とは」で説明しています。

  • Q

    社員がAIに何を入力したかまで、会社で確認できますか?

    A

    AIとプランによって違います。たとえばClaudeでは、会話の中身をプログラムから取り出す窓口(Compliance API)があるのはEnterpriseプランで、Teamプランは組織のデータの書き出しが中心です。集めた記録には入力された機密情報も写るので、置き場所と見られる人も一緒に決めておきます。

  • Q

    Geminiの利用状況は、どこで確認できますか?

    A

    Googleの管理コンソールの「生成AI」→「Geminiレポート」で、組織全体の数字とユーザーごとの数字を確認できます。開くには管理者の権限が要るので、推進担当が管理者でない場合は、情報システムの担当に閲覧の権限を付けてもらうところから始めます。

  • Q

    利用状況を見える化すると、監視だと受け取られませんか?

    A

    個人の数字を全員に並べると、そう受け取られやすくなります。集める目的と、個人の数字を誰が見られるかを先に伝え、社員には自分の数字、部門長には部署どうしの比較、のように見せ方を分けます。

  • Q

    社内のAIの利用率は、何を分母にして数えればよいですか?

    A

    AIのアカウントやライセンスを配った人数を分母にし、期間中に1回以上使った人を分子にします。あわせて、何日分の数字か、いつ取った数字かを必ず書き添えます。管理画面によって期間の区切り方が違うので、書き添えがないと、前の月の数字と比べられなくなります。

  • Q

    AIの利用状況を可視化するツールはありますか?

    A

    まずは、配っているAIの管理画面で見られます。GeminiはGoogleの管理コンソールの「Geminiレポート」で見られ、Claudeは管理者が見られる数字や記録がプランによって違います。管理画面の数字は、そのままでは部署ごとの報告に使いにくいので、書き出した表を名簿と結びつけて、部署・職種ごとに集計します。AIごとに画面が分かれていて毎月の集計が回らない場合は、利用データを部署・職種ごとにまとめて出す仕組みを使います。AI Portalizeでは、GeminiとClaudeの利用の数字を、部署・職種・グレードごとに集計の手間なしで見られます(Claudeは、管理者が利用データを取り込む形です)。

このページの各社の製品の仕様は、2026年10月時点の公式ヘルプで確かめた内容です。

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