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AI推進の課題と対策

課題

4

AI研修のあと、
活用が続かない

AI研修が定着しない5つの原因と、研修後4週間の進め方

研修の満足度は高く、その日は「これなら使えそう」という声も出ました。それでも数週間たつと、仕事でAIを開いているのは、研修の前から使っていた人に戻っていることがあります。ここでは、定着しない5つの原因と原因ごとの対策、研修の前後4週間で推進担当がやることを順に説明します。

AIを使いこなしている2人の利用の棒だけが長い社員の一覧と、そこから見本のカードの矢印がほかの社員へ広がっていくイラスト

こんな状態なら、このページが役に立ちます

✓ 研修の満足度は高かったのに、数週間後に使っているのは前から使っていた人だけだ
✓ 研修の演習は、自分の業務とは関係のない例文で練習して終わった
✓ 研修のあと1人で試してうまくいかず、そのままやめた人がいる
✓ 上司は自分ではAIを使っておらず、部署の仕事の進め方も変わっていない

1つでも当てはまれば、下の「原因」と「原因ごとの対策」から読んでください。

このページの要点

1

研修の日だけで完結する組み立てだと、翌週からの仕事でAIを使う場面が生まれないまま日がたちます。

2

演習は受講者が持ち込んだ自分の業務の資料で行い、最後に翌週AIを使う業務を1人1つ決めます。

3

受講者のうち使っている人の割合・1人あたりの回数・使った日数を、研修の前日に控えておきます。

RISK

AI研修が定着しないままだと起きること

研修のあとに使われない状態が続くと、次のようなことが起きやすくなります。

  • 01

    次に何を打てばよいかが、決められない

    研修の前と後で何が変わったかが分からないので、もう一度研修を入れるのか、別の手を打つのかを決める材料が残りません。

  • 02

    「AIは使えない」という印象だけが残る

    研修のあとに自分の業務で1人で試し、うまくいかずにやめた経験は、研修の内容よりも強く残ります。その経験が、AIそのものの評価になってしまいます。

  • 03

    研修の前から使っていた人だけが使い続ける

    もともと使っていた人や、研修で手応えをつかんだ一部の人だけが使い続け、使う人と使わない人の差は、研修の前とほとんど変わらないまま残ります。

  • 04

    受講率と満足度だけが、報告に残る

    受講率や満足度は高い数字が出やすいので、経営への報告では研修がうまくいったように見えます。現場で使われていないことは、報告の中には出てきません。

従業員1,000名以上の企業で生成AI研修を担当する責任者・担当者110名への調査(イー・コミュニケーションズ、2026年6月)では、研修の成果が受講者の業務に「活かされていない」と感じる担当者が37.2%、受講後の継続的な学習・実践のフォローが「十分に行われていない」と感じる担当者が40.9%でした(イー・コミュニケーションズの発表)。

書いた人の経験

週1回の勉強会が、数週間後にはほとんど使われていなかった

2025年、前職のグループ内で、生成AIの勉強会を週1回開いていました。

終わった直後は「おもしろかったです」という声が多く、満足度も高かったのですが、数週間後に様子を見に行くと、ほとんど使われておらず、ノウハウを集めるためのSlackのAIチャンネルも動いていませんでした。

場を用意するだけでは使われないと分かり、その後は、その日から仕事で使えるテクニックを中心にして、勉強会の中で3分でも実際に操作してもらうようにしました。

AI Portalize株式会社 代表取締役CEO 寺田昇平

寺田 昇平

― AI Portalize株式会社 代表取締役CEO(前職でグループ全体のAI推進を担当)

寺田のnote「社内の『AI勉強会』をうまくいかせるためのポイント」より

CAUSE & SOLUTION

AI研修が定着しない5つの原因と対策

研修の中身が悪いというより、研修の日だけで完結する組み立てになっていて、翌週からの仕事につながる部分が抜けていることが多いと考えています。抜けやすいのは、次の5つです。

研修の日をゴールにすると、翌週の職場ではAIが開かれないまま終わりやすくなります。自分の業務の資料で手を動かし、翌週に聞ける相手がいると、研修のあとも使われやすくなります。

下の原因1〜3は研修の日とその直後に、原因4と5は効果の測り方と職場の側にあります。

原因と対策の早見表

原因

対策

原因1
演習の題材が、受講者の業務とつながっていない

受講者が持ち込んだ自分の業務の資料で演習する

原因2
研修のあと、AIを使う場面が決まっていない

研修の最後に、翌週AIを使う業務を1人1つ書き出す

原因3
1人で試して止まったとき、聞ける相手と見本がない

研修後の4週間、相談の窓口と職種ごとの見本を用意しておく

原因4
効果を、受講率と満足度で測っている

研修の前と後の4週間の利用で比べる

原因5
上司やチームが、研修のあとの使い方に関わっていない

管理職から先に使い始め、部署の定例で使った例を話す

原因

1

原因

演習の題材が、受講者の業務とつながっていない

↓

対策

演習は、受講者が持ち込んだ自分の業務の資料で行う

なぜ止まるか

架空の例文で練習すると、その場ではうまくいきます。ただ、自分の仕事の資料で同じように使えるかは、翌週に1人で試すまで分かりません。

対策の進め方

研修の時間は、聞く時間を2割、手を動かす時間を8割くらいに組み直します。演習の題材は架空の例文ではなく、先週送った提案メールや毎月作っている集計表のように、受講者が来週も触る資料を持ち込んでもらいます。持ち込む資料は、社内のルールでAIに入れてよい範囲のものに限ると、事前の案内に書いておきます。座学は、安全のルール、AIでできることの全体像、最初の一歩の後押しの3つに絞ります。

演習の組み立て
よくある形

架空の例文で練習する

その場ではうまくいくが、自分の資料で使えるかは翌週まで分からない

こうする

聞く時間を2割、手を動かす時間を8割くらいにする

受講者が来週も触る、自分の業務の資料を持ち込む

持ち込む資料は、AIに入れてよい範囲のものに限る

座学は、安全のルール・できることの全体像・最初の一歩の後押しの3つに絞る

演習の題材を、架空の例文から、受講者が来週も触る資料に替えます。

この対策に使えるもの
原因

2

原因

研修のあと、AIを使う場面が決まっていない

↓

対策

研修の最後に、翌週AIを使う業務を1人1つ決めて書き出す

なぜ止まるか

「来週どの業務で使うか」を決めずに研修が終わると、忙しい通常業務の中で、試すきっかけがないまま日がたちます。

対策の進め方

研修の最後の10分で、「来週、どの業務で、どう使うか」を1人1つ書いてもらいます。書いたものは推進担当が集め、受講者の上司にも共有しておきます。決める業務は、毎週くり返していて、うまくいかなくても困らないもの(議事録の要約、メールの下書き、資料の要点の抜き出しなど)から選んでもらうと、翌週に試しやすくなります。

翌週に使う業務の決め方
  1. 業務を1つ選ぶ:毎週くり返していて、うまくいかなくても困らないもの(議事録の要約、メールの下書きなど)

  2. 使い方を書き出す:「来週、どの業務で、どう使うか」を1人1つ

  3. 推進担当が集める:受講者の上司にも共有する

研修の最後の10分で、翌週に試す業務を決めておきます。

この対策に使えるもの
  • AIコンサル&伴走支援:現場の業務をワークフローとして整理し、どの業務からAIを使うかを一緒に決めます。

原因

3

原因

1人で試して止まったとき、聞ける相手と見本がない

↓

対策

研修後の4週間は、相談の窓口と職種ごとの見本を用意しておく

なぜ止まるか

1回でうまくいかない、どのツールを使えばいいか分からない、といったつまずきを、研修のあとは1人で解決することになります。

対策の進め方

研修のあとの4週間は、質問を書き込めるチャンネルと、週に1回30分ほどの相談の時間を用意します。あわせて、職種ごとに、よく使う場面の見本を2〜3本ずつ置いておきます。見本には、実際に使った指示文、入力から出力までの手順、自分の部署向けに差し替える箇所を書き添えると、受け取った人がそのまま試せます。

研修後の4週間に用意しておくもの
  • 質問を書き込めるチャンネル

  • 週に1回、30分ほどの相談の時間

  • 職種ごとに、よく使う場面の見本を2〜3本ずつ

  • 見本に、指示文・入力から出力までの手順・差し替える箇所を書き添える

1人で試して止まったときに、聞ける相手と、そのまま試せる見本がある状態にしておきます。

この対策に使えるもの
  • AIコンサル&伴走支援:開始の時点で、ツールとナレッジを550本以上共有します。研修のあとの見本としても使えます。

原因

4

原因

効果を、受講率と満足度で測っている

↓

対策

効果は、研修の前と後の4週間の利用で比べる

なぜ止まるか

受講率や満足度は「知っている」の側を測る数字で、仕事で使い続けているかは分かりません。先の調査でも、成果が業務に「活かされていない」と答えた41名のうち48.8%が、その理由に「受講率・完了率だけで評価されているから」を挙げています。

対策の進め方

研修の効果は、受講者が研修の前と後で、仕事にAIを使っているかで測ります。見るのは、受講者のうち使っている人の割合、1人あたりの回数、使った日数の3つです。

Google WorkspaceのGeminiなら、管理コンソールの「Geminiレポート」で、使っている人の割合と回数を組織部門やグループに絞って見られます。使った日数は、ユーザーごとの画面に過去28日間の分が1人ずつ出るので、「使用回数をダウンロード」で表に書き出し、受講者の分を平均します。

準備は研修の1週間前までに済ませます。推進担当が管理者でない場合は、情報システムの担当に閲覧の権限を付けてもらいます。受講者だけに絞って見るには、受講者のグループをレポートで使えるよう、管理者に設定してもらいます(設定してからグループの数字が出るまで、最大5日かかるため)。

期間は「過去7日間・28日間・90日間」から選ぶ形で、開始日を自分で決められません。そのため、研修の直前に過去28日間の数字を控えておき、研修から4週間と数日たってから(数字の反映に2〜3日かかるため)もう一度過去28日間の数字を取ります。こうすると、研修の前と後をほぼ同じ長さで比べられます。

研修の前と後で比べる3つの数字
割合 使っている人の割合

受講者のうち、仕事にAIを使っている人。Geminiレポートで、組織部門やグループに絞って見る

回数 1人あたりの回数

使っている人の割合と同じく、Geminiレポートで見る

日数 使った日数

ユーザーごとの画面から過去28日間の分を書き出し、受講者の分を平均する

Google WorkspaceのGeminiの場合です。研修の直前と、研修から4週間と数日たってからの2回、過去28日間の数字を取って比べます。

この対策に使えるもの
原因

5

原因

上司やチームが、研修のあとの使い方に関わっていない

↓

対策

管理職から先に使い始め、部署の定例で使った例を話す

なぜ止まるか

上司が自分ではAIを使わず、部署の仕事の進め方も変わらないと、研修で覚えたことを使う場面が、日々の業務の中に生まれません。

対策の進め方

手を動かす研修は、受講者の上司にあたる管理職から先に行うか、少なくとも同じ時期に受けてもらいます。そのうえで、部署の定例に「今週AIでやったこと」を1人1つ話す5分を入れると、使った例が部署の中で共有されるようになります。上司が研修のあとの使い方に関心を持っていることも、受講者に伝わります。

管理職から始める順番
  1. 管理職が先に受ける:手を動かす研修を、受講者の上司から先に。少なくとも同じ時期に

  2. 部署の定例で話す:「今週AIでやったこと」を1人1つ、5分で

  3. 使った例が共有される:上司が研修のあとの使い方に関心を持っていることも、受講者に伝わる

上司が先に使い、定例で話す時間を取ると、研修で覚えたことを使う場面が部署の中に生まれます。

この対策に使えるもの
  • AIコンサル&伴走支援:階層別のAI研修と定例の勉強会で、研修を一度きりで終わらせない状態をつくります。

STEPS

AI研修の前日から4週後まで、推進担当がやること

上の対策を、研修の前後の時間の流れに並べ直すと、次のようになります。研修の日そのものより、前日と4週後に同じ数字を取っておけるかどうかで、次の打ち手を決められるかが変わります。研修がすでに終わっていて前の数字を控えていない場合は、今の過去28日間の数字を最初の基準として控え、ここから4週間の手助けを始めて、4週後に比べます。

研修の前日と4週後に同じ数字を取っておくと、研修が仕事の使い方を変えたかどうかを、次の打ち手の材料にできます。

時期

推進担当がやること

研修の前日
数字を控える

受講者の今の利用(使っている人の割合・1人あたりの回数・使った日数)を控えます。受講者には、AIに入れてよい範囲の自分の業務の資料を、1つ持ってくるよう伝えておきます。

研修当日
使う場面を決める

持ち込んだ資料で手を動かします。最後の10分で、翌週AIを使う業務を1人1つ書き出してもらい、推進担当が集めて上司にも共有します。

1〜2週目
すぐ聞ける

相談のチャンネルで質問に答えます。書き出した業務で試せたかを、上司から一声かけてもらいます。止まっている人の多くは、1回目でうまくいかなかったところで止まっているので、そこを一緒に見直します。

3〜4週目
見本を足す

試せた人に、どの業務でどう頼んだかを聞き、職種ごとの見本に足します。まだ試せていない人には、その人の業務に近い見本を1つ渡すか、最初の1回を一緒に試します。

4週後
前と後を比べる

研修の前日と同じ数字を取って比べ、下の表を目安に次の手を決めます。

4週後の数字で、次に打つ手を決める

研修の前と後を比べると、止まっている場所によって次の手が変わります。もう一度同じ研修を入れる前に、どの形に当てはまるかを確かめます。どれくらい変われば「動いた」とするかの目安は、研修の前に自社で決めておきます。

4週後の状態

考えられることと、次の手

受講者のほとんどで、研修の前と変わっていない

考えられること:研修の題材や、翌週の使う場面の決め方が、業務につながっていない
次の手:題材を受講者の業務の資料に替え、使う場面を書き出す時間を入れて、組み直す

一部の部署だけ変わっていない

考えられること:その部署の業務に合う見本がない、または上司が関わっていない
次の手:その部署の上司と話し、部署の業務に近い見本を足す

使う人は増えたが、回数や使った日数が少ない

考えられること:チャットで1回聞くところで止まり、定型の業務に組み込めていない
次の手:くり返しの業務に組み込む見本を足す(AIを使う人が一部だけの対策も参考に)

数字が動いた

考えられること:研修と研修後の手助けが、業務につながり始めている可能性が高い
次の手:試せた人の使い方を見本にまとめ、次の部署の研修の題材に使う

数字は、受講者がAIを使っているかの目安です。業務の時間がどれだけ減ったかまでは表しません。

おすすめのサービス

研修から業務への組み込みまでを一緒に進める「AIコンサル&伴走支援」

AIコンサル&伴走支援では、階層別のAI研修と定例の勉強会から、各部署に入っての業務の整理、AIを使う業務の設計までを、御社と一緒に進めます。上の対策のうち、次のところをお手伝いできます。

・経営層・推進担当・現場で内容を分けた、階層別のAI研修を行います。
・定例の勉強会で、研修を一度きりで終わらせない状態をつくります。
・現場の業務をワークフローとして整理し、どの業務からAIを使うかを一緒に決めます。
・業務の設計から一緒に作り、考え方を共有しながら進めるので、2本目・3本目を御社の中で作れるように進めます。
・開始の時点で、ツールとナレッジを550本以上共有します。研修のあとの見本としても使えます。

経営者や推進担当の方ご自身が、まずAIで何ができるかを自社の文脈で整理したい場合は、2時間のマンツーマンのAIパーソナルトレーニングもあります。研修の前後のGeminiやClaudeの利用の変化は、組織のAIポータル「AI Portalize」で、部署・職種・グレードごとの利用率と前期比として、集計の手間なしで確かめられます。

FAQ

AI研修の定着について、
よくある質問

FAQ

  • Q

    AI研修の効果測定は、何で見ればよいですか?

    A

    受講者が研修の前と後で、仕事にAIを使っているかで見ます。研修の前の4週間と後の4週間で、使っている人の割合、1人あたりの回数、使った日数を比べ、研修で決めた業務で実際に使えたかを本人に聞くことも組み合わせます。満足度や理解度テストは「知っている」の側を測る数字なので、仕事で使い続けているかは分かりません。

  • Q

    研修後のフォローは、何をどのくらいの期間やればよいですか?

    A

    まずは研修のあとの4週間を目安に、質問できるチャンネル、週1回ほどの相談の時間、職種ごとの見本を用意します。4週後に数字を見て、変わっていない部署があれば、その部署に絞って手助けを続けます。

  • Q

    eラーニングと集合研修では、どちらが定着しやすいですか?

    A

    形式よりも、演習に自分の業務の資料を使うかどうかと、研修のあとに使う場面が決まっているかどうかの影響のほうが大きいと考えています。基本の操作や安全のルールはeラーニングで学んでもらい、集まる時間は自分の資料で手を動かすことに使う、という組み合わせもあります。

  • Q

    生成AIの社内研修は、全社員に一律で行うべきですか?

    A

    入れてはいけない情報などの安全のルールは、全員に伝えます。手を動かす研修は、管理職や、AIと相性のよい業務を持つチームから始め、そこで使えた例を見本にして次の部署へ広げるほうが、研修のあとの手助けも行き届きます。

  • Q

    研修のあとAIを使っていない社員には、どう声をかければよいですか?

    A

    研修で書き出した「翌週使う業務」を手がかりに、その業務で試せたかを聞き、止まったところを一緒に見直します。最初の1回を一緒に試すと、2回目からは1人で使えることが多くなります。

管理コンソールの仕様は、2026年10月時点のGoogle Workspaceの管理者ヘルプで確かめた内容です。

対策に使える業務アプリとナレッジ

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