組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

Claudeに入力した内容は会社で確認できるのか。Team・Enterpriseで残る記録と保存期間

Claudeに入力した内容は会社で確認できるのか。Team・Enterpriseで残る記録と保存期間

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

「社員がClaudeに入力した内容を、会社は後から確かめられるのか」。
Claudeを全社に配る前に、セキュリティ部門からこう聞かれて、利用ログや監査の仕組みを調べ始める情シス・AI推進担当は多いと思います。

答えは、TeamとEnterpriseのどちらを契約しているかで大きく変わります。
残る記録の種類も、取り出す方法も、残る期間も、プランごとに違うからです。

Claudeを組織に入れるときの全体の考え方は、Claudeを業務で使う。Geminiとの使い分けと、組織に入れるときの考え方にまとめています。

今回は、Anthropicの公式ヘルプとドキュメント(2026年10月14日時点)をもとに、Claudeの記録が「何が・どこに・どれだけの期間残るか」を一覧にします。
あわせて、集めた記録そのものが機密情報のたまり場になる点も取り上げます。

Claudeで残る記録をTeamとEnterpriseで比べた図。監査ログはTeamにはなくEnterpriseは過去180日分を書き出せる、会話の中身はTeamではPrimary Ownerによる組織の書き出し、EnterpriseではCompliance APIで取り出せる、保存期間の設定はEnterpriseの機能、Coworkの記録はどちらもOpenTelemetryで自社の監視ツールに送れる

会話の中身まで取り出せるのはEnterpriseで、Teamは書き出しが中心です

最初に、プランごとの結論を押さえておきます。

Enterpriseでは、操作の記録である「監査ログ」と、会話の中身を取り出す窓口の「Compliance API」が使えます。
さらに、チャットやプロジェクトを何日で消すかという保存期間(データ保持)も、会社で決められます。

Teamには、監査ログもCompliance APIもありません。
会社として会話の記録を手元に取るには、Primary Owner(組織でいちばん上の管理者)が組織設定から行う書き出しが中心になります。

また、どちらのプランでも、Coworkの操作の記録は自社の監視ツールに送れます。
つまり、入力した内容は、Enterpriseなら仕組みとして確かめられ、Teamなら書き出した時点で残っている会話とCoworkから送った記録に限られます。

監査ログに残るのは操作の記録で、チャットの本文は入りません

Enterpriseの監査ログは、名前から「全部の記録」と受け取られやすいので、説明の前に中身を押さえておきます。

監査ログを書き出せるのは、OwnerとPrimary Ownerです。
組織設定の「Data and privacy」にある「Export logs」を押すと、過去180日分の記録がまとめられ、ダウンロード用のリンクがメールで届きます。
リンクの有効期間は24時間です。

残るのは、ログインやログアウト、メンバーの招待と削除、プロジェクトの作成や削除、ファイルのアップロード、会話の作成・名前の変更・削除といった操作です。
1行ごとに、日時、操作した人、操作の種類、IPアドレス、端末の情報などの列があります。
保存期間の設定を変えたことや、その設定で削除されたことも、監査ログで追えます。

一方で、チャットやプロジェクトのタイトルと本文は入らず、残るのは識別用のIDだけです。
「誰が、いつ、どの会話を作ったか」は分かっても、「何を入力したか」は監査ログでは分かりません。

Enterpriseの監査ログに残るもの(ログインやログアウト、メンバーの招待と削除、プロジェクト・ファイル・会話の操作、保存期間の変更と削除)と、入らないもの(チャットやプロジェクトのタイトルと本文。残るのは識別用のIDだけ)を分けた図

会話の中身は、Compliance APIか組織の書き出しで取り出します

入力した内容そのものを確かめたいときの取り出し口は、プランによって2つに分かれます。
どちらも、使える人と取り出せる範囲に条件があります。

Enterpriseでは、Compliance APIを使います。
組織の活動の記録やチャットのデータ、ファイルの中身をプログラムから取り出すための窓口で、有効にできるのはPrimary Ownerだけです(公共機関向けの組織は対象外)。
2026年8月11日には、CoworkとClaude Codeのセッションも取り出せるようになり、8月26日に正式版になりました。
ただ、Claude Codeをクラウドで動かしたセッションや、Amazon BedrockやGoogle Cloud経由で使った分は、対象に入っていません。

TeamとEnterpriseのPrimary Ownerは、組織設定の「Data and privacy」で「Export Data」を押すと、会話のデータなどを書き出せます。

気をつけたいのは、書き出しを始める前に消された会話は含まれないことです。
社員が自分で消した会話も、保存期間の設定で消えた会話も、後から書き出すことはできません。
「何かあったら後で確かめる」つもりなら、書き出しをいつ、どの間隔で取るかを先に決めておく必要があります。

保存期間は、会社が決められる部分と決められない部分があります

では、取り出せる記録は、どれだけの期間残るのでしょうか?
会社の設定で決まる部分と、Anthropicの決まりで残る部分を分けておくと、説明がぶれません。

Enterpriseのチャットとプロジェクトは、初期設定では期限なく残ります。
OwnerかPrimary Ownerが組織設定の「Data and privacy」で保存期間を決めると、期間を過ぎたものは削除され、元に戻せません。
最短は30日で、1か月は30日として数えます。
チャットは最後のメッセージから数え、プロジェクトの中のチャットはプロジェクトの期間に従います。

ただし、この設定はClaude DesignやClaude Tag(Slackで使うClaude)などには効きません。
期間を短くすると、外れた分は保存した時点で削除の予定に入るので、影響を確かめてから変えます。

社員が自分で会話を消した場合は、履歴からすぐに消え、Anthropicの保存先からも30日以内に削除されます。
Claude Codeのデータは、TeamやEnterpriseなどの法人向けでは、標準で30日の保存です。

会社の設定とは別に、Anthropicの側で長く残るものもあります。
利用ポリシーへの違反の疑いで自動的に検知された会話は、入力と出力が最長2年、判定のスコアが最長7年残ることがあります。
評価ボタン(高評価・低評価)やバグ報告で送ったフィードバックに関わるデータは、5年残ります。

Claudeの記録が残る期間と、それを決めるのが誰かを比べた図。Enterpriseのチャットとプロジェクトは初期は期限なしで最短30日から会社が決める、社員が消した会話は履歴からすぐ消え30日以内に削除、Claude Codeは法人向けで標準30日、違反の疑いで検知された会話は入出力が最長2年・判定のスコアが最長7年、フィードバックは5年で、これらはAnthropic側の決まり

操作の流れを監視ツールに集めるなら、OpenTelemetryを使います

監査ログやCompliance APIとは別に、操作の記録を自社の監視ツールに流し続ける方法もあります。
そのための共通の形式が、OpenTelemetryです。

Coworkでは、TeamとEnterpriseで使えます。
管理者が組織設定の「Cowork」で送り先を入れると、社員が送ったプロンプト、ツールやコネクタの呼び出し、触ったファイルのパス、操作を承認したか拒否したか、使ったモデルとトークン数などが届きます。
1つのプロンプトから起きた操作には同じIDが付くので、1回の依頼でClaudeが何をしたかを後からたどれます。

Claude Codeは、管理設定にOpenTelemetryの送り先を書いて、全員分をまとめて配れます。

目的は利用の多さを数えることではなく、何が起きたかをたどれるようにすることです。
利用の多さをGeminiで数える方法は、Geminiの利用状況を管理コンソールで確認する方法。期間の縛りと数え方の注意点で扱っています。

利用の多さと入力した中身を分けて見る考え方は、社内の生成AIの利用状況を把握する方法と、見るべき数字で整理しています。

集めた記録そのものが、機密のたまり場になります

記録を集める仕組みが整うほど、見落としやすいのがこの点です。
社員が入力した機密情報は、記録の置き場にもそのまま写っていきます。

CoworkのOpenTelemetryは、初期設定でプロンプトの本文をすべて含みます。
外したい場合は、受け取る側(コレクター)で絞り込むか伏せ字にするよう、公式のヘルプで案内されています。
社員のメールアドレスも、記録に付きます。

Claude Codeは反対に、プロンプトの本文を初期設定では送りません。
ただ、本文を含める設定や、会話の履歴をまるごと送る設定もあるので、管理設定で何をオンにしているかは確かめておきます。

Compliance APIや書き出しで取り出した会話も、置いた先で残り続けます。
Claudeの側で保存期間を30日にしていても、取り出した写しは、自社の置き場のルールで消すまで残ります。

社員のPCにも記録は残ります。
Claude Codeは、続きから再開できるように、会話の記録をPCの中に暗号化しない形で30日保存します。
Claude DesktopやCoworkで始めた(または最後に続けた)セッションの記録は、初期設定ではこの30日の期限の対象外です。

一言でいうと、記録の置き場は、Claudeと同じかそれ以上の扱いが要る場所です。
誰が見られるか、何日で消すか、どの項目を外すかを、置き場ごとに決めておきます。

集めた記録が機密のたまり場にならないよう、置き場ごとに確かめることを並べた図。CoworkのOpenTelemetryは初期設定でプロンプトの本文を含むのでコレクターで外す、Claude Codeの管理設定で本文や履歴を送る設定がオンになっていないか、取り出した会話の写しはClaude側とは別に自社のルールで消す、社員のPCにはClaude Codeの記録が暗号化しない形で30日残る

何を入力させないかの線引きは、生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするで整理しています。

情報が外へ出る経路と、漏れたと分かったときの初動は、AIの情報漏洩はなぜ起きるか。事例と、禁止だけに頼らない対策にまとめています。

セキュリティ部門には、残るものと残らないものを一緒に見せます

最後に、一覧をどう説明に使うかです。
残るものだけを並べると、あとで「これは取れないのか」と聞き返されて、説明がやり直しになりがちです。

順番としては、まず自社のプランで残る記録を「何が・どこに・何日分」の形で1枚にまとめます。
次に、残らないものと取り出せないものを並べます。
Teamには監査ログがない、監査ログに本文は入らない、消された会話は書き出せない、Claude Codeのクラウドのセッションや他社のクラウド経由の利用はCompliance APIの対象外、といった点です。

もう1つ伝えておきたいのが、会社のアカウントの外です。
社員が個人のアカウントでClaudeを使えば、ここで挙げたどの記録にも残りません。

そのうえで、記録の置き場の扱いと、取り出す担当者を決めます。
残るものと残らないもの、置き場の扱いまでを最初からそろえて見せると、セキュリティ部門との話は進めやすくなると思います。

セキュリティ部門への説明の順番を示した図。自社のプランで残る記録を何が・どこに・何日分の形で1枚にまとめ、残らないものと取り出せないものを並べ、会社のアカウントの外はどの記録にも残らないと伝え、記録の置き場の扱いと取り出す担当者を決める

記録の設計から、セキュリティ部門への説明まで一緒に進められます

どの記録を取るか、どこに置いて何日で消すかは、プランや社内の規程によって決め方が変わります。
集めすぎれば置き場の管理が重くなり、取らなすぎればセキュリティ部門に説明ができません。

当社では、Claudeの組織設定や記録の残し方の整理から、セキュリティ部門への説明資料づくりまでを一緒に進めるAI活用の伴走支援を行っています。
「何を聞かれても答えられる状態」にしてから全社に広げたいときは、気軽に相談してください。

記録は、取れるかより、誰が見ていつ消すかで決まります

Claudeに入力した内容を会社で確かめられるかは、Enterpriseなら「Compliance API」、Teamなら「組織の書き出し」と、プランによって分かれます。
どのプランでも、集めた記録は、置いた先で新しい機密のたまり場になります。

組織設定の「Data and privacy」で、自社のプランの書き出しと保存期間の設定を一度確かめておけば、次に聞かれたときの答えはもう手元にあります。

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

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