組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

Claudeに機密情報を入れさせない方法。Team・Enterpriseプランの設定で防ぐ

Claudeに機密情報を入れさせない方法。Team・Enterpriseプランの設定で防ぐ

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

「生成AIに機密情報は入力しないこと」という一文は、多くの会社のAIガイドラインに入っている対策です。
ただ、セキュリティ部門に「守られているかを、どうやって確かめるのか」と聞かれて答えに詰まる、という相談はよく受けます。

対象は、ClaudeのTeamプランかEnterpriseプランを使っている会社の情シスやAI推進担当です。
プランによって使えない機能が多いので、使えるプランは項目ごとに書きます。
仕組みの多くは筆者も自社でまだ使っておらず、内容は2026年10月時点の公式ドキュメントとヘルプに基づいています。

今回は、ガイドラインの一文を注意書きから仕組みに変えるために、Claudeの管理者の設定で打てる手を整理します。
仕組みを置ける場所は、送る前の「入口」、社外に出る「出口」、あとから確かめる「記録」の3つです。

Claudeで機密情報を守らせる仕組みを置ける場所を、送る前に検査する入口(Inference hooks・Enterpriseのベータ)、外に出る道を閉じる出口(外部共有・社外招待・コネクタ・Teamでも使える)、あとから確かめる記録(監査ログ・Compliance API・Enterprise)の順に示した図。個人アカウントに貼られた内容にはどの仕組みも届かない

「入力しないこと」と書くだけでは、守られているかを確かめられない

仕組みの話に入る前に、注意書きだけでは何が足りないのかを見ておきます。

ガイドラインの一文を守るかどうかは、その瞬間の一人ひとりの判断に任されています。
急いでいるときほど、資料を丸ごと貼り付けたくなるものです。
貼ったかどうかを後から確かめられなければ、守られているとも破られているとも言えません。

何を入れてはいけないかの線引きは、生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするで整理しています。
では、決めた線引きを守らせる仕組みは、どこに置けばよいのでしょうか?

設定だけでは防げない経路と、実際に起きた事例は、AIの情報漏洩はなぜ起きるか。事例と、禁止だけに頼らない対策にまとめています。

Claude Codeの禁止設定はClaude Codeを非エンジニアに配る。CLAUDE.mdと禁止設定の分担にまとめたので、ここではチャットやCoworkも含めた組織全体の設定を見ていきます。

入口には、送る前に自社の検査をはさむ「Inference hooks」を置ける

入口に置けるのは、Claude Enterprise向けにベータ版で提供されている「Inference hooks」です。

社員がメッセージを送ると、Claudeが答えを作る前に、会話を自社の検査用サーバーに送って許可か拒否かの判定を待ちます。
拒否された内容は、モデルに届く前に止まります。
検査用サーバーには、DLP(情報漏えい対策)の製品などをつなぐ使い方が想定されています。

設定は1か所で、チャット、Cowork、Claude Code、SlackのClaude Tagにまとめて効き、社員のPCに何かを入れる必要はありません。
検査に送られるのは、会話の文字、ツールの呼び出しとその結果、添付ファイルから取り出した文字です。

使えるのはEnterpriseだけで、設定できるのもOwnerとPrimary Ownerに限られ、Adminのロールにはこの権限がありません。
設定の場所は、組織設定の「Data and privacy」の中です。

送る前の検査にも、止められないものと先に決めておくことがある

もちろん、入口を置けばすべてを止められるわけではありません。
公式ドキュメントには、検査の外になるものも書かれています。

画像そのものは送られないので、資料のスクリーンショットのような画像だけの内容は検査されません。
判定は許可か拒否の2択で、一部を伏せ字にして通すことはできません。
API経由の利用(Claude Platform)や、Amazon Bedrock・Google Cloud経由の利用も対象外です。
音声モードではツールの呼び出しの一部が送られないため、公式も音声ではこの仕組みだけに頼らないよう書いています。

また、検査用サーバーが応答しないときに、止めるか検査なしで通すかを選んでおきます。
最初に保存したときの既定は「通す」で、判定を待つ時間の既定は5秒です。
止める側は安全ですが、検査用サーバーが落ちると、対象の社員のClaudeも止まります。
どちらを取るかは、情シスだけで決めずにセキュリティ部門と合意しておくのがよいと思います。

始め方にも段階を付けられます。
最初は判定を出すだけで何も止めない「シャドーモード」で試し、検査する割合も少しずつ上げていけます。
拒否したときに社員に見せる案内文は、500字まで足せます。

案内文には、問い合わせ先と一緒に、止められたあとの続け方も書いておくと親切です。
会話は送るたびにまるごと検査に回るので、会話全体を見る検査なら、止められたメッセージを残したままだとまた止まります。
claude.aiなら、そのメッセージを編集するか、新しいチャットで始め直すよう案内しておきます。

送る前の検査(Inference hooks)の性質と、先に決めておくことを並べた図。画像だけの内容は検査されないのでガイドラインと教育で補う範囲として伝える、判定は許可か拒否の2択で伏せ字にして通せないので止められたあとの続け方を案内文に書く、応答がないときの既定は「通す」なので通すか止めるかをセキュリティ部門と合意する

出口は、Teamでも組織設定のスイッチで閉じられる

入口でどれだけ止めても、作ったものが社外に公開されたり、つないだサービスにClaudeが書き込んだりすれば、情報は外に出ます。
出口の設定は、TeamとEnterpriseのどちらでも使えます。

分かりやすいのが、アーティファクト(チャットやCowork、Claude Codeで作るWebページなどの成果物)の共有です。
共有は初期状態で組織の中に限られます。
リンクを知っていれば誰でも開ける共有は、OwnerかPrimary Ownerが組織設定の「Artifacts」で「External sharing」をオンにするまで使えません。
オフに戻すと、1件ずつ許可したものを除き、すでに出ている公開リンクも開けなくなります。

組織外の人をメールで招待する設定も、公開リンクとは別のスイッチで用意されています。
こちらはTeamでは初期状態でオン、Enterpriseではオフで、オフにすると招待済みの人も開けなくなります。

コネクタ(GoogleドライブやGmailなどとの接続)も出口の1つで、OwnerかPrimary Ownerが有効にするまで社員は使えません。
さらにOwnerは、操作ごとに「Always allow」「Needs approval」「Blocked」を組織全体で決められ、社員はこれを上書きできません。
例えば、読み取りは許可して書き込みは止める、といった線が引けます。

Claudeの出口の設定を比べた図。外部共有は初期状態で組織の中だけで、オフにすると既存の公開リンクも開けなくなる。組織外へのメール招待はTeamで初期状態オン・Enterpriseでオフで、オフにすると招待済みの人も開けなくなる。コネクタはOwnerが有効にするまで使えず、操作ごとにAlways allow・Needs approval・Blockedを決められる

見落としやすいのが、回答の評価ボタンです。
法人向けのClaudeは既定では入力も出力も学習に使わないとされていますが、評価ボタンで送った会話は学習に使われることがあります。
この送信は、Teamでも組織設定の「Rate chats」で止められます。

外に出る操作にだけ人を挟む考え方は、AIエージェントの権限管理。禁止・要承認・信頼範囲の3層で決めるでも整理しています。

個人アカウントに貼られたら、どの仕組みも届かない

ここまでの仕組みは、どれも会社のアカウントの中でしか効きません。
社員が個人のClaudeに貼り付ければ、入口の検査も出口の制限も届かず、会社の記録にも残りません。

Teamでも、自社のドメインを認証すれば、そのドメインで新しい個人アカウントを作れないようにできます。
すでにある個人アカウントを会社の組織に取り込めるのは、Enterpriseだけです。
社内のネットワークから、会社が認めた組織以外につながせない「Tenant Restrictions」も、Enterprise向けの機能です。

社員がClaudeに貼り付けるとき、会社のアカウントなら入口・出口・記録の仕組みが効き、個人アカウントならどの仕組みも届かないことを示した図。新しい個人アカウントの作成はドメイン認証でTeamでも止められ、既存アカウントの取り込みとTenant RestrictionsはEnterprise向け

把握できていない利用の見つけ方は、シャドーAI(野良AI)とは。禁止せずに見える化と正規の道で減らす対策で扱っています。

記録は、Enterpriseなら監査ログとCompliance APIで追える

止める仕組みがあっても、何が止まり、何が通ったかが残らなければ、セキュリティ部門に説明できません。
記録の詳しい扱いは改めて整理するので、ここではプランの違いだけ押さえておきます。

Enterpriseでは、OwnerとPrimary Ownerが過去180日分の監査ログを書き出せます。
ただ、監査ログに入るのは操作の記録で、チャットの本文やタイトルは入らず、識別用のIDだけが残ります。

会話の中身は、記録を取り出すための窓口「Compliance API」で取り出します。
こちらもEnterprise向けで、チャットに加えてCoworkやClaude Codeのセッションの記録も対象です。
Inference hooksで拒否した記録も、組織の活動記録(Activity Feed)に残ります。
Teamには監査ログがないので、記録を重く見る会社には、ここもプランを選ぶ材料になります。

プランで分けると、入口と記録はEnterprise、出口はTeamでも押さえられる

ここまでの仕組みを、使えるプランで並べ直しておきます。

Enterpriseだけなのは、送る前の検査、監査ログ、Compliance API、既存の個人アカウントの取り込み、Tenant Restrictionsです。
入口と記録を固めたいなら、Enterpriseを検討する理由になると思います。

一方で、出口の3つのスイッチ、評価ボタンの停止、新しい個人アカウントを作らせない設定はTeamでも使えます。
Claude Codeの設定を組織から配る「Managed settings」も、TeamとEnterpriseの両方が対象です。

Claudeの機密情報対策をプランで分けた図。外部共有・社外招待・コネクタの制限、評価ボタンの送信の停止、新しい個人アカウントを作らせない設定、Claude Codeの設定の配布はTeamでも使え、送る前の検査、監査ログ、Compliance API、既存の個人アカウントの取り込み、Tenant RestrictionsはEnterpriseだけ。最初に手を付けるのは出口

最初に手を付けるなら、どこからがよいでしょうか?
筆者は、設定を切り替えるだけで済む出口からがよいと思っています。

セキュリティ部門には、できることと一緒に、止められないことも最初に並べておきます。
画像だけの内容や音声の一部、API経由の利用は検査の外で、個人アカウントには会社の仕組みが届きません。
その部分はガイドラインと教育で補う、と先に伝えておくほうが、話は早く進むと思います。

ガイドラインと設定の両方から、一緒に決められます

どこまでを仕組みで止め、どこからをルールと教育で補うかは、契約しているプランや扱う情報によって答えが変わります。
「何を入れてはいけないか」と「どの設定で守らせるか」は、担当する部署が分かれていることも多いと思います。

当社のAI活用の伴走支援では、AI利用ガイドラインの策定から、ClaudeやGeminiの管理者設定の見直しまでを一緒に進めています。
セキュリティ部門への説明で手が止まっているときは、説明の材料づくりから相談していただけます。

注意書きを仕組みに変えるのは、外に出る道を閉じるところから

Claudeでは、送る前の検査を入口に、外部共有・社外招待・コネクタを出口に、監査ログやCompliance APIを記録に置けます。
入口と記録はEnterpriseが前提ですが、出口の設定はTeamでもすぐに見直せます。

最初に見直すなら、組織設定のExternal sharingと組織外へのメール招待、それにコネクタの書き込みが「Always allow」になっていないか、の3つです。

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

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