組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

マニュアル作成ツールとAIの使い方。操作の録画からGeminiで手順書を自動で作る

マニュアル作成ツールとAIの使い方。操作の録画からGeminiで手順書を自動で作る

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

マニュアル作成ツールを探しているなら、操作する画面を録画して、AIに手順を書かせる方法が手軽です。
Windowsなら標準のSnipping Toolで録画でき、その動画をGeminiに渡して手順書にします。

作らずにすぐ使いたいときは、そのまま使える業務アプリもあります。
マニュアルが続かない理由は3つあり、直接の原因は作る時間ではなく、更新の経路がないことです。

マニュアル整備が続かない3つの理由と、それぞれの対処を左右に並べた図。作るのに時間がかかる、誰の業務か決まっていない、更新の経路がない。続かない直接の理由になるのは更新の経路

マニュアル作成ツールの使い方。操作の録画から手順書を作る手順

録画から手順書ができるまでは、次の6つの手順です。

1. WindowsのSnipping Toolで「録画」から「新規」を選ぶか、Windowsロゴキー+Shift+Rを押す
2. 録る範囲を選んで「開始」を押し、話しながら操作する
3. 終わったら「停止」を押して、動画を保存する
4. Geminiの追加ボタンから「ファイルをアップロード」を選び、動画を渡す
5. 下のプロンプトの例を貼って、手順書にまとめさせる
6. 本人が読み、抜けと誤りを直す

Geminiに貼るプロンプトの例は、次のとおりです。

添付の動画は、業務の操作画面の録画です。

手順書にまとめてください。

項目は、目的、前提(必要な権限や準備するもの)、手順(3〜7ステップ)、判断が必要な箇所、困ったときの相談先の5つです。

話している内容から、判断の理由も拾ってください。

画面に映っていない内容は、推測で書かず「要確認」と書いてください。

具体的には、最後の1行を入れておくと、AIが画面に映っていない手順を作り話で埋めるのを防げます。
業務でそのまま使えるプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にまとめています。

録画の手順は、Microsoftの説明にあります。
動画の上限は、Geminiのヘルプで1ファイル2GBまで、合計5分までと説明されています。
Google AI ProとUltraでは合計1時間で、仕事用のアカウントでドライブから追加するには管理者の設定が要ります。

そのため、録画は1本5分前後に区切ります。
長い手順は、そもそも分けたほうが読みやすくなります。

一度で思いどおりの手順書にならないときは、直したい所をチャットで続けて頼みます。
画面の数字や項目名を正確に残したい場所は、静止画のキャプチャも一緒に渡します。

手順書に入れる5項目

形式は、次の5項目にそろえます。

  • 目的

  • 前提

  • 手順

  • 判断が必要な箇所

  • 相談先

手順は3〜7ステップにして、超えるときはマニュアル自体を分けます。
長いものは、そもそも最後まで読まれません。

手順だけなら誰でも書けますが、判断の基準は経験がある人にしか書けません。
そのため、なかでも価値が高いのが「判断が必要な箇所」です。
これを録画から取るには話しながら操作してもらう必要があり、操作だけを見ても「なぜそうしたか」は分かりません。
先ほどの「話しながら」は、この項目のためでもあります。

話しながら操作した10〜20分の録画から、目的・前提・手順・判断が必要な箇所・相談先の5項目のマニュアルを起こす図。最も価値が高いのは判断が必要な箇所で、1本2〜3時間かかっていた作成が30分程度になる

作成した日付も明記しておきます。
手順を言語化して型として資産にする考え方は、仕事の手順をAIに覚えさせる。社内の「型」を資産化する考え方で扱っています。

作らずにすぐ使うなら、業務アプリの操作録画→手順書

録画を渡す作業も省きたいときは、業務アプリの操作録画→手順書をそのまま使う方法があります。
操作録画を渡すと、手順書を自動生成するためのアプリです。

私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」には、こうしたすぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。
入力できる項目や画面は、アプリのページで確かめてください。

マニュアルが作られた瞬間から古くなる理由

ここからは、マニュアルを組織で作り続ける話です。
システムの画面が変わり、承認の経路が変わり、条件が変わるので、業務の手順そのものは変わり続けます。
ところが、マニュアルのほうは作った時点の手順のままなので、書かれたとおりにやってうまくいかないと混乱が起きます。

古いマニュアルは、ないよりも悪いものです。
ただ、一度古くなると「あれは古いから」という認識が広がって誰も見なくなるので、難しいのは作るより更新し続けるほうです。

続かない理由は、次の3つです。

  • 作るのに時間がかかる

  • 誰の業務か決まっていない

  • 更新の経路がない

手順を書いて画面を貼って確認するので、作るのに1本で2〜3時間かかることが最初の壁になります。
「時間があるときに」では進まず、誰の業務か決まっていないことも止まる原因です。
続かない直接の理由になるのは、手順が変わったときに直す工程がない、更新の経路のほうです。

更新が10分で済むなら、手順が変わったときにすぐ直せます。
録画から起こすマニュアルの自動作成なら、2〜3時間かかっていた作成が30分程度になるのが目安で、時間の壁が解ければ経路の問題も解けやすくなります。
動画を渡す形での内製は、動画を渡すだけで業務が変わる。マニュアル化と書類デジタル化の内製にまとめてあります。

更新のオーナーと、手順の変更に気づく経路

続けるための本体は、更新のオーナーを決めるところにあります。
推進担当や総務が持つと、手順が変わったこと自体に気づけないので、オーナーはその業務をやっている人にします。

更新のきっかけは、手順が変わったときと、四半期に一度の確認の2つです。
変わっていないかを見るだけなので、5分で足ります。

システムの変更は情シスが把握していても、マニュアルの担当には伝わりません。
だから、システムの変更の通知に「この変更で影響するマニュアルを確認してください」という一文を足します。
一言でいうと、これが最も早い検知手段になります。

手順が変わったとき、四半期に一度、使う人が気づいたときの3つの時点で、システムの変更通知・業務の担当者・使う人がそれぞれ何をするかを示した図。直すのはいつも業務の担当者で、システムの変更通知にマニュアルの確認を1項目足すのが最も早い検知手段

あわせて、使う人からの指摘の経路も作っておきます。
「この手順が違います」という報告を受け付ける形にするものです。

更新を10分で終わる形にして、新人につなぐ

更新そのものも軽くします。
全部を作り直さず、変わった部分だけ10分録画して該当のステップを差し替えるので、ステップごとに独立した構造にしておきます。
いつ・どこを・なぜ変えたかを1行で残すと、使う側が内容を信頼できます。

1年以上更新されていないものは、一覧で検出して、それぞれのオーナーに確認します。

使いどころとして最も価値が出るのは、新しく入った人へのオンボーディングです。
入社初日、1週目、1か月目のように渡す順序を決めておき、分からなかった箇所を報告してもらいます。
新人は前提を知らないので、説明が足りない箇所がそのまま浮かび上がります。

逆に言うと、経験がある人は、書かれていない部分を無意識に補って読んでしまうので、既にいる人にはこの不足が見えません。
新人の報告を反映して次の新人に渡す、この循環が1年続くとマニュアルの質は大きく変わります。

新人に使ってもらい、分からなかった箇所を報告してもらい、マニュアルに反映して、次の新人に渡すという繰り返しを示した図。この循環が1年続くとマニュアルの質は大きく変わる

報告は依頼しなければ上がってこないので、「分からなかった箇所を報告してください」と明示的に頼みます。
引き継ぎの側の設計は、担当が変わってもAI業務が止まらない。引き継ぎパッケージの設計にまとめてあります。

最初に作るマニュアルの優先順位

どこから作るかの条件は、同じ質問が繰り返し来る作業、1人しかできない作業、新人が最初にやる作業の3つです。
「この申請はどこから出すんでしたっけ?」のような質問が何度も来る作業が、同じ質問が繰り返し来る作業です。
質問そのものが減るので効果が明確で、「この作業についての質問が減った」という形で測れます。
なかでも確実なのは同じ質問が繰り返し来る作業から始めることです。

どこからマニュアルを作るかの優先順位。同じ質問が繰り返し来る作業を最初に、次に1人しかできない作業、新人が最初にやる作業を示した図

次に影響が大きいのは1人しかできない作業ですが、本人の協力が要ります。
「あなたがいなくても回るようにする」と受け取られると、協力は得られません。
「あなたが休めるようにする」という言い方にすると、引き継ぎのリスクが下がる話として伝わります。

会話の記録からFAQを作る話は、現場の会話からFAQを作る。商談ログとチャットログを資産化するで扱っています。

つまずきやすいのは、次の7つです。

  • ゼロから手順を書く

  • 無言で操作してもらう

  • 長い録画を1本にする

  • 更新のオーナーを推進担当や総務にする

  • 手順が変わったことを検知する経路を作らない

  • 全部を作り直して更新する

  • 新人に「分からなかった箇所を報告してください」と頼まない

どれも、録画から起こして話しながら操作し、5分前後に分けて業務の担当がオーナーになり、変更の通知に1項目足して変わった箇所だけ直し、報告を頼めば防げます。

マニュアル整備は、業務整理と同じ作業

作る作業そのものは軽くできます。
残るのは「何を書くか」という判断です。
手順を書くと無駄な工程が見えて「この確認は本当に必要か」「この承認は誰のためか」という問いが出てくるので、マニュアルを作る作業は業務を整理する作業とほとんど同じです。

無駄な工程を含んだマニュアルを作ると、その無駄のほうが固定されてしまいます。
マニュアル化の前に、業務そのものを見直したほうがよい場合があります。
「判断が必要な箇所」を挙げると、基準が曖昧な部分も見えますが、基準を決めるのはその領域の責任者で、マニュアルの担当だけでは決められません。

部門をまたぐ業務のマニュアルには、部門間の合意も要ります。
情報を構造化する作業全体の進め方は、バラバラな情報を構造化する。フロー図・表・マニュアルを一気に作るにまとめてあります。

私たちが提供しているAI伴走支援では、業務の整理とマニュアルの整備を同時に進める形をとっています。
マニュアルを作ろうとしたら業務の見直しが必要になった、という状態なら、進め方の参考になるかもしれません。

更新の経路さえあれば、マニュアルは古くならない

マニュアルを作る手順は、操作を録画して、Geminiに渡し、プロンプトで手順書に起こし、本人が確認する流れです。
録画は話しながら操作し、5分前後に区切ります。

更新は、その業務をやっている人がオーナーになり、手順が変わったときと四半期の確認、使う人からの指摘で気づく形にします。
変わった箇所だけを10分で直す形にすれば、更新は止まりません。

同じ質問が繰り返し来る作業を1つ選んで、5分ほど録画し、手順書を起こすところから動いてみましょう。

参照した情報(2026年11月1日に確認)

すぐ使える業務アプリが300以上

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

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