
スイムレーン図の書き方と作成ツール。業務の説明文やPC録画からGeminiでフロー図を作る
2026/08/26
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
スイムレーン図は、担当者や部署ごとに横のレーンを分けて、誰がどの順番で何をするかを1枚に示す図です。
いちばん簡単な作り方は、業務の流れを「誰が、何をして、次に誰へ渡すか」の文にして、担当ごとの行がある表に並べる方法です。
文章にするのが難しいときは、操作の画面を録画してGeminiに手順を書かせ、そこから図にする方法もあります。

スイムレーン図を表で作る手順
ExcelやGoogleスプレッドシートの表があれば、専用のソフトがなくても作れます。
1. 図にする業務を1つ決める
2. 業務に関わる担当者か部署を洗い出す
3. 工程を「誰が、何をする」の形で1行ずつ書く
4. 表の左端の列に担当を縦に並べ、それぞれをレーンにする
5. 工程を流れの順に左から右へ、担当の行のセルに入れていく
6. 分岐や差し戻しは、行き先の工程名を工程のセルに書き足す
7. 担当者本人に見せて、抜けと誤りを直す
専用のツールを使うなら、MicrosoftのVisioに「クロスファンクショナル フローチャート」のテンプレートがあります。
Microsoftの説明では、レーンは部署や役職などの担当ごとの帯で、各工程の図形はその工程を担当するレーンに置くと書かれています。
対応するのはVisio Plan 1とVisioのStandard・Professionalで、Microsoft 365のVisioでは使えないと説明されています。
業務の説明文からAIでフロー図の表を作る
業務の流れを文で書ければ、AIに表の形へ整えさせられます。
フローチャートをAIで作成するときも、同じ考え方です。
Geminiの入力欄に、次のプロンプトの例を貼り、最後に業務の説明を続けます。
次の業務の流れを、スイムレーン図にするための表にしてください。
担当ごとに行を分け、工程を流れの順に左から右へ並べてください。
分岐がある場合は、条件と行き先を工程の中に書いてください。
業務の流れは次のとおりです。
返ってきた表は、担当の抜けと工程の順番を目で確かめてから、スライドやExcelに貼ります。
一度で思いどおりにならないときは、直したい所をチャットで続けて頼みます。
業務でそのまま使えるプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にまとめています。
プロンプトの書き方のコツは、全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本で扱っています。
PC録画から手順を起こして、フロー図にする
説明文を書く時間がないときは、普段どおり操作した画面を録画して、それを元に手順書を作ります。
進め方は、録画、詳細な手順書、フロー図の3段階です。
1. WindowsのSnipping Toolで「録画」から「新規」を選ぶか、Windowsロゴキー+Shift+Rを押す
2. 録る範囲を選んで「開始」を押し、話しながら操作する
3. 終わったら「停止」を押して、動画を保存する
4. Geminiの追加ボタンから「ファイルをアップロード」を選び、動画を渡す
5. プロンプトで、どの画面で何をしたかを時系列でまとめさせる
6. できた手順書を、前の節の手順で表にする
Snipping Toolの録画の手順は、Microsoftの説明にあります。
動画の上限は、Geminiのヘルプで1ファイル2GBまで、合計5分までと説明されています。
Google AI ProとUltraでは合計1時間で、仕事用のアカウントでドライブから追加するには管理者の設定が要ります。
そのため、1回の録画は5分前後に区切り、工程ごとに分けて渡します。
30分の録画を一度に渡すと、細部が落ちるからです。
精度を上げるコツは、話しながら操作することです。
「いまここを確認しています」「これは前月分と比べています」といった判断の理由が音声に入ると、手順書の質が大きく変わります。
重要な画面は静止画のキャプチャも渡すと、映っている数字や項目名が正確に取れます。
起こした手順書は、必ず本人に見せます。
抜けと誤りはここで見つかり、確認は10分で終わります。
とはいえ、手順書の段階で止めても、そのままマニュアルとして使えます。
作らずにすぐ使うなら、業務アプリの業務フロー図生成
表を作る時間も省きたいときは、業務アプリの業務フロー図生成をそのまま使う方法があります。
名前のとおり、業務フロー図を作るためのアプリです。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」には、こうしたすぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。
入力できる項目や画面は、アプリのページで確かめてください。
フロー図が書けず、業務整理が止まる理由
ここからは、組織で業務フローを可視化していく話です。
業務改善の教科書には、必ず「まず現状の業務フローを可視化する」と書かれていて、実務ではここで止まります。
棚卸しから実装までの流れ全体は、業務のAI化の進め方。棚卸しから優先順位付け・実装までの手順にまとめてあります。
書けない原因は、次の3つです。
ヒアリングでは正確な手順が出ない
分岐が把握できない
書く人の時間がない
本人が無意識にやっている操作は、説明では飛ばされます。
例えば、「そこでシステムを開いて」の前に別の画面で条件を確認していた、という工程が抜けます。
ただ、分岐は、「普通はこうだけど、例外の場合は違う」という部分が口頭では網羅されず、例外の処理のほうに時間がかかる場合が多いです。
推進担当が全部門のフロー図を書く時間はなく、現場に書かせても粒度がばらつきます。
録画から起こすと、手順の抜けと書く時間の問題が解決します。
ただし分岐のほうは録画でも網羅できないので、別の手が必要になります。

例外の割合を1問で聞く
手順書ができたあとに、「この手順で進まないケースは、どのくらいありますか?」と1問だけ聞きます。
割合を数字で聞くのが要点で、「10件のうち2件くらい」という答えなら、例外は2割です。
逆に言うと、例外が3割を超える業務は、AI化しても人の確認が毎回入るので、効果が出ません。
先に例外のルールを言語化して減らすほうが先、という判断になります。
例外の種類は、多いものを3つまで挙げてもらえば足ります。
この聞き取りは5分で終わりますし、録画で手順が固まっているぶん、聞く内容が絞れるのがこの順序の利点です。

1業務から部門、全社の業務マップへの広げ方
最初は1業務から始めます。
選ぶ条件は、画面の操作が中心である、担当者が協力的である、頻度が高い、の3つです。
録画を撮って手順書を起こし、本人に確認してもらうところまでで足り、フロー図まで作らなくて構いません。
1業務で成立したら、部門の主要業務を5〜10業務ほど並行で進めます。
録画の依頼はまとめて出し、録画の要件は1枚で配ります。
画面全体を録る、話しながら操作する、個人情報が写る画面は避けるか後で隠す、長い場合は工程で区切る、の4つです。
何を入れてよいかの線引きは、生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするにまとめてあります。
手順を言語化して資産にするところまでは、仕事の手順をAIに覚えさせる。社内の「型」を資産化する考え方で扱っています。
部門ごとの整理が済んだら、部門をまたぐ受け渡しを洗い出します。
「営業が作った見積が経理に回る」「人事の申請が総務に渡る」といった箇所は、部門の中の改善と違って誰も持っていないので、改善の余地がいちばん大きい部分です。
待ち時間と、同じ情報を複数の部門が入力している箇所もあわせて書き込みます。
全社の業務マップは、完成させる必要はありません。
受け渡しだけを図にしても、優先度の高い改善が分かります。

録画を頼むときは、目的と範囲を先に伝える
録画は、監視だと受け取られる可能性があります。
伝えるのは、次の3つです。
目的は、業務を楽にするため
録画の範囲と保存期間
本人が確認してから使うこと
「作業を評価するためではありません」を先に言い、「この業務の操作画面だけ」「手順書を作ったら削除します」と範囲を示します。
本人が確認する工程があると伝えれば、自分の手を離れて何かに使われる、という印象が消えます。
推進担当が自分の業務を先に録画するのがいちばん効果的で、自分がやっていない作業を依頼すると意図のほうを疑われます。

作った手順書とフロー図の使い道、起きやすい失敗
作ったものは、AI化の検討以外にも使えます。
いちばん評価されるのはマニュアルで、詳細な手順書は新任者の教育にそのまま使えます。
そのほか、異動時の引き継ぎ資料、外部に発注するときの要件、内部統制の資料にもなります。
承認の経路や確認の工程が図になっているので、統制の説明に使えます。
引き継ぎの様式は、担当が変わってもAI業務が止まらない。引き継ぎパッケージの設計で扱っています。

AI化の検討として始めた作業が、教育と引き継ぎの改善として評価されるのは、実務でよくある展開です。
具体的には、社内への説明で教育と引き継ぎの改善を前面に出したほうが、協力を得やすいでしょう。
起きやすい失敗は、フロー図から先に書く、無言のまま操作してもらう、長い録画を一度に処理する、例外を聞かない、録画の目的を説明せずに依頼する、全社の業務マップを完成させようとする、の6つです。
どれも、録画から順に起こし、話しながら操作してもらい、工程で区切って例外の割合を聞き、目的を先に伝えて受け渡しだけを図にすれば防げます。
可視化のあとは、どの工程にどの手段を当てるかを決める段階に入ります。
ここをAIに任せる、ここは自動化のフローで回す、ここは前提の整備が必要、ここは人が持つ、という切り分けです。
部門をまたぐ受け渡しの改善は部門間の合意も要り、双方に利害があるので、社内だけでは動きにくいところです。
私たちが提供しているAI伴走支援では、業務フローの整理から打ち手の設計、実装まで一緒に進めています。
フロー図はできたが次の一手が決まらない、という状態の場合は、進め方の参考になるかもしれません。
スイムレーン図は、1業務の説明か録画から作り始める
スイムレーン図は、担当ごとに行を分けた表に、「誰が、何をする」の工程を流れの順に並べれば作れます。
文章にできないときは、5分前後に区切った録画をGeminiに渡し、手順書を起こしてから表にします。
まずは自分の業務を1つ選んで、工程を10行ほど書いてみてください。
参照した情報(2026年11月1日に確認)
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
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