
社内広報のやり方。現場の成功事例をAIで記事にして、他の部門に広げる手順
2026/09/15
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
社内広報で現場の成功事例を広げるには、事例の形をそろえ、載せる場所と頻度を先に決めます。
手順は、事例にする取り組みを選ぶ、本人に30分聞き取る、AIで600〜800字の事例に整える、本人に確認してから載せる、の4つで足ります。
共有されない理由は、共有する手間、自慢に見える感覚、共有する場がないことの3つで、それぞれ対処が決まっています。

現場で良い取り組みが起きていても、他の部門はそれを知りません。
半年後に別の部門が同じ取り組みを一から始め、同じ試行錯誤をもう一度繰り返します。
成功事例の横展開が進まない原因の多くは、社内事例の共有にかかる手間です。
社内のAIボットを共通資産にする全体像は、社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめてあります。
社内広報で成功事例を伝える手順
いちばん簡単なのは、推進担当が聞き取って、AIで事例の形に整える方法です。
本人に文章を書かせると、追加の業務になって続きません。
次の順に進めてください。
1. 伝える相手を、同じ状況にいる他の部門の社員に決める
2. 載せる場所と頻度を決める。社内報、社内チャット、定例会議の10分のうち1つを選び、月1回にする
3. 事例にする取り組みを、まず3〜5件選ぶ
4. 本人に30分で聞き取る
5. 聞き取りメモをAIに貼り、600〜800字の事例に整えさせる
6. 本人に内容を確認してもらってから載せる
7. 載せたあとに、他の部門から反応があるかを見る
プロンプトは、次のような形でそのまま貼れます。
次の聞き取りメモを、社内広報用の事例にまとめてください。
何に困っていたか、やったこと、結果、うまくいかなかったこと、連絡先の5項目に分け、全体で600〜800字にしてください。
メモにない数字や事実は足さず、分からない項目は「要確認」と書いてください。
聞き取りメモ:(ここに貼る)
プロンプトの例を増やしたいときは、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方が使えます。
一度で思いどおりの文章にならないこともあるので、長い、数字が足りないなど直したい点をAIに伝えて、作り直させます。
聞き取りメモに個人名や社外秘が入るときは、会社で使ってよいAIに貼ります。
貼る前に名前を伏せる手順は、個人情報のマスキング方法。AIに渡す前に名前や連絡先を伏せる手順を標準の工程にするにまとめてあります。
事例の形に整える作業は、すぐ使えるツールでも行えます。
業務ツール「導入事例コンテンツ生成」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。
共有されない理由と、聞き取りの5項目
共有が進まない理由の1つ目は、何をやったかを文章にする作業が、本人にとって追加の業務になる点です。
2つ目は、自分の成果を出すのが自慢しているように見えて、「うちの部門ではこうやっています」と言いにくい点です。
3つ目は、どこに書けばよいかが決まっていない点です。
なかでも最も大きいのが共有する手間で、ここはAIで軽くできます。
推進担当が聞き取って書く形にすると、自慢に見える感覚への対処にもなります。
聞き取りは、本人の負担を最小にするため30分に収めます。
聞くのは次の5つです。
何に困っていたか
何をやったか
どうなったか
うまくいかなかった点
他の部門でも使えそうか
何に困っていたかは状況、何をやったかは取り組みの内容、どうなったかは結果で、数字があれば数字で聞きます。
他の部門でも使えそうかは、本人の判断を聞きます。
成功だけを書くと「うまくいった話」として読まれて終わるので、なかでも最も価値のある項目が、うまくいかなかった点です。

うまくいかなかった内容が書かれていれば、他の部門が同じ失敗を避けられます。
「最初は全社に配ろうとして止まった」という一文があるだけで、次の部門は小さく始めることを選べます。
事例の書式と、最初の3〜5件
書式は5項目にそろえます。
何に困っていたか、やったこと、結果、うまくいかなかったこと、連絡先です。
何に困っていたかは、2〜3行で、同じ状況の部門があるかを判断できる形で書きます。
やったことは具体的に書き、使ったものを明記します。
結果は数字か、定性的な変化で書きます。
うまくいかなかったことは、1〜2件です。
事例を読んで「詳しく聞きたい」と思った人が実際に聞ける経路を作れるので、なかでも要点になるのが連絡先を入れる点です。
長いと読まれないので、分量は600〜800字にします。
読み手が「自分に関係あるか」を判断できるよう、最初に「何に困っていたか」を置きます。

最初は3〜5件の事例を作って、社内に共有するところから始めます。
選ぶ条件は、結果が出ている、他の部門でも使えそう、本人が協力的、の3つです。
ただ、最初は推進担当が聞き取って、本人には書かせません。
小さい事例で構いません。
大きな取り組みは他の部門ではそのまま再現できないので、むしろ小さい事例のほうが真似しやすいものです。
「議事録の作成が60分から15分になった」という程度のもので十分です。
1か月で3〜5件を目安にして、共有した後に「それ欲しい」という声が出るかを見ます。
出れば、事例化が機能している証拠になります。
現場発のツールを形にする話は「あったら便利」を1日で形にする。現場発ツールの作り方と社内配布にまとめてあります。
定例の共有と、社外発信の判断
事例が溜まったら、月1回の共有の場を作ります。
時間は10分で、事例を1〜2件紹介する程度です。
推進担当が代わりに話すより本人が話すほうが伝わるので、話すのは本人にします。
話す内容は、何に困っていたか、何をやったか、どうなったかの3つに絞り、「うまくいかなかったこと」を1件足します。
質問の時間も5分取っておくと、ここで「それ欲しい」という声が出ます。
新しく会議を作らずに、朝礼や定例会議の枠から10分をもらう形にします。
話す機会があること自体が、報告する動機にもなります。
話す人は、毎月違う部門から持ち回りにします。
現場が自分で作れる状態にしていく話は現場が業務ツールを自分で作れる組織になる。内製化の入口設計で扱っています。
社内向けの事例でも、社員の実名や顔写真を載せるときは、本人の同意を得てからにします。
社内での共有が目的なら、そこで足ります。
社外への発信に広げる場合は、そこで別の判断が要ります。
社内向けの事例は、そのまま社外に出しません。
具体的には、次の4つを変換します。
具体的な数字
使ったものの名称
課題の記述
個人名
数字は、社内では出せても社外には出せない場合があります。
使ったものの名称は、特定のサービス名を出してよいかを確認します。
社内では正直に書いてよい内容が、社外では自社の弱みとして読まれる可能性があるので、なかでも課題の記述が最も注意の要る部分です。

社外に出ることを伝えて、内容を確認してもらい、本人の了解を必ず得ておきます。
そもそも社外発信は、無理にやる必要がありません。
事例が集まる仕組みと、集まらないときの対処
推進担当が聞きに行く形は、数が増えると回らなくなります。
「こういうことをやりました」と自分から申告してもらう経路を作り、報告の様式は3行にしておきます。
何をやってどうなったかが分かれば十分で、詳細はこちらから聞き取ればよいからです。
日々の記録から拾う形は、日報と振り返りを経験学習の装置にするにまとめてあります。
報告の動機は、次の3つです。
共有の場で話す機会
上司への実績の共有
他の部門からの「それ欲しい」という反応
共有の場で話す機会は、認められる機会になります。
上司への実績の共有は、四半期に一度、事例を出した人の一覧を部門長に共有する形です。
他の部門から求められることほど報告の動機になるものはないので、なかでも最も強く効くのが「それ欲しい」という反応です。

他の部門から「それ、うちの部門でも使えますか?」と聞かれるようになると、報告は自然に増えます。
そのためには、共有の場が先に要ります。
逆に言うと、共有の場がないと、事例が出ても反応が返ってきません。
集まらない場合の理由は、3つに分かれます。
そもそも取り組みが起きていない(事例化ではなく活用の問題です)、自分の取り組みが事例に値すると思っていない、報告する経路を知らない、の3つです。
「こんな小さいことは」という判断で止まっていることが多いので、「小さいことでも報告してください」と明示します。
推進担当が自分の小さい事例を最初に出すと、それで基準が伝わります。
「議事録の作成が短くなりました」程度のもので構いません。
1件でも出てきたら丁寧に扱い、共有の場で紹介して上司にも伝えておくと、次の報告につながります。
つまずきやすいのは7つあって、本人に事例を書かせる、成功だけを書く、大きな成果を求める、連絡先を書かない、新しく会議を作る、推進担当が聞きに行き続ける、社内向けの事例をそのまま社外に出す、の7つです。
どれも聞き取って整えて失敗も書いて基準を下げて聞ける相手を書いて既存の会議に10分足して自己申告の経路を作って4点を確認してから出せば避けられます。

事例を探せる場所に置き、作った人の名前を見えるようにする
事例化の作業そのものは、ここまでの手順で軽くできます。
ただ、難しいのはそれを続ける仕組みのほうです。
「それ欲しい」という反応が返ってくるには、まず事例が見られる必要があります。
そして、見られるには探せる場所に置かれている必要があります。
月1回の共有の場だけでは、その場にいなかった人には届きません。
新しく入った人には、過去の事例が伝わりません。
事例を読んで「それ欲しい」と思った人がそのまま使えるものにたどり着けるよう、事例とその事例で使われたものを一緒に置く必要があります。
作った人の名前が見えることが、賞賛の経路になります。
共有したのに使われないという状態への対処は共有したのに使われない。社内AI資産をカタログ化する、マニュアルの側を作り続ける話はマニュアル作成ツールとAIの使い方。操作の録画からGeminiで手順書を自動で作るにまとめてあります。
事例で使われたAIツールは、私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」に登録すると全社に公開され、「いいね」の数や使われた回数が作った人に返ってきます。
事例が共有されても横に広がらない、という状態で止まっている場合は、考え方の参考になるかもしれません。
聞き取り30分と本人の確認があれば、社内広報は続く
社内広報で事例が出てこないのは、共有する手間、自慢に見える感覚、場がないの3つが原因です。
一言でいうと、書く人の負担を下げ、見る人が探せる場所に置くのが社内広報の土台です。
手間はAIで軽くし、自慢に見える感覚は推進担当が聞き取ることで避け、場は既存の会議の10分で作ります。
聞き取りは30分・5項目で、うまくいかなかった点がいちばん価値のある項目です。
事例は600〜800字・5項目にそろえ、最初に「何に困っていたか」を置き、使ったものを明記して、連絡先を入れます。
載せる前には本人に確認してもらい、実名や顔写真は同意を得ます。
進め方は、推進担当が3〜5件聞き取り、月1回10分で本人が話す場を持ち、社外発信は判断してから出す順です。
自部門で起きている取り組みを1つ選び、30分聞き取って事例にすることから着手します。
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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