
競合比較表の作り方。URLや資料からAIで比較表を作りSWOTまで整理する
2026/09/03
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
競合比較表は、自社と競合の公開情報を、サービス・価格・対象顧客などの同じ項目で横に並べた1枚の表です。
作り方は、比べる会社を3〜5社に決め、各社のURLや公開資料をAIに渡して、決めた項目を表に抜き出させるのがいちばん簡単です。
表ができたら、その内容をSWOTに整理します。
競合調査は、「思い出したときだけ」やる仕事になりがちです。
商談で競合の名前が出たときに慌てて調べ、数か月たつと同じように調べ直すことになります。
競合調査を定例にするには、固定した8項目で3〜5社を四半期に一度調べ、30分の会議で打ち手を決める流れを先に作ります。
内製化の全体像は社内AIツールの内製化。現場が自分で作れる組織にするまでにまとめてあります。

競合比較表をAIで作る手順
競合調査が続かない理由は、1社に30分から1時間かかる、誰の業務か決まっていない、調べても打ち手につながらない、の3つです。
3つのなかで、最も本質的なのは、調べても打ち手につながらないことです。
時間の問題は、AIに表を作らせれば小さくなるので、比較表は次の5つの手順で作ります。

1. 比べる会社を、自社を含めて3〜5社に決めます
2. 比べる項目を8つに決めます
3. 各社の公式サイトのURLと、公開されている資料をAIに渡します
4. 項目ごとに、書かれている事実だけを表にしてもらいます
5. 出典のない欄は「不明」とし、推測と分けて残します
比べる会社は、商談で名前が挙がる社、同じ顧客層を対象にしている社、新しく出てきた社の3つから選びます。
AIがURLの中身を読めない場合は、サイトの文章をそのまま貼って渡します。
競合サイトの分析は、URLを渡して項目ごとに抜き出させるところから始めます。
AIに渡すプロンプトは、次のような形です。
会社の名前とURLを、実際に比べたい相手に書き換えます。
次の3社の公式サイトを、競合比較表にまとめてください。
比べる会社は、A社、B社、C社です。URLはそれぞれ下に貼ります。
項目は、提供しているサービス、価格の体系、対象とする顧客、訴求している内容、実績の記述、直近の発表、採用の動き、発信の内容の8つです。
サイトに書かれている事実だけを表にして、各欄に出典のURLを付けてください。書かれていない欄は「不明」としてください。
プロンプトの書き方は全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本に、業務でそのまま使える例はプロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にまとめています。
比較表は事実の整理で、SWOTは解釈なので、比較表を先に作ります。
事実が整理されていない状態でSWOTを作ると、ただの印象論になるからです。
「相手の弱みはこれだ」という判断は、公開情報だけでは確定できません。

競合比較表のテンプレート
比べる8項目と書き方を、次の表にまとめました。
書き方の例は、説明用に作った架空のA社です。
項目 | 書くこと | 書き方の例(架空のA社) |
|---|---|---|
提供しているサービス | サービスの名前と一覧 | 営業管理ツールと、導入の支援 |
価格の体系 | 公開されている範囲の料金 | 月額制。料金表は公開、上位のプランは問い合わせ |
対象とする顧客 | 業種と規模 | 従業員50〜300人の製造業 |
訴求している内容 | 何を強みとして語っているか | 「入力の手間をなくす」 |
実績の記述 | 導入企業の数、事例 | 導入事例を3件公開 |
直近の発表 | 新しいサービス、提携、資金の調達 | 新機能の追加を発表 |
採用の動き | どの職種を募集しているか | データ分析の職種を募集 |
発信の内容 | ブログ、事例、資料 | 月に2本のブログと、事例の資料 |
また、8項目は途中で変えません。
変えると前回と比較できなくなるので、どうしても追加が必要な場合は、追加した時点を記録しておきます。
このなかでは、採用の動きが意外なほど価値があります。
募集している職種を見ていくと、相手がいま何に投資しているのかが分かるからです。

作らずにすぐ使うなら、競合比較マトリクスの詳しいページで、できることと使い方を紹介しています。
価格の体系だけを比べたいときは、料金ページ比較表が使えます。
比較表のあとにSWOT分析をAIで作る
SWOTは、強み・弱み・機会・脅威の4つに整理する分、どうしても人の判断が入ります。
そのため、あくまで仮説として扱い、比較表の事実とは分けて残します。
AIには、作った比較表を渡して、次のように頼みます。
上の比較表をもとに、自社から見たSWOTを、強み・弱み・機会・脅威の順に2つずつ出してください。
それぞれ、根拠にした比較表の行を示してください。表から分からないことは、推測だと書いてください。
出てきた内容は、根拠の行を確かめてから使います。
競合調査が「思い出したときだけ」になる理由
ここからは、競合調査を定例の仕事にするための話です。
先に挙げた3つの理由を、順に見ていきます。
まず、時間がかかります。
1社を調べるのに30分から1時間かかり、5社もやれば半日が消えます。
次に、誰の業務か決まっていません。
営業なのか、マーケティングなのか、経営企画なのか、ここが曖昧なままだと、結局は誰もやりません。
もうひとつが、調べても打ち手につながらないことです。
情報を集めて資料にしても、「だから何をするか」が決まっていないので、そこで終わってしまいます。
この3つのなかでは、打ち手につながらないことがいちばん本質的です。
時間とオーナーの問題さえ解決すれば、打ち手につなげる工程のほうに取り組めるようになります。
頻度と対象の決め方
続けるには、頻度と対象を決めます。
頻度は四半期に一度が目安で、月次だと変化が小さすぎますし、年次だと見逃します。
対象は3〜5社にして、それ以上は調査の負荷のほうが大きくなります。
対象は毎回見直して、名前が挙がらなくなった社を外し、新しく挙がってきた社を入れます。
既存の競合だけを見ていると、新しく出てきた相手に気づけません。
外した社の記録は、残しておきます。
誰の業務なのかも、決めておきます。
マーケティングが持つのが自然で、それは施策の前提になる情報だからです。
対象を選ぶ材料としては、商談で競合の名前が挙がった件数を記録しておくのが最も確実です。
記録するのは、どの社の名前が挙がったか、どういう文脈で挙がったか、何と比較されたかの3つです。
商談のあとに、「どの社と、何で比べられましたか?」と1行で書いてもらうだけで、記録は集まります。
このなかでは、何と比較されたかが最も価値があります。
何で比較されているのかが分かると、調査の項目と提案の切り口の両方が決まるからです。
失注の理由と突き合わせておくと、どの社に負けているのかが、そのまま調査の優先順位になります。
調査そのものの自動化は、定例リサーチを人の手から外す。調査業務を自動化フローに組み込むにまとめてあります。
読み手ごとに分けた1枚を渡す
示唆を打ち手に変えるには、調査結果を誰が見るのかを決めておきます。
営業が見るのは商談で使える情報で、「この社と比較されたときの切り口」です。
マーケティングが見るのは訴求の内容で、「相手が何を強みとして語っているか」です。
経営が見るのは市場の動きで、「新しく出てきた社」「資金の調達」といったところです。
見るタイミングも、四半期の振り返りの場や営業会議といった、業務の動線のなかに組み込みます。
見る形も、読み手ごとに分けます。
営業には「比較されたときの切り口」を1枚、経営には「市場の変化」を1枚渡すと決めます。
全項目の比較表を全員に配っても、読まれません。

調査結果を読まれる形に変える話は、調査結果を読まれる形に変える。社内共有までを一連の業務にするにまとめてあります。
30分の会議で、変化と対応と次回の調査を決める
最後の工程が会議体で、ここが飛ばされると、調査がただの資料作りになります。
具体的には、四半期に一度、30分の場を作ります。
議題は、前回からの変化、その変化への対応、次回の調査の対象と項目の3つです。
変化がなければ1つ目は短く終わり、対応では、打ち手が要るか、要るなら誰がいつまでに何をするかを決めます。
次回の調査は、対象を追加するか、外すかを見直します。
打ち手は、1〜2件に絞ります。
5件も出してしまうと、結局どれも進みません。
対応しないと決めた場合も、理由を記録しておきます。
後から状況が変わったときに、そのときの判断の前提を確認できるからです。
参加者は、営業・マーケティング・経営の各1人です。
判断できる立場の人が入っていないと、そもそも打ち手が決まりません。

調査の限界と、事実と推測の分け方
公開情報だけでは、分からないことがあります。
分からないのは、取引で使われる価格(公開価格と違うことがあります)、顧客の数、内部の状況、今後の計画といったところです。
要点は、推測を事実として扱わないことです。
「おそらくこうだろう」という推測が、社内で事実として共有されてしまうと危険です。
そのため、事実と推測は分けて記録し、出典があるものを事実、それ以外を推測として扱います。
商談から得た情報は、別に持っておきます。
顧客から聞いた「他社はこう言っていた」という情報は、公開情報より実態に近いことがあります。
ただ、顧客の言葉をそのまま事実として扱わないことも大切です。
相手の記憶や解釈が入っているので、複数の顧客から同じ情報が出てきたら、そこで確度が上がります。
顧客像の言語化はペルソナ作成のやり方。テンプレートとGeminiで顧客像を作り、部署の共通言語にする、情報収集全体の仕組み化は業界情報のキャッチアップを仕組みにする。ニュース収集と要約配信、競合と市場の定常観測は競合・市場の情報収集を組織の定常業務にするにまとめてあります。
調査を打ち手に変える会議の設計の支援
会議体が機能するかどうかは、参加者の立場と、その場で決められる範囲で決まります。
参加者が担当レベルだけだと、予算も方針も自分では決められないので、判断ができません。
逆に経営だけだと、今度は実務の感覚のほうが入りません。
もちろん、競合の動きへの対応は、訴求の変更、価格の見直し、対象顧客の変更といった、施策の方向転換を含みます。
そのため、推進担当だけでは決められない領域です。
私たちが提供しているデジタル系企業向けのAI導入支援では、こうした調査を打ち手に変える会議の設計と、決まったことを実行に移すところまでを一緒に進めています。
調査はできるようになったが動かない、という状態で止まっている場合は、進め方の参考になるかもしれません。
主要3社の比較表を、まず1回作る
競合調査が「思い出したときだけ」で終わるのは、時間がかかり、誰の業務か決まらず、打ち手につながらないからです。
つまり、この3つが解決すれば、調査は定例の仕事に変わります。
まずは主要な競合3社について、8項目の比較表を1回作ってみます。
AIに渡すURLと項目が決まっていれば、1社ぶんは数分で表になります。
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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