組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

業界情報のキャッチアップを仕組みにする。ニュース収集と要約配信

業界情報のキャッチアップを仕組みにする。ニュース収集と要約配信

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

業界の動向を追うことは、どの職種でも必要になります。

ところが実際に追えているのは、余裕のある人だけだと思います。
情報が入っていないと、判断そのものが古い前提のまま行われます。
「それは半年前に変わっていますよ」という指摘が、社内ではなく社外から来ることもあります。

情報収集を個人の努力に任せている状態が、この問題の原因です。
今回は、ニュースを自動で収集してSlackのようなチャットに要約を配信する、その仕組み化について書いていきます。
情報収集と経営判断の全体像はAI推進担当者の情報収集と経営判断。リサーチとROIの設計にまとめてあります。

ニュース収集の進め方を3つのフェーズで示した図。フェーズ1はテーマを決めて集める、フェーズ2は要約して届ける、フェーズ3は月に1回、情報を打ち手に変える場をつくること。フェーズ3が最も飛ばされやすく、最も重要

情報収集が「余裕のある人だけ」になっている

なぜそうなってしまうのでしょうか?
理由は3つあり、ひとつは情報収集の時間が業務時間として認められていないので、結局は余裕のあるときだけの作業になることです。
2つ目は、どこを見ればいいか分からないうえに見に行く時間もかかるので、探すコストが高いことです。
3つ目は、集めたところで読む時間がなく、集めるだけで満足して終わることです。

探すコストと読む時間の2つは仕組みのほうで解決できるので、業務時間として認められていないという残る理由のほうも、自然と変わってきます。
探す時間がかからず、要約が届いて3分で読める状態なら、業務時間の中に収まるからです。

情報収集が余裕のある人だけになる3つの理由のうち、探すコストが高いことと読む時間がないことは仕組みで解決でき、解決すると業務時間として認められていないという残りの理由も自然と変わることを示した図

収集・蓄積・要約・配信の4工程で全体を組む

全体はどう組み立てればよいのでしょうか?
収集、蓄積、要約、配信という4つの工程に分かれます。
収集はテーマを決めて該当する情報を集める工程、蓄積は集めたものを表に溜める工程です。
要約は集めたものを読める分量にする工程、配信は読む人に届ける工程です。

なかでも、蓄積の工程が飛ばされがちだと思います。
配信だけして蓄積しないと、後から「あの記事はいつだったか」を追えなくなります。
蓄積があれば、月次や四半期でまとめて振り返れます。
「この3か月で、この分野に何が起きたか」をまとめられるようになるからです。

ニュース収集の仕組みを収集、蓄積、要約、配信の4つの工程で示した図。蓄積は飛ばされがちだが、後から振り返るために必要

リサーチそのものの自動化は定例リサーチを人の手から外す。調査業務を自動化フローに組み込むにまとめてあります。

フェーズ1と2:テーマを決めて集め、要約して届ける

導入はどこから始めればよいのでしょうか?
最初は収集で、テーマを3〜5個決めて情報を集める形を作ります。
このテーマの決め方が、全体のなかで最も重要だと思います。
広すぎると量が多くなり、狭すぎると情報そのものが来ないからです。

良いテーマの例は、自社の主要な製品分野の動向、主要な競合の名前、自社の顧客業界の規制の変更といったところです。
逆に「AI」「DX」のような広い言葉は、量が多くなりすぎて結局読めなくなるので避けます。

「自社の顧客業界」を入れるのも効きます。
自分の業界の情報より、顧客の業界の情報のほうが商談で使えるからです。

まず1〜2週間動かしてみて、1日に何件くらい来るのかという量を見ます。
1日10件を超えると読まれなくなるので、そこを目安にテーマを絞ります。
量の調整ができたら、次は要約と配信で、要約は1件あたり2〜3行にします。
タイトルだけでは判断できませんし、全文は読めないからです。

内容には、何が起きたか、自社に関係する点、元の記事へのリンクの3つを入れます。
なかでも「自社に関係する点」を入れておくのが要点です。
ここが抜けていると、読む側に判断する作業がそのまま残ってしまいます。

配信は1日1回か週1回にまとめます。
件ごとに通知すると、通知が多すぎて無視されるからです。

配信先は全社ではなく、そのテーマに関係する部門に絞ります。
関係のない情報が混ざった時点で、全体が読まれなくなるからです。
全体の分量は10行以内で、3〜5件をそれぞれ2〜3行で並べる形にします。

要約に入れる3つの項目として、何が起きたか、自社に関係する点、元の記事へのリンクを示した図。自社に関係する点が抜けると、読む側に判断する作業が残る。配信は1日1回か週1回にまとめ、関係する部門に絞る

調査結果の共有そのものは調査結果を読まれる形に変える。社内共有までを一連の業務にするで扱っています。

フェーズ3は、情報を議論の場につなぐ

この工程が最も飛ばされやすく、そして最も重要だと思います。
配信されても読まれなければ意味がありませんし、読まれても打ち手につながらなければ情報が流れていくだけだからです。
やることは、月に1回、集まった情報を打ち手に変える場を作ることです。
場の設計は30分、参加者は関係する部門の担当にします。

そこで、その月に集まった情報のうち、自社に関係するものを3つ選びます。
選んだ3つについて、試すかどうかをその場で決めます。
試すなら誰がいつまでに何をするか、試さないならその理由を1行だけ残しておきます。

この場がないと、情報収集の仕組みを作った意味そのものがなくなります。
「3つに絞る」のも要点で、5つ以上選ぶと結局どれも進まなくなります。

実装の費用についても書いておくと、この領域は費用をかけずに組めます。
収集は公開されているニュースの配信の仕組みを使えば費用はかかりませんし、蓄積も表に溜めるだけなので同様です。
配信もチャットへの通知なので、費用はかかりません。
費用がかかる可能性があるのは、要約の工程だけです。

ただ、1件あたりの量が小さいので、月に数百円程度で収まることが多いと思います。
全件を要約するのではなく、テーマに関係するものだけを絞り込んでから要約すると、その費用をさらに下げられます。
絞り込みそのものは、単純な条件だけでできます。
この構成なら月に数百円で回るので、費用を理由に止まる施策ではありません。

収集、蓄積、要約、配信の4工程のうち、費用がかかる可能性があるのは要約だけで、月に数百円程度で収まることが多いことを示した図。全件ではなくテーマに関係するものだけを要約すると、さらに下げられる

ニュース収集以外の自動化でも費用の見積もりを先に済ませたいときは、AIによる業務自動化の全体像。手段の選び方とコスト設計を判断の材料として使えます。

従量課金そのものの設計はAI利用の従量課金をコスト設計する。予算とガードレールの決め方にまとめてあります。

この作業に使える業務ツール「テーマ別ニュースのまとめ」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。

テーマは定期的に見直し、業務として位置づける

仕組みを作ったあとに、何をすればよいのでしょうか?
四半期に一度は、テーマを見直します。
見るのは3つで、件数、読まれているか、打ち手につながったかです。
件数はテーマごとに何件来ているかで、極端に少ないテーマはキーワードの設定のほうが悪いことが多いです。

読まれているかは、元の記事へのリンクがクリックされているかで、ここが低いテーマは関係が薄いということです。
打ち手につながったかは、月1回の場で選ばれた情報がどのテーマから来たかで、選ばれないテーマは外します。

四半期に一度テーマを見直すときに見る3つ。件数が極端に少ないテーマはキーワードの設定が悪い、リンクのクリックが低いテーマは関係が薄い、月1回の場で選ばれないテーマは外す。追加するときは1つ外し、3〜5個を維持する

「テーマを追加するときは、1つ外すこと」も原則にします。
テーマが増え続けると量が増えて読まれなくなるので、3〜5個を維持します。

仕組みだけでは解決しない部分もあります。
必要なのは2つで、ひとつは読む時間を業務時間として認めることです。
1日5分で構わないので、配信を読む時間を業務として認めます。

もうひとつは、月1回の場を業務の予定に入れておくことです。
きちんと30分の会議として設定しておかないと、「余裕があるときに」では開かれません。

また、「情報が入っていないことの損失」を、上司に共有しておきます。
判断が古い前提のまま行われる、社外から指摘される、といった損失です。

ここが伝わらないことには、読む時間そのものが認められません。
この2つは推進担当だけでは決められないので、部門長との合意が必要になります。

競合や市場の情報を定常業務にする話は競合・市場の情報収集を組織の定常業務にする、受付側の自動化は申込・問い合わせの一次対応を止めない。受付自動化の設計にまとめてあります。

情報を打ち手に変える場を、最後まで作り込む

ここまで書いてきたとおり、収集と配信の仕組みそのものは費用をかけずに組めます。
難しいのは、やはりフェーズ3のほうだと思います。
月に1回の場を作って、そこで情報を打ち手に変えます。
これは仕組みの話ではなく、運用の設計の話になります。

場が機能するかどうかは、参加者の立場と、その場で決められる範囲で決まってきます。
参加者が担当レベルだけだと、試す判断ができません。
試すための予算も時間も、自分では決められないからです。

逆に部門長だけだと、今度は実務の感覚が入りません。
「試す」と決めたものが実際に着手されるかは、また別の問題です。
通常業務の優先順位に押されて、そのまま止まることもあります。
ここを防ぐには、試行の時間を業務として確保しておく必要があります。

私たちが提供しているAIコンサルでは、こうした情報を打ち手に変える場の設計と、試行を業務に組み込むところまでを一緒に進めています。
情報は入るようになったが動かない、という状態で止まっている場合は、進め方の参考になるかもしれません。

情報は、場をつくって初めて動く

情報収集が余裕のある人だけになるのは、業務として位置づけられていない、探すコストが高い、読む時間がないという3つが原因です。
後ろの2つは仕組みで解決できますし、それが解決すると残る理由のほうも変わってきます。
構成は4工程で、収集、蓄積、要約、配信という並びです。
蓄積は飛ばしがちですが、後から振り返るために必要です。

進め方は3つのフェーズに分かれます。
テーマを3〜5個決め、要約して配信し、月1回の場で3つ選んで試すかどうかを決める、という並びです。
なかでもフェーズ3が、最も飛ばされやすく最も重要です。
この場がないと、集めた情報はただ流れていくだけで終わるからです。

費用のほうは、月に数百円程度で回ります。
また、四半期に一度はテーマを見直して、新しく追加するときには1つ外します。

最後に、読む時間と月1回の場を、業務として認めてもらいます。
ここだけは推進担当では決められないので、部門長との合意が必要になります。

まずはテーマを3つ決めて、1〜2週間集めてみて、量の感触をつかんでください。

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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