
ペルソナ作成のやり方。テンプレートとGeminiで顧客像を作り、部署の共通言語にする
2026/08/06
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
ペルソナを作成するなら、まず受注した顧客10社を表にして、AIに共通点を探してもらうのが近道です。
出てきた共通点を3〜5個のパターンに分けて、判断に使える8項目をそろえれば、ペルソナができあがります。

営業とマーケティングで顧客像を合わせたいなら、想像でテンプレートを埋めるより、実際の顧客から起こしたほうが部署の共通言語になります。
マーケティング業務への当てどころ全体はマーケティングのAI活用を型にする。調査・制作・分析の標準セットにまとめてあります。
営業とマーケの両方の使いどころを、ほかの職種とあわせて見比べるなら、職種別AI活用まとめ。営業・マーケ・人事・経理・法務の使いどころでまとめて見られます。
AIでペルソナを作成する手順
GeminiのチャットにBtoBの顧客の一覧を渡して、パターンに分けてもらいます。
用意するのは、受注した顧客の一覧と、失注した案件の一覧です。
1. 受注した顧客を10社並べ、業界・規模・部門・役職・決まったきっかけを表にする
2. 失注した案件も5〜10件並べ、同じ項目を書く
3. gemini.google.com を開き、表を入力欄に貼る
4. 下のプロンプトの例を貼って送る
5. 出てきたパターンを受注した顧客に当てはめ、合わないところを直してもらう
6. 各パターンに内容の分かる名前を付けて保存する
AIを使うのは、共通点の抽出とパターンの整理のところです。
表はファイルで渡しても構いません。
入力欄の「+」からファイルを追加します。
Geminiアプリのヘルプでは、ほとんどの形式に対応し、1回のプロンプトに最大10個まで添付できると説明されています。
Geminiに貼るプロンプトの例は次のとおりです。
次の表は、受注した顧客10社と、失注した案件の一覧です。
受注した顧客に共通する状況を探し、顧客像を3〜5パターンに分けてください。
失注した案件との違いも示し、対象にならない顧客の特徴も書いてください。
パターンごとに、企業の属性、部門と役職、置かれている状況、抱えている課題、課題を認識している度合い、判断の構造、予算の出どころ、決まらない理由を表にしてください。
表にない情報は推測せず、「不明」と書いてください。
最後の1行が非常に大切で、これがあるとAIが顧客の事情を作り話で埋めにくくなります。
業務でそのまま使えるプロンプトの例はプロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方に、プロンプトの書き方のコツは全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本にまとめています。
最初に出てくるパターンは、叩き台です。
一度で思いどおりにならないこともあるので、「パターンBの課題をもっと具体的に」「失注に多い特徴もパターンに入れて」と、チャットで頼みながら直していきます。
顧客の社名や担当者名は、AIに渡す表には入れません。
「製造業・従業員200名・総務部」のように属性だけにしておけば、共通点は探せます。
Geminiアプリのヘルプでは、「アクティビティの保存」がオンのときはチャットがサービスの改善に使われることがあり、人間のレビュアーが一部を確認することもあると説明されています。
ヘルプは、見られたくない機密情報を入力しないよう注意しています。
会社のアカウントでの扱いはプランや管理者の設定で変わるので、顧客の情報を入れてよい範囲は、社内の情報システムの担当者に確かめてください。
入れてよい情報の線引きは生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするで書いています。
受注と失注から起こすと、顧客像が具体的になる
顧客像がずれる原因は、記述が抽象的だからです。
抽象的だと、読む人が自分の経験で補ってしまうので、顧客像の言語化は、実際の顧客の事実から始めます。
「中小企業の経営者」「DXに関心のある担当者」「業務効率化を検討している企業」といった記述では、判断できません。
従業員10名と300名は別ですし、経営者と担当者では話が違うからです。
必要なのは、「このリードは対象か」「この訴求は刺さるか」を判断できる水準まで書く具体性です。
ペルソナの作り方としては、汎用のテンプレートを想像で埋めるのではなく、実際の顧客から起こします。
受注した顧客の共通点は、業界や規模より、状況に出ることが多いです。
「担当者が異動してきて半年」「情報システム部がない」「既に別のツールを入れて失敗している」といったものです。
失注した案件も並べるのは、受注と失注の差が、そのまま対象の線引きになるからです。
受注だけ見ると、対象が広く見えてしまいます。
また、実際の顧客は複数のパターンに分かれるので、1つに絞りません。
並べた情報を渡して共通点とパターンを抽出させると、人が気づかない共通点が出てくることがあります。
顧客像のずれが生む4つの損失
ペルソナの設計を後回しにすると、具体的な損失が出ます。
まず、マーケティングが経営層向けの発信で集めたリードを、営業が「担当者レベルでないと話が進まない」と言って追わず、費用をかけて集めたものが使われないままになります。
次に、マーケティングが作った資料を営業が使わず、想定している読み手が違うので、営業が自分で資料を作り始めます。
もうひとつが、誰に何を訴求するかが揃っていないために提案の内容がぶれる問題です。
さらに、「このリードは良質か」の判断基準が共通でないので、施策の成否が議論できないという問題もあります。
このなかで、リードが使われないことが最も金額として大きいと思います。
獲得の費用が、そのまま無駄になるからです。

ペルソナのテンプレートに入れる8項目
パターンごとに書く項目は、先に決めておきます。
次の8つです。
企業の属性
部門と役職
置かれている状況
抱えている課題
課題を認識している度合い
判断の構造
予算の出どころ
決まらない理由
抱えている課題は、金額か時間で語れるところまで具体的に書きます。
置かれている状況が最も判断に使えて、課題を認識している度合いで訴求が変わり、決まらない理由を書いておくと失注の予防になります。
この3つが、汎用のテンプレートには入っていない項目で、実務でも最も使われる項目です。

ペルソナの例を1つ挙げます。
「情シスなし・担当者一人型」というパターンを、次のように書きます(架空の例です)。
企業の属性は従業員100〜300名の製造業で、部門と役職は総務部の担当者です。
置かれている状況は、情報システム部がなく、担当者が異動してきて半年という状態です。
抱えている課題は、社内からの問い合わせ対応に毎月20時間ほどかかっていることです。
課題を認識している度合いは高く、判断は担当者が調べて部長が決める形で、予算は総務部から出ます。
決まらない理由は、前に入れたツールが定着しなかった経験です。
ペルソナは、リードの分類に使って初めて共通言語になる
作っただけでは共通言語にならない、という声は多いです。
運用の設計が必要です。
まず名前を付けます。
「パターンA」ではなく「情シスなし・担当者一人型」のように内容が分かる名前にすると、名前で呼べるようになって会話の中で使われます。
次に、リードの分類に使います。
問い合わせが来たときに、どのパターンに該当するかを記録しておくと、パターン別の受注率が出せるようになります。
また、資料の想定読者を明示します。
「この資料はパターンA向け」と書いておくと、営業が使う判断ができるようになります。
さらに、会議でも使います。
「これはどのパターン向けの施策?」と問う形にして、会議で自然に使われているかが、共通言語として機能しているかの目安です。
このなかでリードの分類が、運用の核心です。
分類が記録されていないと、パターンの妥当性を検証できないからです。

運用が回ると、検証できるようになります。
見るのは、パターン別のリード件数、パターン別の受注率、どのパターンにも当てはまらない件数の3つです。
ただ、件数が多いパターンと受注率が高いパターンは違うことがあるので、受注率の高いパターンに集中したほうが効率が良くなります。
「どのパターンにも当てはまらない」の割合を見るのが、設計の精度を測る最も簡単な方法だと思います。
3割を超えていたら、パターンのほうを見直します。

数字を判断に使う形にするところは数字を見える状態にする。データ集計と分析をAIで日常業務化するにまとめてあります。
更新はマーケが持ち、材料は営業から集める
作ったものは古くなるので、更新の設計もしておきます。
更新のオーナーはマーケティングに置きます。
顧客像は施策の前提なので、施策を打つ側が持つのが自然だからです。
更新のタイミングは、四半期に一度の定期と、新しいパターンが3件以上出たときの2つです。
更新の材料は、営業から来ます。
商談の記録、失注の理由、新しく出てきた課題です。
この情報が営業からマーケに流れる経路が必要になります。
経路の作り方としては、月1回30分の場を作ります。
営業が最近の商談で気づいたことを話して、マーケが施策の状況を話します。
この場がないと、顧客像が更新されません。
更新したことを周知するのも忘れないようにします。
更新版の場所を1つに決めて、変更点を通知します。

共通の前提をまとめて置く方法は毎回同じ前提を書かせない。組織の共通前提をデフォルト化するで扱っています。
気をつけたい失敗は6つあって、汎用のテンプレートを埋めること、失注した案件を見ないこと、1つのペルソナに絞ること、抽象的に書くこと、リードの分類を記録しないこと、営業からマーケへの情報の経路を作らないことです。
ヒアリングで何を聞くかの設計は商談の質を組織で引き上げる。AIでヒアリング設計を仕組みにする、その情報を提案に落とすところは提案が刺さらないを減らす。顧客に伝わるストーリーを組織で共有するにまとめてあります。
BtoBペルソナ生成で、作る手間を省く
ここまでの手順を毎回自分で組み立てずに、すぐ使いたいときのための業務アプリもあります。
この作業に使える業務ツール「BtoBペルソナ生成」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。
組織のAIポータル「AI Portalize」には、こうしたすぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。
こうした共通の前提づくりは、私たちのAI伴走支援でも、業務の洗い出しから入り、現場の担当者と一緒に手を動かして進めています。
顧客像は、受注した10社を並べるところから始める
ペルソナの作成は、受注した顧客10社と失注した案件を表にして、Geminiにパターンへ分けてもらうところから始まります。
パターンには内容の分かる名前を付けて、8項目で書きます。
そのあとは、リードの分類に使い続けます。
「どのパターンにも当てはまらない」が3割を超えたら見直し、更新は四半期に一度、材料は営業から集めます。
参照した情報(2026年11月1日に確認)
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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