
企画立案のリードタイムを短くする。検討工程をAIで前倒しする
2026/09/17
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
企画が動き出すまでに、数か月かかることがあります。
情報を集めて、検討して、企画書を作って、承認を得るという工程を順に回していくうちに、着手する頃には前提のほうが変わっています。
検討している間に機会を失うという、それ自体が損失になっている状態です。
今回は、企画の作成をAIで前倒しして、立案のリードタイムを短くする設計について書いていきます。
社内のAIボットを共通資産にする全体像のほうは社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめてあります。

企画が動き出すまでが遅い
何にいちばん時間がかかっているのでしょうか?
工程ごとに見ていきます。
情報を集めるのに2〜4週間(市場の状況、競合の動き、社内の実績)、仮説を立てるのに1〜2週間、企画書を作るのに1週間、承認を得るのに2〜4週間(稟議、会議での説明、修正)です。
合計すると6〜11週間かかる計算で、最も時間を食っているのが情報収集の工程になります。
また、情報収集には、途中で他の業務が割り込みます。
緊急性がない作業なので後回しになりやすく、実作業なら2週間で終わるものが実際には2か月かかることも起きるからです。
だから最初に短くすべきなのは、ここになります。

AIを使った企画作成を4週間の設計に収める
どう組み直せばよいのでしょうか?
全体を4週間で組み直します。
1週目が情報収集で、集める項目を固定してまとめて集めるところです。
2週目が仮説構築で、集めた情報から選択肢を出して選びます。
3週目が企画化で、選んだ方向を企画書にする。
4週目がレビューと意思決定で、レビューを受けて承認を得るという並びです。
各週の成果物は先に決めておき、1週目は情報の一覧、2週目は選択肢と選んだ案、3週目は企画書、4週目は承認です。
なかでも1週目に期限を切るのが最も重要で、情報収集には終わりがないので、期限がなければどこまでも延びるからです。
情報が足りなくても次に進むのは、足りない部分を企画の中に「確認が必要な点」として明示しておけば済むからです。
1週目で情報を集め、2週目で仮説にまとめる
1週目は、何から手をつければよいのでしょうか?
集める項目を先に5つ固定します。
「市場の状況」「競合の動き」「社内の実績」「顧客の声」「制約(予算、期間、体制)」です。
1項目1日、5日で終わる設計にします。
出典は必ず求め、分からない項目は「分からない」と書かせます。
埋めようとして推測が混ざると、そこが後で企画の弱点になるからです。
社内の実績と顧客の声は外ではなく社内から集めることになり、過去の案件の記録、商談の記録、問い合わせの内容といったところが材料になります。
なかでも顧客の声が最も価値があって、実際に語られた課題はそのまま企画の根拠になるからです。
また、制約を最初に確認しておくのは、予算と期間が決まらないまま進めると実現できない企画ができあがるからです。

競合の側を継続的に見る方法は競合調査を定例業務にする。URLから比較表とSWOTまで、顧客像の揃え方は顧客像の解像度を組織でそろえる。AIでペルソナを共通言語にするにまとめてあります。
2週目は、集めた情報から選択肢を出して選びます。
案は3つ出すことで、「既存の改善」「新しい手段」「何もしない場合」という並びになります。
各案について、「内容」「必要な資源」「想定される効果」「リスク」の4項目を並べます。
そこから1案に絞るのは人がやります。
ここで自社の事情が入ってくるので、機械的には決まらない部分だからです。
選んだ理由と選ばなかった理由の両方を記録しておくのは、後から前提を確認できますし、状況が変わったときに別の案へ戻れるからです。
あわせて、選んだ案について想定される課題を3つ挙げさせ、弱点を先に把握しておきます。
使う時間は、選択肢を出すのに1日、検討に1日、選ぶのに1日の3日で、残り2日は予備です。

案を1つに絞らずに選ぶ進め方は一案で決めない意思決定。複数案を出して選ぶプロセスを標準にするで扱っています。
3週目で企画書にし、4週目で決める
3週目は、どうまとめればよいのでしょうか?
選んだ方向を企画書にします。
そのときに、企画書の構成を型にしておきます。
毎回ゼロから考えるのではなく、決まった形に流し込む作業にします。
構成は7項目で、「背景と課題」「目的」「打ち手」「必要な資源」「期待する効果と測り方」「リスクと対策」「実施の進め方」です。
なかでも測り方を必ず入れます。
何で効果を測るかが決まっていないと、後から効果そのものを判断できなくなるからです。
あわせてリスクも書いておきます。
書いていないと、承認の場で質問されたときに答えられなくなります。
1週目に集めた情報は、出典つきの根拠としてそのまま添えます。
分量は本文3000字以内に制限して、詳細のほうは別紙に回す形にします。
使う時間は、骨子に1日、本文に1日、確認に1日の3日です。
情報を構造化して資料の形に落とす作業そのものはバラバラな情報を構造化する。フロー図・表・マニュアルを一気に作るにまとめてあります。
4週目はレビューと意思決定で、レビューの観点を先に決めておきます。
「顧客像が具体的か」「訴求が的を射ているか」「測り方が決まっているか」「実行できる規模か」の4つです。
もちろん、レビューの前に自分で一度通しておきます。
「この企画への最も強い反論を3つ挙げてください」と出させて、答えを準備しておきます。
承認の場には、選んだ案だけでなく検討した3案を持ち込みます。
「なぜこの案にしたか」を説明したうえで、判断してほしいことを1行目に書いておきます。
「〇〇を進めてよいかの判断をお願いします」というようにです。
決まらなかった場合の扱いも先に決めておき、持ち帰るのか条件付きで進めるのかを、その場で議論せずに済む状態にしておきます。
施策そのもののレビュー観点は施策の質を出す前に上げる。マーケティング施策レビューの型で扱っています。
型を残して再現する。短くしてはいけない工程もある
運用としては、ここが最も重要になります。
1回やった後に、そのやり方を型として残すということです。
残すのは4つです。
「情報収集の5項目と集め方」(そのまま使える指示文の形で)、「3案を出す指示文」、「企画書の構成の型」、「レビューの観点」です。
これを次の企画で使い回すと2回目からは4週間が2〜3週間になり、部門で共有すれば他の人も同じ速度で回せるようになります。

あわせて、使いながら型を改善していきます。
足りない項目を追加して、実施後の結果もそこに反映していきます。
効果が出た企画と出なかった企画の違いを、レビューの観点に足していきます。
では、すべての工程を短くすべきなのでしょうか?
そうではありません。
短くしてよいのは、情報収集、資料の作成、レビューの往復の3つです。
逆に短くしてはいけないのは、選択肢を検討する時間(飛ばすと最初に出た案でそのまま進むことになります)、関係者との合意(飛ばすと実行の段階で止まります)、リスクの検討(飛ばすと進めてから問題が出ます)の3つです。
なかでも関係者との合意が、最も見落とされます。
企画が承認されても、実行する部門が納得していなければ動かないからです。

だから2週目から3週目の間に、関係者に見せておきます。
完成してから見せるのではなく、途中の状態で相談するということです。
これが、結果的に速い進め方になります。
完成してから反対されると、そこまでの作業が作り直しになるからです。
つまずきやすいのは7つです。
情報収集に期限を切らない、情報が揃うまで次に進まない、制約を確認しない、1案だけで企画書を作る、測り方を書かない、完成してから関係者に見せる、型を残さない、です。
1項目1日で区切って、足りない点を明示して進め、予算と期間を先に確認し、3案出して選び、測り方を書き、途中で相談し、型を残せば、どれも避けられます。
企画の型を残していく取り組みは、私たちのAI伴走支援でも、業務の洗い出しから社内研修まで、現場の担当者と一緒に手を動かして進めています。
企画は、型を残すほど早くなる
一言でいうと、企画が遅いのは情報収集に最も時間がかかり、そこに緊急性がないので後回しになるからです。
4週間の設計では、1週目が情報収集で、5項目を1項目1日で集め、期限を切るのが最も重要です。
2週目が仮説構築で、3案出して人が選び、選ばなかった理由も記録します。
3週目が企画化で、構成を型にして、測り方を必ず入れます。
4週目がレビューと意思決定で、レビューの前に自分で反論を出させます。
情報収集では、顧客の声が最も価値があります。
実際に語られた課題が、そのまま企画の根拠になるからです。
制約は最初に確認しておきます。
情報が足りなくても、次に進みます。
足りない部分は「確認が必要な点」として明示すればよいからです。
また、型を残して再現できるようにします。
残すのは情報収集の指示文、3案を出す指示文、企画書の構成、レビューの観点の4つで、2回目からは2〜3週間で回せるようになります。
短くしてはいけないのは、選択肢の検討、関係者との合意、リスクの検討です。
なかでも関係者との合意が最も見落とされ、完成してから見せると作り直しになります。
2週目から3週目の間に、関係者に見せておく。
これが結果的に速い進め方です。
次の企画では、情報収集の5項目を決め、1項目1日の期限を切るところから始めます。
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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