組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

施策の質を出す前に上げる。マーケティング施策レビューの型

施策の質を出す前に上げる。マーケティング施策レビューの型

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

マーケティング施策のレビュー会議が、感想会になっていることがあります。
「良いと思います」「もう少しインパクトがほしい」という発言が並ぶだけで、具体的な改善にはつながりません。
そのまま実行して、動かしてから「これは的が外れていた」と分かる。
よくある流れです。

今回は、施策を出す前に質を上げるレビューの型を整理します。
品質を組織でそろえる全体像のほうはAIアウトプットの品質を組織でそろえる。標準化とレビュー体制にまとめてあります。

施策のレビューで、誰に向けるか・どこにいるか・何を伝えるか・何で測るかは実行前に詰められるのに対し、市場の反応・実行の質・外部環境の変化は実行してみないと分からないことを示した図

施策のレビューは、観点と基準がないと感想会になる

なぜ感想で終わるのか、理由は3つあります。
自社の会議は、どれに近いでしょうか?
まず、レビューの観点が決まっていません。
何を見るかが共有されていないので、各自が気になった点を口にするだけになります。

次に、判断の基準がありません。
「良い施策」の条件が言語化されていないと、比べるものがないので感想にしかなりません。

もうひとつが、「実行してからでないと分からない」という思い込みです。
この前提があると、事前の検討そのものが薄くなります。
いちばん厄介なのは、この思い込みです。

ただ、正しい面もあります。
実際に出してみないと分からない反応は、たしかにあるからです。
ところが、事前に検討できることをやっていない状態まで、この一言で正当化されてしまいます。

事前に検討できることは、はっきりしています。
誰に向けた施策なのか、その人がどこにいるのか、何を伝えるのか、何で測るのか。
ここは実行しなくても詰められます。

レビューの観点は6つ、抜けやすいのは顧客像と測り方

観点を6つに整理します。
どこが自社の弱点でしょうか?

誰に向けた施策かは、顧客像が具体的に決まっているかを見ます。
「中小企業の経営者」では抽象的すぎます。
その人がどこにいるかは、検索、SNS、紹介、広告のどの経路で届くのかを見ます。

また、何を伝えるかは、訴求の内容がその人の困りごとに触れているかどうかです。
次に何をしてほしいかは、資料のダウンロード、問い合わせ、来場といった行動が1つに絞られているかを見ます。

何で測るかは成果の指標とその指標が測れるかどうかで、実行できるかは必要な資源と期間が現実的かという確認になります。
いちばん頻繁に抜けるのは、誰に向けた施策かと、何で測るかの2つです。

施策レビューの6つの観点。誰に向けた施策か、どこにいるか、何を伝えるか、次に何をしてほしいか、何で測るか、実行できるか。よく抜けるのは誰に向けた施策かと、何で測るかの2つ

顧客像が抽象的だと訴求も行動も自動的に抽象的になり、測り方が決まっていないと実行した後に効果を判断できません。
マーケティング業務全体の型のほうはマーケティングのAI活用を型にする。調査・制作・分析の標準セットにまとめてあります。

顧客像は「置かれている状況」まで、測り方は「測れるか」まで詰める

抜けやすい2つだけ、別に書いておきます。
どこまで具体化すればよいでしょうか?

誰に向けた施策かのほうは、業界と規模、役職、置かれている状況の3つを確認します。
なかでも置かれている状況がいちばん重要です。
「担当が異動してきて半年」「情報システム部門がない」「既に別のツールを入れて失敗している」といったところまで具体化すると、訴求の内容が自動的に決まってきます。

これは、施策のたびに考えるものではありません。
既に決まっている顧客像の設計から選ぶ形にしておくと、施策ごとに顧客像がぶれなくなります。
顧客像そのものの揃え方は顧客像の解像度を組織でそろえる。AIでペルソナを共通言語にするで扱っています。

何で測るかのほうは、指標、目標値、測る時期の3つを確認します。
「測れるかどうか」を必ず確認します。
「認知が上がる」は測れないので、測れる指標に置き換える必要があります。

さらに、目標値の根拠を1行だけ書いておきます。
過去の実績でも類似の施策の結果でも構いませんが、根拠がないと達成したかどうかの判断ができません。

抜けやすい2つの観点の詰め方を比べた表。誰に向けた施策かは業界と規模・役職・置かれている状況まで、何で測るかは指標・目標値・測る時期と、測れるか、目標値の根拠まで具体化する

セルフレビューからチームレビュー、規模の大きい施策は3C分析まで

導入は段階を踏みます。
どこから始めれば、負担なく回るでしょうか?
最初は、担当者のセルフレビューです。
企画を作った本人が、6観点で確認するところから始めます。

施策レビューの導入の3フェーズ。担当者のセルフレビュー、観点ごとに担当を分けるチームレビュー、規模の大きい施策だけの3C分析

「この企画について、6観点でそれぞれ指摘してください」と依頼して、指摘を出させます。
さらに「この施策の対象がこれを見てどう感じるかを挙げてください」と、顧客の視点からの指摘も出させます。
顧客像が具体的でないとそもそも視点を設定できないので、ここで顧客像の不足が可視化されます。

期間の目安は2〜4週間です。
作る企画3本で試して、指摘を受けて直した箇所を記録に残します。

セルフレビューが回ったら、チームで型にします。
レビューの会議で6観点に沿って確認しますが、全員が全部を見るのではなく、観点ごとに担当を分けるのが要点です。

そのほうが見落ちが減りますし、責任の所在もはっきりします。
企画書のほうにも6観点の記入欄を作っておくと、欄があるから書かれるようになり、空欄がそのまま見落ちの箇所になります。
会議は6観点を各5分の30分に収めます。

「感想を言わない」というルールを置き、観点に沿った指摘だけに絞ります。
指摘への対応は、担当者が判断します。
もちろん、全部を直す必要はありません。

複数の目で見る形そのものは公開前レビューを複数の目で行う。ペルソナ別レビューを工程に入れるにまとめてあります。

規模の大きい施策には、顧客、競合、自社の3つの視点まで広げます。
顧客については観点の1〜3の詳細と、その人が他にどんな選択肢を持っているかを見ます。
競合については同じ顧客層に何を訴求しているかと、そこから差別化できているかを見ます。

自社については強みが活かされているかと、実行できる体制があるかを見ます。
なかでも競合の視点がいちばん抜けます。
自社の訴求だけを考えた結果、競合と同じことを言っている状態になりやすいからです。
「何もしない」という選択肢も競合として数えるのは、なぜいま動くべきかが伝わっているかという確認になるからです。

3C分析の3つの視点のうち、最も抜けるのは競合の視点で、自社の訴求だけを考えると競合と同じことを言いやすい。ほかに顧客、自社の視点がある

競合の側を継続的に見る方法は競合調査を定例業務にする。URLから比較表とSWOTまでで扱っています。

レビューの記録は4項目、結果まで残せば観点そのものが育つ

運用の設計も書いておきます。
何を記録に残せば、次の企画に活きるでしょうか?
記録するのは4項目で、施策の概要、レビューで出た指摘、対応した内容、実行後の結果です。
いちばん価値があるのは実行後の結果で、事前の指摘とその後の結果を突き合わせると、レビューそのものの精度が分かります。

確認するのは2つです。
指摘された点が実際に問題になったかどうかと、指摘されなかった点で問題が起きたかどうかです。
後者が、観点の穴になります。
そこから観点を1つ追加する、という形で型そのものを育てていきます。

レビューの記録を使って観点を育てる繰り返し。レビューして実行し、実行後の結果を残し、指摘と結果を突き合わせ、指摘されなかったのに問題が起きた点を観点に追加する

あわせて成功した施策の共通点も見ておくと、6観点のどれが揃っていたかが自社にとっての「良い施策」の基準になり、四半期に一度、追加する観点と外す観点を見直します。
事前のレビューには限界があることも、先に共有しておきます。
防げないのは、市場の反応、実行の質、外部環境の変化の3つで、事前に防げるのは設計の不備だけです。

具体的には、顧客像が抽象的、訴求が的を外している、測り方が決まっていない、実行できない規模、の4つです。
この4つを潰すだけでも、効果の出ない施策はかなり減ります。

防げないもののほうは、実行して2週間で判断して違っていたら止める、という設計で受けます。
案を1つに絞らずに選ぶ進め方は一案で決めない意思決定。複数案を出して選ぶプロセスを標準にするにまとめてあります。

つまずきやすいのは7つです。
「確認してください」とだけ依頼する、顧客像を抽象的なままにする、測り方を決めずに実行する、目標値の根拠を書かない、全員が全観点を見る、小さい施策に3C分析を求める、実行後の結果を記録しない、というところです。
どれも、観点を明示して、置かれている状況まで具体化して、測れる指標を決めて、根拠を1行書いて、観点ごとに担当を分けて、規模で使い分けて、結果まで記録すれば防げます。

6観点のレビューを指示文にするときは、組織のAIポータル「AI Portalize」にある500以上の検証済みの見本から近いものを探し、コピーして自社向けに直すところから始められます。

レビューは、事前に詰められることを詰めれば感想会にならない

観点が決まっていない、判断の基準がない、実行してからでないと分からないと思われている。
感想会になる理由は、この3つです。

観点は6つで、誰に向けた施策か、どこにいるか、何を伝えるか、次に何をしてほしいか、何で測るか、実行できるかです。
誰に向けた施策かと、何で測るかの2つが、いちばん頻繁に抜けます。

誰に向けた施策かは、「置かれている状況」まで具体化して、既にある顧客像の設計から選びます。
何で測るかは、測れる指標に置き換えて、目標値の根拠を1行書いておきます。
進め方は3フェーズです。

担当者のセルフレビューでは、顧客の視点からの指摘を出させると顧客像の不足が見えます。
チームレビューでは、観点ごとに担当を分け、企画書に記入欄を作り、30分に収め、感想を言いません。
3C分析は、規模の大きい施策だけに使い、競合の視点がいちばん抜けます。

記録は4項目で、実行後の結果がいちばん価値があります。
事前の指摘とその後の結果を突き合わせると、観点の穴が見えてきます。
事前のレビューで防げるのは設計の不備だけで、顧客像が抽象的、訴求が的を外している、測り方が決まっていない、実行できない規模、の4つです。

まずは次の企画について、6観点の記入欄を作って埋めてみると、どこが空欄のまま残るかがはっきりします。

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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