
業務効率化とは。何から手を付けるかの手順と、AIに任せる業務の見分け方
2026/11/05
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
業務効率化とは、業務のやり方を見直して、手間と時間を減らすことです。
進める手順は、業務を洗い出す、時間と回数を見る、優先順位を付ける、やめる・まとめる・AIに任せるを決める、試して時間で測る、の5つです。

AIに任せる業務は、手順が決まっていて、結果を人が確かめられるものから選びます。
業務効率化を進める5つの手順
業務効率化は、次の5つの手順で進めます。
1. 部署の業務を洗い出す
2. 1回の時間と回数を見る
3. 優先順位を付ける
4. やめる・まとめる・AIに任せるを決める
5. 試して、前後の時間を測る
国の機関が各府省向けに作った手引きにも、同じ流れがあります。
内閣官房のサイトで公開されている「業務見直しの進め方 Ver.1.0」(業務の抜本見直し推進チーム・令和元年12月)は、課長が部下と話し合って、対象にする業務の当たりをつけるところから始めるとしています。
また、話し合うときの着眼点として、手引きは、最も時間や人手を要している業務、問い合わせやクレームが多い業務、ミスや手戻りが多い業務を挙げています。
行政向けの資料ですが、民間の会社でも、どの業務から見直すかを決める材料になります。
業務効率化の手法は、道具を入れることだけではありません。
「やめる」「まとめる」「AIに任せる」のどれを選ぶかを、業務ごとに決めるのも手法の1つです。
洗い出しは、1回の時間と回数を表にして見る
洗い出しは、何をしているかだけでなく、1回にかかる時間と回数まで書くと、あとで優先順位を付けられます。
次の表は、説明のために当社が考えた例で、1か月を4週として計算しています。
業務 | 1回の時間 | 回数 | 月の合計 | 困りごと |
|---|---|---|---|---|
月次の売上報告 | 3時間 | 月に1回 | 3時間 | 数字の転記でミスが出る |
問い合わせの一次返信 | 15分 | 週に20件 | 20時間 | 同じ質問が多い |
会議の議事録 | 1時間 | 週に3回 | 12時間 | 書くのが後回しになる |
困りごとの欄には、現場の声をそのまま書きます。
例えば「毎月、同じ表に数字を写している」「同じ質問に、何度も返している」「議事録を書く時間が取れない」といった声です。
1回は短くても、回数が多い業務は、月の合計で見ると大きくなります。
表の例では、1回あたりの時間がいちばん長いのは月次の売上報告ですが、月の合計がいちばん大きいのは問い合わせの一次返信です。

聞き取りで「困っていること」を引き出す質問は、業務ヒアリングの質問項目。AI化する業務を30分で見つける4つの問いにまとめています。
優先順位は、手間の大きさと変えやすさで付ける
洗い出した業務は、「手間の大きさ」と「変えやすさ」の2つで並べると、最初に手を付ける1つが決まります。
手間の大きさは、先ほどの表の月の合計で見ます。
変えやすさは、次のような点で見ます。
手順が決まっている
関わる人が少ない
失敗しても取り戻せる
手間が大きくて変えやすい業務を、最初の1つにするのをおすすめします。
結果が時間の数字で出るので、次の業務に進む理由を説明しやすいからです。

ただ、「全部の業務を一度に見直す」と決めると、どれも途中で止まりやすいと思います。
「まず1つだけ」と決めておくほうが、数字で結果を見せやすく、次の業務に進みやすくなります。
棚卸しから優先順位付け、実装までの全体の手順は、業務のAI化の進め方。棚卸しから優先順位付け・実装までの手順にまとめています。
やめる・まとめる・AIに任せるの決め方
最初に選んだ業務は、AIに任せる前に、やめられないか、まとめられないかを確かめます。
この順番の考え方は、仕事の効率化の考え方。作業をやめる・まとめるところから始めて、AIは最後に使うで書いています。
例えば、利用頻度が少ない報告や手続きは、「この報告は、まだ読まれていますか?」と、依頼している相手に確かめます。
手引きも、利用頻度が少ない手続や調査は、廃止してよいかを検討してよいとしています。
やめられない業務は、同じ内容を別の場所に書いていないか、ほかの業務と一緒にできないかを見ます。
そのあとに残った業務が、AIに任せるかどうかを考える対象です。
AIに任せる業務と人が残す業務の見分け方
AIに任せるかどうかは、業務の性質で見分けられます。
次の4つがそろうほど、AIに向いています。
手順や出力の型が決まっている
入力が文章や資料になっている
間違いに気づける人がいる
失敗しても取り戻せる
「型」が決まっていると、頼む内容を毎回そろえられます。
入力が文章や資料なら、AIが読んで、要約や下書きに変えやすくなります。
「確かめる人」がいないと、誤りがそのまま外に出ます。
「取り戻せない」業務は、AIが間違えたときの損が大きくなります。
Gmailのヘルプでは、Gmailの中のGeminiが、長いメールのやり取りを短い箇条書きにまとめたり、下書きを作ったりできると説明されています。
例えば問い合わせの一次返信は、決まった型に合わせた下書きをAIに頼み、送る前に担当者が読んで直す形にできます。
一方で、次のような業務は、人が残します。
判断と責任が伴う
相手との関係で決まる
例外が多い
個人情報や機密を含む
先ほどの手引きは、見直しの目的の1つとして、職員が人が行うにふさわしい業務に集中し、一人ひとりが生み出す価値を高めることを挙げています。
つまり、AIに任せるのは、人が手を空けて、判断や相手との関係に時間を使うためです。

数字の計算は、AIに任せません。
数字を扱う業務の役割分担は、AIに計算させない。数字を扱う業務での役割分担を組織ルールにするで書いています。
AIが作業を進める形にするときの業務の選び方は、AIエージェントに任せる業務の選び方。開始条件と完了条件を先に書くにまとめています。
効果は、前後の時間で確かめる
試した結果は、洗い出しのときと同じ表に、前と後の時間を並べて確かめます。
月の合計の時間が減っていれば、業務効率の向上が数字で言えます。
減った時間を、「別の仕事に回す」のか「新しい取り組みに使う」のかも、あわせて決めておきます。
決めていないと、空いた時間が急ぎの仕事に埋もれて、成果として話せません。
とはいえ、最初から使い道を細かく決める必要はなく、まず「何に使うか」を一言で決めておけば足ります。

ただ、時間が減っても、間違いが増えていては効率化とは言えません。
前後の時間に加えて、手戻りの件数も同じ表に並べておくと、確かめやすくなります。
洗い出しと優先順位を、部署ごとに一緒に決める
業務効率化は、部署によって、洗い出す業務も、変えやすさも違います。
全社で同じ表を配っても、どの業務から手を付けるかは、現場の事情で変わります。
私たちのAI活用の伴走支援では、部署ごとの業務の洗い出しと優先順位付けから、AIに任せる業務の選定、試した結果の測り方まで、現場と一緒に決められます。
どの業務をAI化するかが決まらないときの状態は、AI化する業務が決まらないのページで扱っています。
AIに任せる前に、その業務を続けるかどうかを決める
業務効率化で最初に決めるのは、どのAIを使うかではなく、その業務を続けるかどうかです。
続ける業務だけを、手間の大きさと変えやすさで並べ、型が決まっていて確かめられるものからAIに任せます。
判断や責任が伴う業務は、人に残します。
最初の1つを時間で測ったら、その表を次の業務にも使います。
参照した情報(2026年10月30日に確認)
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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