組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

仕事の効率化の考え方。作業をやめる・まとめるところから始めて、AIは最後に使う

仕事の効率化の考え方。作業をやめる・まとめるところから始めて、AIは最後に使う

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

仕事の効率化は、作業をやめる、まとめる、入れ替える、簡単にするの順で考えます。
いきなり道具やAIを入れても、やめられる作業を速くするだけで、手間は減りません。

AIが役に立つのは最後の「簡単にする」の段で、メールの要約や文章の下書きのような、読む・書く手間が大きい作業です。

仕事の効率化を考える4つの順番を並べた図。1番目はやめられないか(省略)、2番目は一緒にできないか(統合)、3番目は入れ替えられないか(変更)、4番目は簡単にできないか(単純化)で、AIや自動化を使うのは前の3つを検討したあとの4番目になる

仕事の効率化を考える4つの順番

仕事の効率化の考え方は、農林水産省のサイトで公開されている講座資料「現場改善を進める第一歩」で、ECRS(イー・シー・アール・エス)の原則として整理されています。
もとは工場の現場改善で使われてきた考え方ですが、事務の仕事にもそのまま当てはめられると当社では考えています。

資料は、見つけた問題や無駄を、次の順番で改善していくとしています。

1. やめられないか(省略)
2. 一緒にできないか(統合)
3. 入れ替えられないか(変更)
4. 簡単にできないか(単純化)

4番目の単純化の例として、資料は自動化を挙げていて、前の3つを検討したうえで行うものとしています。
また、省略と統合をせずにいきなり自動化やデジタル化をすると、やめられる無駄をそのまま自動化してしまい、効果的な投資にならない、とも書かれています。

一言でいうと、道具やAIを入れるのは最後です。
「AIで仕事を効率化したい」という声が上がりますが、その場合も、AIを使うのは4番目の「簡単にする」の段になります。

毎日の仕事に当てはめた例

4つの順番を事務の仕事に当てはめると、次のように考えられます。
表の中身は、説明のために当社が考えた例です。

仕事

やめる

まとめる

入れ替える

簡単にする

週次の進捗報告

誰も読まない項目は出さない

定例会議の議事メモと1つにする

報告を会議の前に出し、会議では相談だけにする

項目を決めたひな形にして、下書きをAIに頼む

数字の転記

同じ数字を2つの表に書く作業をなくす

案件ごとの表を1枚に集める

入力する人を、数字を持っている人に変える

手で写さず、取り込む形にする

問い合わせへの返信

返事の要らない連絡には返さない

同じ質問を1つのFAQにまとめる

よくある質問は、先に回答例を渡す

返信の下書きをAIに頼む

例えば週次の進捗報告は、誰が何のために読むのかを整理すると、出さなくてよい項目が見つかることがあります。
「この項目は、前の週と同じ数字を毎回書いているだけ」と気づけば、やめるか、変わったときだけ書く形にできます。

表のどの行も、いちばん左の「やめる」から考えます。
つまり、やめられない作業だけが、次の「まとめる」に進みます。

週次の進捗報告を例に、4つの問いで見直した図。やめられるかでは誰も読まない項目を出さない、まとめられるかでは定例会議の議事メモと1つにする、入れ替えられるかでは報告を会議の前に出して会議では相談だけにする、簡単にできるかでは項目を決めたひな形にして下書きをAIに頼む

個人の工夫で終わってしまう場面

仕事の効率化は、個人の工夫ではうまくいっても、チームの仕事の進め方が変わらないまま終わることがあります。
そうなりやすい場面は、次の3つです。

  • やり方が本人の頭の中にだけある

  • 空いた時間が見えない

  • 「やめる」を1人で決められない

やり方が本人の頭の中にだけあると、その人が異動したり休んだりしたときに、元の手間に戻ります。
手順を残して次の人が使える形にする考え方は、仕事の手順をAIに覚えさせる。社内の「型」を資産化する考え方で書いています。

空いた時間は、測っていなければ誰にも見えません。
見えないままでは効率化の成果として話せず、次の工夫につながりません。

最後の「やめる」は、報告や会議の相手がいるので、1人では決めにくいところです。
「この報告、もう要らないですよね?」と自分から言い出すのは、チームで決めた流れがないと難しいと思います。

個人の工夫で終わってしまう3つの場面と、そのあとに起きることを対にした図。やり方が本人の頭の中にだけあると、異動や休みのときに元の手間に戻る。空いた時間が見えないと、成果として話せず次の工夫につながらない。やめるを1人で決めようとしても、報告や会議の相手がいるので決めにくい

内閣官房の業務の抜本見直し推進チームがまとめた手引き「業務見直しの進め方 Ver.1.0」(令和元年12月)も、利用頻度が少ない手続や調査は、そもそも廃止してよいのではという検討をしてよい、としています。
やめるかどうかを、担当者の判断に任せず、見直しの一部として話し合う形になっています。

チームで続けるための取り決め

個人の工夫をチームの仕事の進め方に変えるには、次の3つを先に取り決めます。

  • 週に1つ、やめる作業を決める

  • 変えた手順を1枚に残す

  • 前と後の時間を測る

定例会議の最後の5分ほどで、「今週やめる作業」を1つだけ決めるやり方を、当社ではおすすめします。
ただ、5分は目安です。
1つに絞るのは、決めた作業を確かめる手間が増えすぎないようにするためです。

変えた手順は、次の人がそのまま使える1枚に残します。
やり方が1枚になっていれば、担当が変わっても、手間が元に戻りません。

前と後の時間は、分単位で1回だけ測れば足ります。
空いた時間の使い道もあわせて話しておくと、その時間が別の急ぎの仕事に埋もれません。

チームで仕事の効率化を続けるための3つの取り決めを並べたチェックリスト。週に1つ、やめる作業を決める。変えた手順を、次の人がそのまま使える1枚に残す。前と後の時間を分単位で1回だけ測り、空いた時間の使い道もあわせて話す

AIが手間を減らす場面と、人が決める場面

4つ目の「簡単にする」で、AIを使います。
Gmailのヘルプでは、Gmailの中のGeminiは、長いメールのやり取りを短い箇条書きにまとめたり、新しいメールを作ったり、下書きの口調や分かりやすさを整えたりできる、と説明されています。

利用には、対象のGoogle WorkspaceまたはGoogle AIのプランへの登録が必要です。
自社で使えるかどうかは契約しているプランで変わるので、情報システムの担当者に確かめてください。

作業効率を上げるために、当社では、AIを使う作業を次のような作業に絞ることをおすすめします。

  • 長い文章を読んで要点を取り出す

  • 決まった型の文章を下書きする

  • 書いたものの言い方を整える

どれも、人が最後に読んで直せる作業です。
ただ、AIの出力をそのまま送る使い方は、おすすめしません。

Geminiの入力欄に貼るプロンプトの例は次のとおりです。

次のメールのやり取りを読んで、決まったことと、私が返事をする必要があることに分けてください。

それぞれ3行以内の箇条書きにして、数字と日付は元の文のまま残してください。

業務ごとのプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にまとめています。
AIがまとめた内容は、元のメールと見比べてから使います。

数字の計算は、AIに任せません。
数字を扱う仕事の役割分担は、AIに計算させない。数字を扱う業務での役割分担を組織ルールにするで書いています。

「この件は断る」「この条件なら受ける」といった判断と責任は、人に残ります。
作業を減らしても、決める仕事までAIに渡す形にはしません。

AIに任せる作業と人に残す仕事を左右に並べた図。AIに任せるのは、長い文章から要点を取り出す、決まった型の文章を下書きする、書いたものの言い方を整える作業。人に残すのは、断る・受けるといった判断と責任、数字の計算、AIがまとめた内容を元のメールと見比べる確認

すぐ使えるアプリを借りて、最初の1つを試す

AIを使う最初の1つは、ゼロから作らなくても試せます。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」には、文章の整形や議事録づくりなど、すぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の仕事に合わせて手直しして使えます。

どの部署で使われているかを数字で見られるので、効率化の工夫がチームに広がっているかも確かめられます。

仕事の効率化は、やめる作業を1つ決めるところから

仕事の効率化は、新しい道具を探す前に、今週の作業の中でやめられるものを1つ選ぶところから始まります。
次に、その作業を誰が何のためにしているかをチームで確かめ、やめるか、まとめるかを決めます。

AIは、残った作業のうち、読む・書く手間が大きいものに使います。
どの業務から手を付けるかが決まらないときは、AI化する業務が決まらないのページで、決まらない理由と進め方を扱っています。
棚卸しから優先順位付け、実装までの全体の手順は、業務のAI化の進め方。棚卸しから優先順位付け・実装までの手順にまとめています。

参照した情報(2026年10月30日に確認)

すぐ使える業務アプリが300以上

開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る

執筆:寺田昇平

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