
AIで文字起こしをする方法。会議の録音を話者ごとに分けて文字にする手順と、GeminiのCanvas機能で文字起こしアプリを作るやり方
2026/10/30
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
AIで文字起こしをするなら、手元の録音や動画を会社のアカウントのGeminiに添付し、「要約せずに文字起こしして」と頼めばできます。
オンライン会議なら、Google MeetやTeamsの文字起こしをオンにしておくのがいちばん早い方法です。
どちらでも、話者の名前と数字だけを録音で確かめれば、1時間の音声を頭から聞き直さずに済みます。
顧客の声が入った録音は、検索で見つけた無料のサービスではなく、会社が契約している道具に渡します。

Geminiで録音を文字起こしする手順
まずは、手元の録音をGeminiで文字にする手順です。
パソコンのブラウザなら、次の5つで進めます。
1. 会社のアカウントで gemini.google.com を開く
2. 入力欄の「ファイルを追加」アイコンから、録音や動画のファイルを添付する
3. 下のプロンプトを貼り、参加者の名前を書き換えて送る
4. 返ってきた文字起こしの、名前と数字だけを録音で確かめる
5. 全文をドキュメントに貼り、決めた場所に保存する
Geminiに貼るプロンプトの例は次のとおりです。
添付した音声を文字起こししてください。
要約せず、話された内容をすべて書き起こしてください。
話者を分けてください。参加者は、営業の田中、先方の佐藤様の2人です。
「えー」「あのー」などの言い淀みは消してください。
聞き取れない箇所は推測で埋めず「(聞き取り不能)」と書いてください。
最後に、金額・日付・数量を発言の前後とあわせて一覧にしてください。
最初の1行で、要約ではなく文字起こしだとはっきり伝えるのが大切です。
何も言わずに動画や音声を渡すと、要約されて返ってくることがあるためです。
業務でそのまま使えるプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にもまとめています。
ただ、渡せる長さには上限があります。
Geminiアプリのヘルプでは、個人の無料版は、音声が合計10分まで、動画が合計5分までと説明されています。
Google AI ProかGoogle AI Ultraにすると、音声は合計3時間まで、動画は合計1時間までに広がります。
仕事用のアカウントの上限は、このヘルプには分けて書かれていません。
会社の録音を渡すなら、Google Workspaceのアカウントで使います。
対象のWorkspaceのアカウントなら、アップロードしたファイルを人が確認することはないと、Googleのプライバシーの説明に書かれています。
許可なくAIの学習に使うこともないとされています。
録音がたまっていて、あとから横断して探したいなら、Gemini Notebook(旧NotebookLM)に入れる方法もあります。
音声は取り込むときに文字起こしされ、文字の資料として残ります。
文字起こしツールの選び方
文字起こしのツールを探すと多くのサービスが出てきますが、仕組みで分けると3つです。
違いが出るのは、話者の分け方と、録音が誰の手元に渡るかです。
道具 | 向いている場面 | 話者の分け方 | 音声の行き先 |
|---|---|---|---|
会議ツールの文字起こし(Google Meet・Teamsなど) | オンライン会議 | 参加者の名前が付く | 会社が契約している会議ツールの中 |
生成AIに録音を渡す(Geminiなど) | 対面の会議、手元にある録音や動画 | AIが声と話の流れから分ける | 使うAIのアカウントの契約による |
文字起こし専用のサービス | 録音の量が多い、専用の編集画面がほしい | サービスによる | そのサービスを運営する会社 |
一言でいうと、オンライン会議は会議ツールで、対面の会議や手元の録音・動画は生成AIで文字にするのが、いちばん手間がかかりません。
無料の文字起こしツールを使う前には、価格より先に、録音がどこに送られるかを利用規約で確かめます。
個人の無料アカウントのAIも同じです。
Geminiアプリのプライバシーの説明には、個人のアカウントでは会話の一部を人のレビュアーが見ることがあると書かれています。
入力した情報の扱いの違いは、AIに入力した情報は学習される?無料版・法人版・APIの違いを整理で詳しく扱っています。
この作業に使える業務ツール「会議の文字おこし」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。
オンライン会議の文字起こし(Google Meet・Teams)
Google Meetでは、会議ツールの「文字起こしを開始」で会議の文字起こしをオンにします。
Google Meetのヘルプでは、文字起こしは主催者のドライブの「Google Meet」フォルダに保存されると説明されています。
日本語に対応していて、使えるのはBusiness Standard以上など、対象のWorkspaceの契約です。
残るのは話された言葉だけで、チャットは入りません。
話者の名前の扱いは、Meetのヘルプには書かれていません。
当社の環境では、発言ごとに話した人の名前と時刻が入っていました(2026年10月時点)。
Geminiで議事録を作るときの自動メモとの使い分けや設定の場所は、Geminiで議事録を作る方法。Google Meetの自動メモと、文字起こしをCanvasアプリで整えるやり方にまとめています。
Teamsでは、デスクトップ版の文字起こしに、話者ごとの名前と時刻が入るとヘルプに書かれています。
保存先は、会議の開催者のOneDrive for Businessです。
また、参加者が文字起こしに自分の名前を出さない設定にすることもできます。

話者の分け方と、精度を上げる録り方
1つの録音をAIに渡すと、AIは声の違いや呼びかけ、話の流れから話者を分けます。
とはいえ、声の似た人が多い会議や、話がかぶった場面では、話者を取り違えることがあります。
取り違えを減らすには、参加者の名前と立場を、プロンプトの中で先に渡しておきます。
録音の最初に「営業の田中です」「佐藤です」と一言ずつ名乗ってもらうのも、AIが声と名前を結びつける手がかりになると考えます。
取り違えて困るのは、宿題の担当と、顧客が口にした要望や条件です。
文字起こしが返ってきたら、そこだけは録音に戻って、誰の発言かを確かめておきます。

録音そのものは、話す人の近くにマイクを置くだけでも聞き取りやすくなります。
何人もが同時に話さないようにしておくと、さらに聞き取りやすくなります。
会社名や製品名、人の名前は聞き違えやすいので、プロンプトの中に一覧で渡しておくと表記がそろいます。
数字は、間違えたときにいちばん困るところです。
金額・日付・数量を別に一覧で出させておけば、確かめる箇所がその一覧にまとまります。
言い淀みを消すと読みやすくなる一方で、相手が答えに迷っていた様子は読み取れなくなります。
相手の迷いを残したい商談では、言い淀みを残す設定にしておくのも1つの方法です。

GeminiのCanvas機能で文字起こしアプリを作る
毎回同じプロンプトを貼るのが手間なら、文字起こしのアプリを1本作っておく方法があります。
Canvasは、Geminiのチャットでオンにして使う機能で、プロンプトを送るだけでブラウザで動くアプリを作れます。
こうして作ったアプリを、ここではCanvasアプリと呼びます。

例えば、動画や音声を入れると、話者ごとに色を分けた全文と、金額・日付・数量の一覧が出てくるアプリです。
作り方は次のとおりです。

1. gemini.google.com を開き、テキストボックスの下の「ファイルを追加」アイコンから「Canvas」を選んで、Canvas機能をオンにする
2. Geminiの入力欄に、下のプロンプトの例を貼って送る
3. 右側に出たアプリのプレビューで、架空の会話を録った短い音声を入れて試す
4. 直したい所を、チャットで「ここをこう変えて」と頼む
Geminiに貼るプロンプトの例は次のとおりです。
会議や商談の音声・動画のファイルを入れると、文字起こしを表示するアプリを作ってください。
要約はせず、話された内容をすべて書き起こしてください。
参加者の名前を先に入れる欄を作り、話者ごとに名前と色を分けて表示してください。
聞き取れない箇所は「(聞き取り不能)」と表示してください。
金額・日付・数量は、前後の発言とあわせて別の枠に一覧で出してください。
全文をコピーするボタンと、表計算ソフトで開けるCSVで保存するボタンを付けてください。
Canvas機能の基本の使い方は、Gemini Canvasの使い方。業務アプリを作成して社内に共有するまでで詳しく書いています。
このアプリにも顧客の声が入った録音を入れるので、作るのも使うのも会社のアカウントにしておきます。
プロンプトは、最初から完璧に書く必要はありません。
一度作って試し、付けたい機能が出てきたら追加を頼み、画面の配置や色も使いながら直していく、という進め方のほうが結果的に早く仕上がります。
作った文字起こしアプリは社内の人だけに配る
文字起こしのアプリは、営業やカスタマーサポートなど、録音を扱う部署ならどこでも使いたくなります。
ただ、配り方には注意が必要です。
Canvasアプリを渡す方法は「公開リンク」と「ドライブ」の2通りで、どちらを使えるかはアカウントの種類と管理者の設定で変わります。
公開リンクはリンクを知っている人なら誰でも開けて、Geminiアプリのヘルプでは、アプリに関するデータを見たり編集したりできると説明されています。
仕事用のWorkspaceでは、公開リンクでの共有は初期設定でオフ、Googleドライブを使った共有は初期設定でオンです。
そのため、当社では、公開リンクでチャットやメールに広く流す配り方はおすすめしません。
録音を扱うアプリなので、配るときは次のような形にしておきます。
ドライブでの共有を使い、相手を社内の人やグループに絞る
使ってよい部署を決めてから渡す
録音の扱いの決まりを一緒に伝える
文字起こしの全文の残し方と、議事録の作り方
文字起こしには、顧客の名前や取引の条件が、話されたとおりに入ります。
そのため、議事録よりも、見られる人と置き場所を絞っておきます。
保存先は、個人のパソコンや個人のドライブではなく、部署で決めた1か所にします。
録音は、文字起こしを確かめ終えたら消す時期を決めておきます。
文字起こしは、要約や議事録の元として残します。
録音することは、会議の最初に参加者へ伝えておきます。
「今日の打ち合わせ、文字起こしのために録音してもよろしいですか?」と一言聞いておけば、相手も安心して話せます。
要約に渡すときは、文字起こしの全文を渡し、要約や議事録は別のファイルに作ります。
要約で抜け落ちた発言があっても、全文に戻れば確かめられます。
決定事項と宿題を欄に分けて埋めるなら、議事録のテンプレート。決定事項と宿題を落とさないフォーマットと、AIやGeminiのCanvas機能で欄を埋める方法の議事録のテンプレートがそのまま使えます。

文字起こしから議事録、タスク化、共有までをどう組むかは、会議と議事録のAI化。準備から共有・タスク化までの設計にまとめています。
どの会議から文字起こしを入れるかを決めかねているなら、AI化する業務が決まらないも参考になります。
この作業に使える業務ツール「構造化議事録メーカー」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。
録音の扱いを、文字起こしアプリの説明に書いて配る
「録音は会社のアカウントのAIで文字にする」と決めても、その道具がどれなのかが伝わっていなければ、社員は検索で見つけた無料のサービスに録音を入れてしまいます。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」には、すぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。
話者を分けて数字を抜き出す文字起こしのアプリも、運営公式のAIツールとして載せています。
「コピーして自社ツール化」を使えば、社内の人だけが探せる自社のツールとして登録し直せます。
その説明の欄に「録音は確かめ終えたら消す」「文字起こしは部署の共有ドライブに置く」のような扱いを書き足しておけば、使う人はアプリを開く前に決まりを目にします。
文字起こしは全文を残し、要約と議事録はそこから作る
AIの文字起こしは、聞き直す時間を減らすための道具で、要約や議事録の代わりではありません。
オンライン会議は会議ツールで、手元の録音は会社のアカウントのGeminiで文字にし、全文を決まった場所に残します。
話者の名前と数字を録音で確かめた全文は、議事録の元にも、あとで振り返る材料にもなります。
参照した情報(2026年10月29日に確認)
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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