組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

GeminiのGemは2027年3月に終了。スキルへの移行で企業が今から決めておくこと

GeminiのGemは2027年3月に終了。スキルへの移行で企業が今から決めておくこと

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

社内で作ったGemが、気づけば数十個に増えている会社は多いと思います。

議事録の整形、提案書の下書き、社内規程の問い合わせ対応と、部署ごとに「これがないと困る」Gemが育ってきたところだと思います。
そのGemについて、Googleは「スキル」という新しい仕組みに切り替えると発表しました。
公式ヘルプによると、Gemは個人アカウントでは2026年11月、企業向けのWorkspaceアカウントでは2027年3月1日以降に使えなくなり、スキルとして自動で作り直されます。
置き換わる先のGeminiアプリのスキルは、2026年10月13日から順に使えるようになり始めています。

今回は、Googleの公式ヘルプ、Workspaceの公式ブログ、Google Workspace Updatesを2026年10月23日に開いて確かめた内容をもとに、まずGemとは何だったのかをおさらいし、スキルで何が変わるのかを整理します。
そのうえで、移行で引き継がれるもの、まだ使えない機能、企業の推進担当や情シスが今から決めておくことを見ていきます。

Gemからスキルへの切り替えの日程を、時間の流れに置いた図。2026年10月13日にGeminiアプリのスキルの展開が始まり、Gemが終わるまではGemとスキルの両方を使える。個人のGoogleアカウントのGemは2026年11月に終わり、OpalとGems by Google Labsも終了する。2026年11月17日にGemはGeminiアプリの「設定」の中に移るが、作成・編集・使用は続けられる。Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利団体のアカウントは2027年3月1日以降、教育機関のアカウントは2027年6月1日以降に、Gemの作成・編集・使用ができなくなる。終わるときには、Googleが手持ちのGemを自動でスキルとして作り直す

社内のAIボットを資産として育てる全体の考え方は、社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめています。

Gemは、目的に合わせて指示と資料を覚えさせたGeminiです

スキルの話に入る前に、Gemが何だったのかを押さえておきます。

移行で何が残り、何が変わるのかは、Gemの中身を分けて見ると分かりやすくなります。
Googleの公式ヘルプでは、Gemを「繰り返しの作業や新しい分野での知識の習得をサポートする、Geminiのカスタマイズ版」と説明しています。
毎回同じ前置きを書かなくても、決めておいた目的とガイドラインに沿って答えてくれるGeminiを、自分用や部署用に作っておける機能です。

Gemを作るときに入れるのは、大きく次の3つです。

  • 名前:一覧に並んだときに、何のGemかが分かる名前

  • カスタム指示:役割、進め方、出力の形などをまとめた指示

  • 知識:参考にしてほしいファイル。パソコンからのアップロードのほか、Googleドライブのファイルや、Gemini Notebook(旧NotebookLM)のノートブックも追加できる

Googleドライブから追加したファイルは、Gemが常に最新の版を使うので、元のファイルを直せばGemの答えにも反映されます。

ウェブで作ったGemは、Geminiのモバイルアプリや、GmailやドキュメントなどのGeminiサイドパネルにも出てきます。
作ったGemは、特定の人に「閲覧者」か「編集者」の権限で共有でき、共有の有効期限を付けたり、オーナーを譲ったりもできます。

ただ、共有したGemのカスタム指示とアップロードしたファイルは、Gemにアクセスできる全員が見られる点には注意が必要でした。
また、Gemini Notebookのノートブックは、共有するGemの知識には使えません。

Gemの作り方と社内での配り方は、GemとCanvasアプリで自社専用のAIツールを作る。作り方から社内展開までで詳しく扱っています。

共有の手順と共有されたGemの探し方はGemの共有方法と、共有されたGemの探し方。スキルへの移行の前に決めること、共有できないときに確かめる順番はGemが共有できない原因と対処。管理者の設定と参照ファイルの確かめ方にまとめています。

発表されたのは、Gemを「スキル」に切り替えることです

ここからが今回の発表の中身です。

公式ヘルプ「About the transition from Gems to skills」(日本語版は「Gem からスキルへの移行について」)に、切り替えの時期と進め方がまとめられています。
Googleは、2026年11月から個人アカウントのGemを順にスキルへ切り替えると案内しています。

Gemini アプリ ヘルプの「About the transition from Gems to skills」の冒頭。2026年11月からGemがスキルに切り替わることと、スキルの3つの特長が書かれている
引用:Gemini アプリ ヘルプ「About the transition from Gems to skills」

Gemが使えなくなる時期は、Geminiアプリにログインしているアカウントの種類ごとに違います。

アカウントの種類

Gemが終わる時期

個人のGoogleアカウント

2026年11月

Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利団体のアカウント

2027年3月(管理者向けヘルプでは「2027年3月1日以降」)

Workspaceの教育機関のアカウント

2027年6月(管理者向けヘルプでは「2027年6月1日以降」)

Geminiアプリのヘルプに書かれているのは月までで、何日に終わるかまでは示されていません。
一方で、Workspaceの管理者向けヘルプ(題名は同じ「Gem からスキルへの移行について」)は、ビジネスとエンタープライズでは2027年3月1日以降、教育機関では6月1日以降に、Gemの作成・編集・使用ができなくなると日付まで書いています。

同じヘルプのよくある質問「When are Gems going away?」。個人は2026年11月、Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利は2027年3月、教育機関は2027年6月と書かれている
引用:Gemini アプリ ヘルプ「About the transition from Gems to skills」のよくある質問

企業で使っている場合は、3月1日を区切りと見て、2月中に準備を終えておくのが安全です。
また、個人アカウントのGemが終わる2026年11月には、ミニアプリを作れる試験運用の「Opal」と、Google Labsの「Gems by Google Labs」も終了するとされています。

終わる日までの間にも、決まっている動きがあります。
管理者向けヘルプによると、Geminiアプリのスキルは2026年10月13日からすべてのユーザーに順に展開が始まっていて、Gemが終わる日までは、Gemとスキルの両方を作って使えます。
2026年11月17日には、GemがGeminiアプリの「設定」の中に移りますが、その後も作成・編集・使用は続けられます。

Gemが終わるときには、Googleが手持ちのGemを自動でスキルとして作り直します。

名前や説明、カスタム指示に加えて、対応している形式の知識ファイルも一緒に移されます。
元のGemに付けていたドライブの権限と共有設定も、対応するスキルに移されます。
ただ、移されたスキルは作った人のスキル一覧に「非アクティブな下書き」として入り、作った人が中身を確かめて有効にするまでは、使うことも共有することもできません。

Gemが終わるときに、Googleが手持ちのGemを自動でスキルとして作り直すことを示した図。名前、説明、カスタム指示と、対応している形式の知識ファイルが移され、.docxや.xlsxのファイルはそのままでは移せない可能性がある。Gemのドライブの権限と共有設定も移される。移されたスキルは作った人の一覧に「非アクティブな下書き」として入り、作った人が有効にするまで、使うことも共有することもできない

終わるのを待たずに、手動でGemをスキルに作り直しておくこともできます。
管理者向けヘルプも、重要なGemは自動の移行を待たずに早めに作り直すよう、作った人に促すことを管理者に勧めています。
Googleは切り替えの理由として、スキルのほうが柔軟にGeminiをカスタマイズでき、タブを切り替えずに今のチャットの中で使え、複数を組み合わせられる点を挙げています。

スキルは、どのチャットからでも呼び出せる「仕事の手順書」です

では、置き換わる先のスキルとはどんなものなのでしょうか?

Googleは、スキルを「タスクを自動化して時間を節約するための、使い回せるカスタム指示」と説明しています。
Gemとの大きな違いは、専用の画面を開かなくても、ふだんのチャットの中で使えることです。
公式ヘルプが挙げている特長は、次の3つです。

  • 呼び出しやすい:チャットで「/」(近いうちに「@」に変わる予定)に続けてスキル名を入れると使える

  • 自動で使われる:Geminiが、いまの依頼に合うスキルを自分で見つけて使う

  • 組み合わせられる:1つのチャットで複数のスキルを重ねて使い、込み入った作業をこなせる

Googleのベストプラクティスのページでは、スキルを「手順や好み、本人だけが知っている細かい点をまとめたカンペ」と説明していて、「マニュアルではなくカンペとして書く」ことを勧めています。
1つのスキルは1つの仕事のために作り、必要に応じてほかのスキルと組み合わせる、という使い方が前提です。
スキルが読まれる順番にも特徴があります。

Geminiはまず、スキルの名前と説明だけを見て、いまの依頼に使うかどうかを決めます。
使うと決めたときに初めて指示の本文を読み、テンプレートや資料などのファイルは、必要になった段階でだけ開きます。

この仕組みがあるので、スキルの名前と説明の書き方が、使われるかどうかを大きく左右します。

Geminiがスキルを読む順番を示した図。まず名前と説明だけを見て使うかどうかを決め、使うと決めたら指示の本文を読み、テンプレートや資料などのファイルは必要になった段階でだけ開く

スキルは、作り方も持ち方もGemとは別物です

スキルの作り方と中身の決まりは、Gemとかなり違います。

移行後に社内でスキルを増やしていくなら、先に知っておきたい点です。
Geminiアプリでは、サイドバーの「設定」→「スキル」のページから、スキルを作ります。
作り方は、Geminiと対話しながら作る、用意されたテンプレートを直す、白紙から名前・説明・指示を書く、ファイルをアップロードする、の4つです。

チャットの中で「この指示をもとにスキルを作って」と頼んで作ることもできます。
スキルの本体は「SKILL.md」というファイルで、ダウンロードすると、このファイルが入ったzipになります。
ほかのサービスで作ったスキルも、SKILL.mdをアップロードすればGeminiに取り込めます。

アップロードには、いくつか決まりがあります。

  • SKILL.mdを、フォルダのいちばん上の階層に置く

  • スキル名は、すべて小文字で、単語をハイフンでつなぐ(例:my-new-skill)

  • アップロードするファイルの合計は100MBまで

  • インターネットにアクセスするスクリプトや、外部のサイトに操作をするスクリプトは使えない

  • 使えるのは、テキストで開けるファイル(.txt、.md、.csv、.json、.htmlなど)と、PDFや画像

気をつけたいのは、.docxや.xlsxのようなバイナリ形式のファイルが対応していないことです。
つまり、Gemの知識にWordやExcelのファイルを入れていた場合は、そのままでは移せない可能性があります。
「うちのGemは大丈夫か」と気になった場合は、まず知識に入れているファイルの拡張子を見ておくと早いです。

作れるスキルの数に上限はありませんが、同時に有効にしておけるのは100個までです。
使わないスキルは、スキルのページで無効にしておけば、Geminiが自動で使うこともありません。

いまのところ、スキルでは使えないGemの機能があります

移行を考えるうえでいちばん大事なのが、スキルがまだGemと同じことをすべてできるわけではない点です。

公式ヘルプには、現時点の制約がはっきり書かれています。
スキルは、Workspaceのアプリなどの接続済みアプリ(Connected Apps)とは一緒に使えますが、CanvasやDeep Researchといった機能とはまだ組み合わせられません。
Gemで使えた標準のツールのうち、次のものは今のところスキルでは動きません。

  • 動画の作成

  • 音楽の作成

  • Canvas

  • Deep Research

  • ガイド付き学習

また、Gemには「そのGemで話した会話」をまとめたページがありましたが、スキルにはありません。

同じヘルプのよくある質問「Do skills work with other Gemini features?」。動画・音楽の作成、Canvas、Deep research、ガイド付き学習がスキルではまだ使えないと書かれている
引用:Gemini アプリ ヘルプ「About the transition from Gems to skills」のよくある質問

スキルはどのチャットでも使えるので、スキルを使った会話も、ふだんのチャットと同じようにサイドパネルに並びます。

一方で、Googleは「今後数週間のうちに」、Gemで好評だった機能をスキルにも加えるとしています。
挙げられているのは、ほかの人との共有、Googleドライブのファイルの追加、Gemini Notebookのノートブックの追加です。

いまのスキルではGemで使えた標準のツールのうち、動画の作成、音楽の作成、Canvas、Deep Research、ガイド付き学習が動かないことを示した図。Workspaceのアプリなどの接続済みアプリ(Connected Apps)とは一緒に使える。Googleは今後数週間のうちに、ほかの人との共有、Googleドライブのファイルの追加、Gemini Notebookのノートブックの追加を加えるとしている(2026年10月23日時点)

2026年10月23日に確かめた時点でも、Geminiアプリのヘルプはこの3つを「今後数週間のうちに」使えるようになる機能として書いています。
10月13日のGoogle Workspace Updatesも、Geminiアプリのスキルの共有とGoogleドライブとの連携は、数週間のうちに加わる予定としています。
いまGemで共有やドライブ連携に頼っている場合は、この機能が出そろったかを確かめてから本格的に移すのが無理のない順番です。

Gemとスキルの違いを、表にまとめておきます。

項目

Gem

スキル(2026年10月23日時点)

使い方

Gemの画面を開いて、その中で会話する

どのチャットでも「/」で呼び出す。合うときは自動で使われる

組み合わせ

1つの会話に1つのGem

1つのチャットで複数のスキルを重ねられる

知識・資料

アップロード、Googleドライブ、Gemini Notebookのノートブック

スキルと一緒にアップロード。テキスト形式・PDF・画像。.docxと.xlsxは不可

共有

閲覧者・編集者で共有できる

Geminiアプリでは「今後数週間のうちに」対応予定。自動で移されたスキルには、元のGemのドライブの権限と共有設定が引き継がれる

使えない機能

―

動画・音楽の作成、Canvas、Deep Research、ガイド付き学習

会話の履歴

Gemごとのページにまとまる

ふだんのチャットと同じサイドパネルに並ぶ

使えるアカウント

個人・仕事・学校

Geminiアプリのスキルは、2026年10月13日から個人アカウントとすべてのWorkspaceのエディションに順に展開。11月中旬に終わる見込み

Workspaceのアプリ

ウェブで作ったGemが、GmailやドキュメントのGeminiサイドパネルにも出る

Workspaceのアプリで使うスキルは展開が延期中。Geminiアプリのスキルとは同期しないので、別に作る

管理者の設定

管理コンソールで「Gem の共有」をオン・オフできる

Geminiアプリのスキルには管理者の設定がない。Workspaceのスキルには、使えるかと社外と共有できるかの設定がある

企業のスキルは、Workspace Studioでも作って配れるようになります

ここまでは、Geminiアプリ(gemini.google.com)のスキルの話です。

企業の場合は、これとは別に、Google Workspaceの中で使うスキルも用意されている点を押さえておく必要があります。
Googleは2026年9月17日のWorkspace公式ブログで、「Google Workspaceのスキル」を発表しました。

Google Workspace公式ブログの記事「Teach Gemini your team's know-hows with skills in Google Workspace」の見出し(2026年9月17日)
引用:Google Workspace 公式ブログ「Teach Gemini your team's know-hows with skills in Google Workspace」

チームのルールやテンプレート、参考資料をもとにGeminiを動かす、使い回せるプロンプトという位置づけです。
ブログで紹介されている主な使い方は、次のとおりです。

  • Googleドキュメントの「スキルビルダー」でスキルの案を書き、チームでコメントしながら仕上げる

  • Workspace Studioで、スキルを作る・その場で試す・組織の中で共有する

  • Gmail、ドキュメント、スライド、ドライブのGeminiサイドパネルや、ChatのAsk Geminiから、「@」でスキルを呼び出す

  • Workspace Studioのフローの中にスキルを組み込む

さらに、スキルをGoogle Workspace Marketplaceで公開できるようにすることと、管理者が管理コンソールで組織のスキルを選んで部署ごとに配れるようにすることが、「近日公開」として予告されています。

同じブログの、スキルをWorkspaceのどこで使えるかの説明。Marketplaceと管理コンソールがComing soonとして書かれている
引用:Google Workspace 公式ブログ「Teach Gemini your team's know-hows with skills in Google Workspace」

ただ、Workspaceのアプリで使うスキルは、予定どおりには始まっていません。
2026年9月30日のGoogle Workspace Updatesは、Workspaceのスキルを10月5日から順に展開するとしていましたが、10月13日の追記で、Workspace StudioとWorkspaceのアプリへの展開は延期になったと伝えています。
新しい日程は決まりしだい知らせるとされていて、10月23日に確かめた時点では示されていません。

管理者向けヘルプによると、Workspaceのスキルの対象は、Business Starter・Standard・Plus、Enterprise Standard・Plus、Google AI Pro for Education、AI拡張アクセスのアドオンを使っている18歳以上のユーザーです。
Geminiアプリのスキルとは今のところ同期しないので、Workspaceのアプリでも使いたいスキルは、Workspace側で別に作り直す必要があります。

Workspace Studioのヘルプは、スキルは順に展開しているのでまだ使えない場合があること、スキルを使えるか、社外と共有できるかは管理者が決めることを案内しています。
9月17日のブログは、管理者がGeminiのベータの設定を有効にした組織で使えるとしていましたが、10月23日時点のWorkspace Studioのヘルプでベータの利用者に限るとしているのは、依頼に合うスキルを自動で選ぶ機能だけです。
スキルを共有すると、リンクを受け取った人がコピーを作れる形になり、コピーには参照しているファイルやフローも含まれます。
リンクを持っている人には作成者のメールアドレスが見える点も、社外と共有する前に知っておきたいところです。

Workspace Studioのフローで、Gemを呼び出している場合も注意が要ります。
管理者向けヘルプによると、新しいフローには「Gem に質問する」ステップを追加できなくなっていて、このステップを含む既存のフローは、2027年の終了日(ビジネスとエンタープライズは3月1日)以降に動かなくなります。
同じヘルプは管理者に、こうしたフローの持ち主へ、スキルやほかのステップへの置き換えを頼むよう勧めています。

Workspace Studioのフローの全体像は、Google Workspace StudioとGASで業務を自動化する。導入の全体像とつまずきどころで整理しています。

移行で企業が今から決めておくことは、4つあります

2027年3月1日までは4か月あまりあるので、慌てる必要はありません。

では、それまでに何をしておけばよいのでしょうか?

ただ、自動で移されるのを待つだけだと、使われていないGemまでスキルとして残り、形式の合わないファイルが抜け落ちることもありえます。
まず、社内のGemを棚卸しします。
誰が作ったGemが、どの部署で、どれくらい使われているのかを一覧にして、残すものと役目を終えたものを分けます。

共有しているGemは、作った本人が異動や退職でいなくなっていないかも、あわせて確かめます。
自動で移されたスキルは作った人が有効にするまで使うことも共有することもできないので、残すGemごとに、移行のあとに作った人が有効にする段取りまで決めておきます。
作った人のアカウントがなくなった場合や、ほかの人がオーナーの共有されたGemが移行でどう扱われるかは、10月23日時点のヘルプには書かれていないので、こうしたGemは終了を待たずにスキルとして作り直しておくのが確実です。

Gemの持ち主や使われ方が社内で見えない状態がどこから生まれるかは、Gemが社内で共有されない原因で順に見ています。

11月17日にはGemがGeminiアプリの「設定」の中に移るので、Gemの開き方が変わることも、あわせて利用者に伝えておきます。

社内で作ったAIツールを一覧にして使われる状態にする考え方は、共有したのに使われない。社内AI資産をカタログ化するにまとめています。

次に、残すGemの知識ファイルの形式を確かめます。
WordやExcelで入れているファイルは、PDFやテキスト、CSVに書き出しておくと、スキルに移すときに困りません。
もうひとつが、Gemの機能に頼っている仕事を洗い出すことです。

Deep ResearchやCanvasと組み合わせて使っているGemは、今のところスキルに移すと同じ使い方ができません。
こうしたGemは、スキルが対応するのを待つのか、別のやり方に切り替えるのかを、仕事ごとに決めておきます。
Workspace Studioのフローに「Gem に質問する」ステップを入れている場合も、終了日までに置き換える先を決めておく対象です。
最後に、スキルをどこで作って、どう配るかを決めます。

Geminiアプリで作るのか、Workspace Studioで作って組織に配るのかで、共有のしかたも管理のしかたも変わります。
Geminiアプリのスキルには管理者の設定がないので、管理コンソールで決められるのはWorkspaceのスキルのほうです。
情シスは、Workspaceのスキルを使えるようにするかどうかや、スキルを社外と共有できるかどうかの設定を、あらかじめ確かめておくと安心です。

Gemからスキルへの移行で、企業が今から決めておく4つのこと。社内のGemを棚卸しし、移されたスキルは作った人が有効にするまで使えないので有効にする段取りも決める。残すGemの知識ファイルの形式を確かめる。Deep ResearchやCanvasと組み合わせたGemや、Workspace Studioの「Gem に質問する」ステップなど、Gemの機能に頼っている仕事を洗い出す。スキルをどこで作ってどう配るかを決め、情シスはWorkspaceのスキルを使えるようにするかと社外共有の設定を確かめる。Geminiアプリのスキルには管理者の設定がない

スキルが使われるかどうかは、名前と説明の書き方に左右されます

移したスキルをきちんと働かせるには、Gemのときとは書き方を少し変える必要があります。

Googleのベストプラクティスのページから、特に大事なポイントを拾っておきます。
いちばん大事なのは、名前と1〜2文の説明です。
Geminiはここだけを見て使うかどうかを決めるので、名前は「何をするか」が分かる動詞から始め、「helper」「tools」のようなあいまいな言葉は避けるよう勧めています。

説明は「〜を行う」という機能の説明から書き始め、「Use when…(〜のときに使う)」と使う場面を具体的に並べます。
説明は1,024文字までで、「私が手伝います」のような一人称では書かないようにとされています。
指示の本文は、長い説明文ではなく、短い手順、出力の形のルール、よくある間違いに絞ります。

スキルの名前、説明、指示の本文の書き方を、こう書くものと避けるものに分けた表。名前は何をするかが分かる動詞から始め、説明は機能と使う場面を書いて一人称を避け、指示の本文は短い手順・出力の形のルール・よくある間違いに絞る

ほかにも、ベストプラクティスには次のような工夫が挙げられています。

  • 特定の1回の仕事ではなく、同じ種類の仕事全般に使える指示にする

  • 正確さが大事な仕事ほど、手順を細かく決めて、自由にさせる範囲を狭くする

  • 出力のテンプレートや見本を指示の中に入れる

  • 「よくある間違い」の項目を作り、個人情報を入れない、などの注意を書いておく

  • 長い仕事はチェックリストにして、手順を飛ばさないようにする

  • 情報が足りないときは、推測で埋めずに聞き返すよう書いておく

逆に、1回しかやらない仕事や、スキルがなくてもGeminiがうまくこなせる仕事、手順が頻繁に変わる仕事は、スキルにしなくてよいとされています。
Gemの指示をそのまま貼るだけでなく、この機会に「いつ使うか」と「よくある間違い」を書き足しておくと、自動で使われる場面が増えていきます。

社内のGemの棚卸しから、一緒に進められます

Gemからスキルへの移行は、ツールの乗り換えに見えて、実際には社内のAIの使い方を見直す機会でもあります。

どのGemを残し、どの仕事をスキルにして、どこで作ってどう配るかは、組織の使い方によって答えが変わります。

当社では、社内のGemの棚卸しから、スキルの書き方の整備、Workspace Studioでの配り方の設計までを一緒に進めるAI活用の伴走支援を行っています。

移行の段取りに迷ったときは、気軽に相談してください。

Gemの終わりは、社内のAI資産を整理し直すきっかけになる

GeminiのGemは、企業向けのWorkspaceアカウントでは2027年3月1日以降に使えなくなり、自動でスキルに作り直されます。
移されたスキルは、作った人が有効にするまで使えません。

スキルはどのチャットからでも呼び出せて、合う場面では自動で使われ、組み合わせることもできます。

一方で、今のところDeep ResearchやCanvasとは組み合わせられず、WordやExcelのファイルもそのままでは入れられません。
共有やドライブ連携もこれから対応が進む段階で、Workspaceのアプリで使うスキルは展開が延期されています。
自動の移行に任せる前に、社内のGemを一覧にして、残すものを選び、ファイルの形式を整えておくと、2027年3月の切り替えを落ち着いて迎えられます。

すぐ使える業務アプリが300以上

開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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