組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

Gemini for Google WorkspaceとGemini Notebookの活用法。組織で成果を出す使い分け

Gemini for Google WorkspaceとGemini Notebookの活用法。組織で成果を出す使い分け

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

Gemini for Google Workspaceを契約したものの、使われているのはメールの下書きくらい。

この状態で止まっている組織は少なくないと感じます。
原因は機能を知らないことではなく、「どの作業をGeminiに寄せるか」が決まっていないことのほうにあります。
もう一つよくあるのが、精度が出ないという相談です。

ただ、これはほとんどの場合AIの能力ではなく、読ませている材料の側に原因があります。
このページでは、組織で効く4つの場所と、精度が出ないときの切り分け、そして当社が使って踏んだ落とし穴を整理していきます。
なお本文中の「Gemini Notebook」は、旧称NotebookLMと同じものを指します。
Claudeとの使い分けまで含めた整理はClaudeとGeminiをどう使い分けるか。両方を配る組織の整理にまとめてあります。

Gemini for Google Workspaceは作業している画面の中で呼び出せて手元の作業を速くし、Gemini Notebook(旧NotebookLM)は指定した資料だけを根拠に答えて出典が必要な質問対応に向くことを左右に並べた図

Gemini for Google WorkspaceとGemini Notebookは役割が違う

同じGeminiの名前がついていますが、担当している仕事は別物です。
何が違うのでしょうか?

何をするものか

得意なこと

Gemini for Google Workspace

Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・Meetなど、作業している画面の中で呼び出せるAI

いま手元でやっている作業の続きを速くする

Gemini Notebook(旧NotebookLM)

指定した資料だけを根拠に答えるAI

出典が必要な質問対応。社内規程・マニュアル・議事録

使い分けの一線はここになります。
手元の作業を速くしたいならWorkspace内のGemini、答えの根拠を示す必要があるならNotebook、というのが基本です。

社内問い合わせ対応に汎用のチャットAIを使うと、それらしい答えは返ってきますが根拠が示せません。
規程の解釈を扱う場面では、これは使えないアウトプットになります。
逆に、メールの下書きにNotebookを使う必要はありません。

組織で成果が出やすい4つの場所

全機能を紹介しても、現場のほうは動きません。
効果が分かりやすくて、かつ毎日発生する場所から入れるのが定石です。

組織で成果が出やすい4つの場所。メールの返信下書きとスレッド要約が最初の一手で、ほかに資料作成、表計算のAI関数、会議の文字起こしとメモの自動生成がある

ひとつがメール(Gmail)です。
返信の下書きと長いスレッドの要約になります。
効果が即座に分かるので、最初の一手として最適です。

ここで組織として決めておくとよいのは「どこまでAIの文面で送るか」の基準です。
返信と要約の標準化そのものはメール対応の品質と速度を組織でそろえる。返信・要約の標準化で扱っています。

2つが資料作成(ドキュメント・スライド)で、ゼロから書かせるより構成を先に固定してから中身を埋めさせるほうが精度は安定します。
提案資料は「構成づくり」「元データの整理」「デザイン」に分解し、AIに任せるのは前2つに絞るのが実務的です。
分解の仕方は提案・報告資料の作成時間を半分にする。スライド業務のAI標準化にまとめてあります。

3つが表計算(スプレッドシート)で、AI関数を使えば分類・要約・抽出を一括で処理できます。
ただ、癖が強いので、後述の落とし穴を先に読んでください。
向き不向きはスプレッドシートのAI関数で終わる業務・終わらない業務で整理しています。

4つが会議(Meet)で、文字起こしとメモの自動生成になります。
ここは自動化フローと組み合わせると効果が跳ね上がるところです。
議事録からタスクを切り出して登録する形は決まったことが実行されない。アクションアイテムを自動でタスク化で扱っています。

精度が出ないときに疑う順番

「Geminiの回答が浅い」という相談を受けたとき、当社はどこを確認しているのでしょうか?
上から順に効いてきます。

まず、読ませている材料に使われていない古い資料が混ざっていないかを見ます。
ドライブに旧版・下書き・過去案件のコピーが残っていると、AIはそれも同じ重みで参照します。
ドライブの整理はAI活用の前提工事であり、ここを飛ばして精度を上げようとしても限界があります。
整理の進め方はファイルサーバをAIの参照先にする。ドライブ整理はAI活用の前提工事にまとめてあります。

次に、未加工のデータを全部投入していないかを見ます。
数万字のログや議事録をそのまま渡すと要点がぼやけるので、構造化した中間データを一段作ってから渡すほうが精度も再現性も上がります。

3つが、前提が毎回渡されているかどうかです。
自社の事業・製品・顧客・用語を毎回説明し直しているなら、そこはGemやカスタム指示で固定すべき部分です。
毎回同じ前提を書かせない。組織の共通前提をデフォルト化するで個別に扱っています。

4つが、出力の形まで指定しているかどうかです。
「まとめて」ではなく「見出し3つ・各200字・箇条書き禁止」まで指定すると、結果のばらつきが大きく減ります。
形式の決め方は成果物のフォーマットを先に決める。指示のばらつきを構造でなくすで扱っています。

この4つを直しても精度が出ない場合は、その作業自体がAIに向いていない可能性を検討します。
特に正確な計算と、社内にしかない暗黙知の判断は、AIに寄せても品質が安定しません。

Geminiの精度が出ないときに疑う4つの順番。古い資料が混ざっていないか、未加工のデータを全部入れていないか、前提を毎回渡しているか、出力の形まで指定しているか

実際に使って分かった落とし穴

スプレッドシートのAI関数は、参照ミスがエラーにならない仕組みです。
セルの参照を間違えても、エラーは出ません。
それらしい結果が返ってくるので、間違いに気づかないまま数百行を処理してしまいます。
導入時は少数行で試して、出力を目で確認してから行数を広げてください。

もう一点、関数を貼り付けただけでは実行されないことがあります。
貼り付け後に再計算のきっかけが必要になるため、「貼ったのに動かない」で止まる人が出ます。
手順書に書いておくべき箇所です。

Meetの文字起こしは、探しても別ファイルとして見つかりません。
会議の文字起こしを探して「録画はあるのに文字起こしが無い」となる場合があります。
文字起こしは独立したファイルではなく、生成された議事録ドキュメントの2つ目のタブに入っていることがあるからです。

ここを知らないと「うちの環境では文字起こしが出ない」と誤解します。
会議データを業務で使う前に、自社環境でどこに何が生成されるかを一度確認してください。
会議の記録を一箇所に集める設計は会議の録画と文字起こしを一箇所に集める。会議データの基盤づくりにまとめてあります。

「学習に使われるのか」への答え方も、現場から必ず出る質問です。
ここを曖昧に答えてしまうと、利用そのものが止まります。
正確な言い方はこうなります。

有料の対象エディションでは、入力した内容が許可なくモデルの学習に使われることはない。

「絶対に使われない」と言い切らず、「有料の対象エディションでは」という条件を必ず付けます。

無料版や個人アカウントでは前提が異なるためです。
社内説明では、あわせて「業務では会社が契約したアカウントを使う」という運用ルールを添えてください。

契約形態ごとの違いはAIに入力した情報は学習される?無料版・法人版・APIの違いを整理で整理しています。
条件を省いた説明は、あとで訂正が必要になります。

実際に使って分かった4つの落とし穴と、先に決めておくことを左右に並べた図。AI関数は参照ミスがエラーにならない、貼り付けただけでは動かない、Meetの文字起こしは議事録ドキュメントの2つ目のタブにある、学習に使われるかへの答え方は条件を付ける

使われている場所が見えないと、次の手が決まらない

ここまでの使い分けは、どの作業をどちらに寄せるかという話でした。
ただ、実際に運用を始めると、次に詰まるのは「誰がどこで使っているか分からない」という点です。
利用状況が見えなければ、どの用途に投資すべきかも、どのノートブックを整備すべきかも決まりません。

部署ごとに誰がどこで使っているかを見る手順は、GeminiやClaudeの利用状況を把握する方法で順に説明しています。

私たちが提供している組織のAIポータル「AI Portalize」では、GeminiとClaudeの利用を計測し、よく使われているツールや止まっている部署が、集計の手間なしで分かります。
配ったのに使われていない、という状態で止まっている場合は、考え方の参考になるかもしれません。

よくある質問

Q. Gemini for Google Workspaceとは何ですか。

Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・Meetなど、Google Workspaceの各アプリの中で呼び出せるGeminiです。
別のツールに切り替えずに、作業している画面のまま要約や下書きができます。

Q. Gemini NotebookとNotebookLMは違うものですか。

同じものです。
NotebookLMがGemini Notebookに名称変更されました。
指定した資料だけを根拠に回答し、出典を示せる点が特徴です。

Q. 入力した内容はAIの学習に使われますか。

有料の対象エディションでは、入力内容が許可なくモデルの学習に使われることはありません。
ただし無料版や個人アカウントでは前提が異なるため、業務では会社が契約したアカウントを使うという運用ルールとセットで社内に周知してください。

Q. Workspace内のGeminiとGemini Notebookはどちらを使うべきですか。

手元の作業を速くしたいならWorkspace内のGemini、答えの根拠を示す必要があるならGemini Notebookです。
社内規程やマニュアルに関する問い合わせ対応は後者が適します。

Q. 回答の精度が低いときは何を見ればいいですか。

順番に、参照先に古い資料が混ざっていないか、未加工の大量データをそのまま渡していないか、前提を毎回渡しているか、出力の形を指定しているか、の4点を確認します。
多くの場合、原因はAI側ではなく渡している材料の側にあります。

Q. スプレッドシートのAI関数で気をつけることはありますか。

セルの参照を間違えてもエラーにならず、それらしい結果が返ってきます。
少数行で試して出力を目で確認してから、行数を広げてください。
また貼り付けただけでは実行されない場合があります。

Q. Meetの文字起こしはどこに保存されますか。

独立したファイルではなく、生成された議事録ドキュメントの2つ目のタブに入っている場合があります。
自社環境で何がどこに生成されるかを一度確認してから、会議データを業務に組み込んでください。

機能の使いこなしより先に、読ませる材料を整える

Gemini for Google Workspaceは手元の作業を速くするもので、Gemini Notebookは根拠のある答えを返すものです。
この役割分担さえ決まれば、どの作業をどちらに寄せるかは自動的に決まります。
入れる順番は、メール、資料、表計算、会議です。
毎日発生する場所から入れるのが、定着の近道になります。

精度の問題はまず読ませている材料を疑うこと。
ドライブの整理と中間データの作成のほうが、機能の使いこなしより先に効いてきます。

まずは自部門でいちばん頻度の高いメールの返信から、Geminiに寄せてみませんか?

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

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