
粗利の計算方法。粗利率と値引き計算の手順と、GeminiのCanvas機能でシミュレーターを作るやり方
2026/11/05
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
粗利の計算は、売上から原価を引くだけで、粗利率はその粗利を売上で割ると出ます。
値引きをしたときは、値引き後の価格を売上にして同じ計算をやり直せば、粗利がいくら残るかが分かります。

商談中に「あと5%引けますか?」と聞かれたとき、その場で粗利率が出せないと、返事に困ります。
何度も計算するなら、計算式を決めたシミュレーターをGeminiのCanvas機能で作っておくと、数字を入れるだけで済みます。
粗利と粗利率を計算する手順
売上と原価の2つの数字が分かれば、次の4つの手順で粗利と粗利率が出ます。
1. 売上を出す(販売価格×数量)
2. 原価を出す(仕入れ値や作るのにかかった費用×数量)
3. 売上から原価を引いて、粗利を出す
4. 粗利を売上で割って、粗利率にする(%で見るときは100をかける)
一言でいうと、式は次のとおりです。
粗利=売上-原価
粗利率=粗利÷売上
会計ソフトのfreeeの解説でも、売上総利益(粗利)は売上から売上原価を引いた金額、売上総利益率(粗利率)は売上総利益÷売上高と説明されています。
例えば、定価10,000円の商品を1個売り、原価が6,000円だとします(数字は説明用の例です)。
粗利は10,000-6,000=4,000円、粗利率は4,000÷10,000=0.4で、40%です。
粗利率を求めるときに割る数は、「原価」ではなく「売上」です。
原価で割って4,000÷6,000=66.7%と出した数字は、粗利率ではありません。
値引きをしたあとの粗利と粗利率の計算
値引き計算で先にやるのは、「値引き後の価格」を出すことです。
値引き額=定価×値引き率
値引き後の価格=定価×(1-値引き率)
この値引き後の価格を、先ほどの手順1の売上にして、手順2から4を同じようにやれば、値引き後の粗利と粗利率が出ます。
原価は値引きしても変わらないので、そのままです。
先ほどの例(定価10,000円、原価6,000円、1個)で、値引き率を変えて並べると、次の表になります。
数字はすべて説明用の例です。
値引き率 | 値引き後の価格 | 粗利 | 粗利率 |
|---|---|---|---|
0% | 10,000円 | 4,000円 | 40.0% |
5% | 9,500円 | 3,500円 | 36.8% |
10% | 9,000円 | 3,000円 | 33.3% |
15% | 8,500円 | 2,500円 | 29.4% |
20% | 8,000円 | 2,000円 | 25.0% |
10%の値引きでも、粗利は4,000円から3,000円に減り、4分の1がなくなります。
原価が変わらないため、粗利の減る割合は、値引き率より大きくなります。

逆に言うと、値引き前と同じ粗利を保つには、売る数を増やす必要があります。
例えば、1個4,000円の粗利で月に30個売っていた商品を10%引きにすると、1個の粗利は3,000円に減るため、同じ12万円の粗利にするには40個売る必要があります(これも例の数字です)。
商談では、先に粗利率の下限を決めて、そこから値引きの限度を逆算する方法も使えます。
値引き後の価格の下限は、次の式で求まります。
値引き後の価格の下限=原価÷(1-下限にしたい粗利率)
原価6,000円の例で、粗利率30%を守りたいなら、6,000÷0.7=約8,571円が下限です。
定価10,000円からの値引き率にすると、およそ14%までです。

Excelとスプレッドシートで値引き前後を一覧にする式
粗利の計算は、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも、同じ式で値引き前後の粗利を行ごとに並べられます。
A列に定価、B列に原価、C列に値引き率を入れ、D列から次の式を置きます。
列 | 内容 | 2行目の式 |
|---|---|---|
D | 値引き後の価格 | =A2*(1-C2) |
E | 粗利 | =D2-B2 |
F | 粗利率 | =IF(D2=0,"",E2/D2) |
C列は10%のように%の形で入れ、F列の表示形式を%にします。
A2に10000、B2に6000、C2に10%と入れると、D2は9,000、E2は3,000、F2は33.3%になり、先ほどの表の10%の行と一致します。
原価に送料や手数料を含めるか、売上を税込と税抜のどちらで見るかは、会社によって決まりが違います。
値引きしてよいかの最終的な判断も、社内のルールや経理に確認してください。
ただ、商談の場でシートを開き、式を壊さずに数字を入れ替えるのは手間がかかります。
数字を入れるだけで答えが出るアプリがあれば、その場の返事が早くなります。
GeminiのCanvas機能で値引き・粗利シミュレーターを作る
Canvasは、Geminiのチャットでオンにして使う機能で、プロンプトを送るだけでブラウザで動くアプリを作れます。
こうして作ったアプリを、ここではCanvasアプリと呼びます。
作るのは、定価・数量・原価・値引き率を入れると、値引き後の価格と粗利、粗利率、売上の合計が出て、値引き率ごとの粗利率を並べて見比べられるアプリです。
作り方は次のとおりです。


1. gemini.google.com を開き、テキストボックスの下の「ファイルを追加」アイコンから「Canvas」を選んで、Canvas機能をオンにする
2. Geminiの入力欄に、下のプロンプトの例を貼って送る
3. 右側に出たアプリのプレビューで、先ほどの例の数字(定価10,000円、原価6,000円、値引き率10%)を入れて試す
4. 直したい所を、チャットで「ここをこう変えて」と頼む
Geminiに貼るプロンプトの例は次のとおりです。
営業担当者が商談中に、値引き後の粗利を確かめるアプリを作ってください。
定価、数量、原価、値引き率を入力すると、値引き後の価格、粗利、粗利率、売上の合計を表示します。
粗利は「売上-原価」、粗利率は「粗利÷売上」の式で求め、計算はアプリの中の式で行い、AIの回答で数字を出さないでください。
値引き率を0%、5%、10%、15%、20%にした場合を表に並べ、粗利率が30%を下回る行は赤くしてください。
入力した数字は外部に送らず、ブラウザの中だけで処理してください。
式まで書いておくと、粗利率を何で割るのかをGeminiが推測で補わずに済みます。
30%や値引き率の刻みは説明用の例です。
自社の基準に変えてください。
業務でそのまま使えるプロンプトの例は、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方にもまとめています。
プロンプトの書き方の基本は、全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本で書いています。
一度で思いどおりのアプリになるとは限りません。
まずは作って動かし、「承認が要る値引き率を色で知らせたい」「商品ごとの原価率を選んで入れたい」のように、付けたい機能をチャットで足していくと、現場の使い方に合うアプリに育ちます。
画面の見た目も、使いながら直すと見やすくなります。
使う前に、先ほどの例の数字を入れて、手で計算した答えと同じになるかを確かめます。
10%引きなら、値引き後の価格が9,000円、粗利が3,000円、粗利率が33.3%で、表の数字と一致すれば、式は合っています。

原価が見えるアプリなので、お客様に画面が見える向きでは使いません。
Canvas機能の基本の使い方と、作ったアプリの共有の手順は、Gemini Canvasの使い方。業務アプリを作成して社内に共有するまでで詳しく書いています。
作ったシミュレーターは社内の人だけに配る
粗利の計算ができるアプリを営業部で使えるようになると、ほかの部署や支店にも渡したくなります。
ただ、自社の原価や原価率を入れて使うアプリは、配る範囲に注意が必要です。
Canvasアプリを渡す方法は「公開リンク」と「ドライブ」の2通りで、どちらを使えるかはアカウントの種類と管理者の設定で変わります。
Geminiアプリのヘルプでは、公開リンクを知っている人は、アプリに関連するデータを閲覧・編集できると説明されています。
仕事用のWorkspaceでは、公開リンクでの共有は初期設定でオフ、Googleドライブを使った共有は初期設定でオンと、管理者向けヘルプにあります。
そのため、当社では、公開リンクをチャットやメールで広く流す配り方はおすすめしません。
社内に配るなら、次のような形にしておきます。
ドライブでの共有を使い、相手を社内の人やグループに絞る
原価率などの数字を入れたまま配るかを、先に決める
直すときに頼む人を決めておく

すぐ使えるシミュレーターを社内で探せるようにする
使う人が増えると、「あのシミュレーターはどこにありますか」という声が上がり、人によって使う式が違う状態になりやすいです。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」には、すぐ使える業務アプリが300以上あり、自社の業務に合わせて手直しして使えます。
値引き・粗利シミュレーターもその1つで、定価・数量・原価・値引き率を入れると、粗利額と粗利率、値引き後の売上の合計を表示します。
計算にAIを使っていないため、毎回同じ式で同じ答えが出ます。
商品ごとの原価率や、値引きの承認ラインも、自社の数字に合わせて使えます。
粗利率は売上で割り、値引きは前後の粗利で比べる
粗利は売上から原価を引き、粗利率はその粗利を売上で割ります。
値引きをしたときは、値引き後の価格を売上にして、同じ計算をやり直します。
営業のほか、経理や人事など職種ごとのAIの使いどころは、職種別AI活用まとめ。営業・マーケ・人事・経理・法務の使いどころにまとめています。
どの業務からAIで便利にするかが決まらないときは、AI化する業務が決まらないで進め方を整理しています。
まずは、今月出した見積もり1件を選び、値引き前と値引き後の粗利と粗利率を並べてみることをおすすめします。
参照した情報(2026年10月30日に確認)
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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