組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

ナレッジ管理ツールの選び方。専用ツールか、GoogleドライブとGemini Notebookで足りるか

ナレッジ管理ツールの選び方。専用ツールか、GoogleドライブとGemini Notebookで足りるか

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

ナレッジ管理ツールは、残し方と探し方の違いで、社内wiki型・ナレッジDB型・AI検索型の3つに分かれます。
どれを選ぶかは、製品の機能表を見る前に、残したいナレッジの形と、書く人・直す人がいるかで絞れます。
1つの部署で試す段階なら、専用ツールを買わなくても、GoogleドライブとGemini Notebook(旧NotebookLM)で始められます。

残したいナレッジの形によって、合うナレッジ管理ツールの型が分かれることを示した図。手順書や規程の解説のように読んで理解する文章は社内wiki型、よくある質問や問い合わせの記録のように件数が増えていく記録はナレッジDB型、規程やマニュアルのようにすでにファイルとしてある文書はAI検索型に向いている。どの型でも、書く人と直す人がいないと更新は止まる

資料を取り寄せると、製品ごとに「社内wiki」「ナレッジベース」「AI検索」と名乗り方が違い、何を比べればよいのかで迷います。
社内からも「NotePMのような専用のツールを買うべきか、今のドライブとAIでは足りないのか?」という声が上がります。

ナレッジ管理ツールの3つの型

ナレッジ管理ツールは、仕事の手順や過去の事例、よく聞かれる質問の答えを社内に残し、必要な人が探して使えるようにするソフトやサービスです。
「ナレッジマネジメントツール」「ナレッジマネジメントシステム」「ナレッジツール」も、ほぼ同じものを指して使われています。

3つの型と、向いているナレッジを並べると次のようになります。

型

残し方

向いているナレッジ

手間がかかる所

社内wiki型

人がページを書く

読んで理解する手順や説明

書く人と直す人

ナレッジDB型

項目を決めて1件ずつ記録する

問い合わせやトラブルのように件数が増えていく記録

項目を先に決めること

AI検索型

今ある文書をつなぐか取り込む

すでにファイルとしてある規程やマニュアル

文書の新しさと見せる相手の権限

どの型も、している仕事は残す・探す・直すの3つです。
残すはページを書く、ファイルを取り込む、決まった項目に記録する作業で、探すは検索や絞り込み、AIへの質問を指します。
直すは、更新した人と日付、変更の履歴、見せる相手の権限の管理です。

ナレッジという言葉の意味はナレッジとは。ノウハウとの違いと、頭の中の知識をAIで書き残す方法で、ツールの前にある考え方はナレッジマネジメントとは。古いと言われたやり方を、Gemini NotebookなどのAIで変えるで扱っています。

社内wiki型・ナレッジDB型・AI検索型の違い

社内wiki型は、人が書いたページを、人が読むことを前提にした型です。
見出しや画像の入った手順書を作りやすく、ページを階層に並べておけば、業務の全体を上からたどれます。
その代わり、書く人がいなければページは増えず、直す人がいなければ古いページがそのまま残ります。

ナレッジDB型は、「質問」「答え」「対象の業務」「確かめた日」のように項目を決めて、1件ずつ記録していく型です。
項目で絞り込んだり並べ替えたりできるので、件数が増えていくナレッジでも探しやすく保てます。
ただ、長い説明文には向かず、項目を先に決めておかないと、記録の書き方が人によってばらつきます。

AI検索型は、すでにある文書をつなぐか取り込み、質問するとAIがその文書をもとに答える型です。
書き直さずに始められるのが強みですが、答えの出来は文書の中身と新しさに左右され、どこにも書かれていないナレッジは引けません。
見せてよい人にだけ答えるかどうか、つまり権限の扱いも、3つの型の中でいちばん確かめる点が多くなります。

社内wiki型・ナレッジDB型・AI検索型を、残し方、探し方、向いているナレッジ、手間がかかる所で比べた表。社内wiki型は人がページを書いて階層に並べ、検索と階層をたどって探す。手順書のように読んで理解する文章に向き、書く人と直す人がいないと止まる。ナレッジDB型は質問・答え・対象の業務・確かめた日のように項目を決めて1件ずつ記録し、項目で絞り込み並べ替える。件数が増える記録に向き、長い説明文には向かず、項目を先に決めないと書き方がばらつく。AI検索型はすでにある文書をつなぐか取り込み、質問するとAIが文書をもとに答える。書き直さずに始められるが、答えは文書の中身と新しさに左右され、権限の扱いで確かめる点が多い。実際の製品は、1つの型を中心に、ほかの型の働きを足していることが多い

もちろん、実際の製品は1つの型だけでできているわけではありません。
製品の資料を読むときは、どの型が中心で、ほかのどの型を足しているのかに分けて見ると、比べやすくなります。

例えば NotePM は、株式会社プロジェクト・モードが提供するツールで、公式サイトでは「ナレッジやノウハウを一元管理できるナレッジマネジメントツール」と説明されています。
ページを書いて残す社内wiki型が中心で、ページの本文に加えて、Word・Excel・PowerPoint・PDFのファイルの中身も全文検索の対象になります。
さらに、ためた情報をもとに質問に答えるAIチャットボットの機能もあり、AI検索型の働きも持っています。

選ぶ前に確かめる3つ

製品の機能表から入ると、機能の多いものほど良く見えてしまいます。
その前に自社で確かめておくのは、ナレッジの形、書く人と直す人、文書の置き場所の3つです。

まず見るのは、残したいナレッジの形です。
いま社内でいちばん困っている質問や作業を3つほど挙げ、それが「読んで理解する文章」なのか、「件数が増えていく記録」なのか、「すでにファイルとしてある文書」なのかを見ます。

次に、書く人と直す人がいるかを見ます。
社内wiki型とナレッジDB型は、書く人がいて初めて中身が増えます。
部署ごとに書く人と直す人の名前が挙がらないうちは、どの製品を入れても、同じところで更新が止まります。

もうひとつが、文書の置き場所です。
規程やマニュアルがすでにGoogleドライブやファイルサーバにまとまっているなら、移す前に、AI検索型で今ある文書から引けるようにするほうが早く始められます。

書く人の有無と、すでにある文書の量を組み合わせると、始め方の見当がつきます。
書く人がいて文書がまだ少ないなら、社内wiki型かナレッジDB型で書き始めます。
文書は多いのに書く人が少ないなら、AI検索型で今ある文書から引けるようにし、直す人だけは先に決めておきます。

書く人も文書もそろっているなら、AI検索型で今ある文書を引きながら、文書に無いナレッジを社内wiki型で書き足していけます。
どちらも足りないうちは、ツールを選ぶより先に、残す業務と書く人を決めます。
一言でいうと、型を選ぶ手がかりは製品の機能ではなく、自社のナレッジの形と書く人の数です。

書く人・直す人がいるかと、すでにある文書の量の2つの軸で、ナレッジ管理の始め方を4つに分けた図。書く人がいて文書が少ないなら、社内wiki型かナレッジDB型で書き始める。書く人がいて文書も多いなら、AI検索型で今ある文書を引きながら、文書に無いナレッジを社内wiki型で書き足す。書く人が少なく文書が多いなら、AI検索型で今ある文書から引けるようにし、直す人だけは先に決める。どちらも足りないうちは、ツールを選ぶより先に、残す業務と書く人を決める

専用ツールか、GoogleドライブとGemini Notebookか

専用のツールを買うかどうかは、使う範囲と、書き足していく人の数で分かれます。
Google Workspace の会社を例に、手持ちの道具で3つの型をどこまで作れるかを並べます。

社内wiki型の代わりは、Googleドキュメントとフォルダで作れます。
ドライブの検索では、ファイル名やファイルの中のテキストに、種類・ユーザー・更新日の絞り込みを組み合わせて探せます。
ナレッジDB型は、スプレッドシートに項目を決めた一覧を作れば始められます。

AI検索型は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)に、ドライブの文書をソースとして入れて作れます。
Googleのヘルプでは、Business Starter・Standard・Plus や Enterprise のエディションでコアサービスとして提供されていて、1冊のノートブックに入れられるソースは標準で50件までです。
ドライブから入れたソースは、数分ごとに自動で同期されます。

手持ちの道具で足りるのは、1つの部門や業務で試す段階や、書く人が数人で、文書がノートブック数冊に収まる範囲です。
一方で、全社の人が同じ場所に書き足していく、読むだけの人と書く人で権限を分けたい、ファイルの中身まで含めて1か所から探したい、という段階になると、専用ツールのほうが手間は少なくなります。
ドキュメントとフォルダで作ったwikiは、ページの書き方や更新の知らせ方を自分たちで決めて守るので、書く人が増えるほど、その決まりの手入れが重くなるからです。

手持ちのドライブとAIで始める場合と、専用のナレッジ管理ツールを入れる場合を左右に並べた図。手持ちの道具では、社内wiki型の代わりをGoogleドキュメントとフォルダで、ナレッジDB型をスプレッドシートの一覧で、AI検索型をGemini Notebookで作れ、1つの部門や業務で試す段階や、書く人が数人で文書がノートブック数冊に収まる範囲に向く。専用ツールは、全社の人が同じ場所に書き足す、読むだけの人と書く人で権限を分けたい、ファイルの中身まで含めて1か所から探したい段階に向く。Gemini Notebookのソースは1冊に標準で50件まで、ドライブから入れたソースは数分ごとに自動で同期される

専用ツールを入れても、すでにドライブにある文書を全部移すかどうかは別の判断になります。
文書を移さずにAIで引くやり方と、RAGの仕組みを作るやり方の違いは、社内文書をAIで検索する方法。RAGの仕組みと、作らずに始めるやり方で詳しく扱っています。
社内ナレッジにAIを使うやり方の全体と選び方は、社内ナレッジをAIで活用する方法。ツール導入・RAG・手持ちのAIの選び方にまとめています。

候補を試すときの観点

候補が2つか3つに絞れたら、試用の期間などを使って、自社の資料を入れて試します。
機能表で丸が付いているかより、次の点が自社の資料で通るかを見ます。

  • 探せるか

  • ファイルの中まで探せるか

  • 権限を分けられるか

  • 書き始めやすいか

  • 古さが見えるか

  • AIに渡した文書の扱い

  • やめるときに持ち出せるか

なかでも最初に試したいのは、探せるかどうかです。
よく聞かれる質問を10個ほど用意し、聞かれたときの言葉のまま探して、答えにたどり着けるかを見ます。
「有給」と「年休」のような言い換えでも出てくるかも、ここで確かめます。
書いた人と探す人の言葉がずれると、ナレッジはあっても見つからず、使われないまま古くなっていきます。

ナレッジ管理ツールの候補を試すときに確かめる7つの点を並べた図。探せるか(よく聞かれる質問10個ほどを、聞かれたときの言葉のまま探す。言い換えでも出るか)、ファイルの中まで探せるか、権限を分けられるか、書き始めやすいか、古さが見えるか、AIに渡した文書の扱い、やめるときに持ち出せるか。なかでも最初に試したいのは探せるかどうか。費用の見積もりでは、読むだけの人も数えられるかを確かめる

PDFやExcelの中身が検索やAIの答えの対象になるか、スキャンした画像のPDFはどう扱われるかも見ておきます。
権限では、読むだけの人と書く人を分けられるか、人事の資料のように見せる相手を絞りたいものが、ほかの人への答えに混ざらないかを確かめます。

書き始めやすさは、今あるWordやPDFを取り込めるか、テンプレートで書き方をそろえられるかで見ます。
古さは、更新した人と日付、変更の履歴が見えるかで分かります。
やめるときに備えて、ページやファイルをほかの形式でまとめて持ち出せるかも確かめます。

AIの機能に入れた文書が学習に使われるかどうかは、契約や公式の説明で確かめます。
社外秘の文書を入れてよいかの最終的な判断は、社内の情報システムの担当や法務に確認してください。
費用の見積もりでは、書く人だけが数えられるのか、読むだけの人も数えられるのかも見ておきます。

ツールを入れたあとに更新が止まる理由

どの型のナレッジ管理ツールを選んでも、入れた直後はページや記録が増え、そのあと更新が止まる、という流れはよく起きます。
書く人と直す人が決まっていないと、ツールを替えても同じところで止まります。

業務ごとに正本の置き場所を1つ決め、直す人を文書ではなく業務に置くやり方は、ナレッジ共有とは。進まない理由と、チャットに流れた答えをGemでFAQにする仕組みで書いています。
AI検索型で作った仕組みが部署の外で使われない、答えが古くなる、といった止まり方は、「社内の資料に答えるAIを作っても、全社で使われない」のページで原因と対策に分けています。

手持ちのAIで作った検索の入口を、1か所から探せるようにする

手持ちのドライブとAIで始めると、AI検索型の役目を、部署ごとのGemini NotebookやGemが受け持つことになります。
部署が増えるにつれて、どのノートブックが何に答えるのかが、作った部署の外からは見えにくくなります。
共有は社内の人だけにし、社外の人が開ける共有のしかたは、できる場合でもおすすめしません。
中に入れた社内の資料を、社外の人に読まれるおそれがあるためです。

私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」には、Gem・Gemini Notebook・スキル・HTMLアプリ・GASアプリを登録でき、画面上の検索から、社員が書いたナレッジの記事と一緒に探せます。
業務の文書そのものを置くwikiの代わりではありませんが、「経費の質問はこのノートブックへ」のような使い方の記事を道具と並べておくと、どのAIに何を聞けばよいかが部署の外の人にも伝わります。

ナレッジ管理ツールは、よく聞かれる質問の答えにたどり着けるかで選ぶ

社内wiki型は読んで理解する文章に、ナレッジDB型は件数が増えていく記録に、AI検索型はすでにファイルとしてある文書に向いています。
製品の機能表を比べる前に、自社でいちばん困っている質問がどの形のナレッジか、それを書いて直す人は誰かを一覧にしておくと、候補は自然に絞れます。

試用の期間に確かめたいのは、機能の数ではなく、よく聞かれる質問の答えに社員がたどり着けるかどうかです。
1つの部署で試すなら、まずは手持ちのドライブとGemini Notebookで始め、足りなくなったところで専用ツールを比べる順番をおすすめします。

参照した情報(2026年10月29日に確認)

すぐ使える業務アプリが300以上

開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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