
プロンプトを社内で共有する方法。共有する項目と更新担当の決め方
2026/10/24
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
「このプロンプト、共有フォルダに置いておいたので使ってください」と伝えたのに、翌月に聞くと誰も使っていなかった。
推進担当の方と話していると、こうした場面にたびたび出会います。
プロンプトを社内で共有するときは、本文だけを置くのではなく、使う人が作った人に聞かずに使い始められるだけの情報を添えて渡します。
添えるのは、用途と使う人、入れる材料、入れてはいけない情報、入力例と出力例、試したAIと管理の情報(版や更新担当)の5つです。
この記事では、この5つの書き方に続けて、テンプレートにする形、閲覧と編集の権限、正式版と試作版の分け方、更新担当の決め方を見ていきます。

プロンプトを作り、配り、直していく流れの全体は、社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめています。
プロンプトの共有が定着しないのは、本文だけを渡していることが多いからです
共有が要るのは、うまく使っている人の指示が、その人の手元にしかないからです。
同じ作業をしている人がそれぞれ「一から」指示を書くので、手間がかかるうえに、出てくるものの出来にも差が出ます。
うまくいった指示を渡せれば、ほかの人は書く手間を省けて、出来もそろいやすくなります。
ところが、プロンプトの本文だけを貼った共有は、受け取った側で止まります。
何の作業に使うのか、何を入れればよいのか、結果のどこを確かめればよいのかが、本文からは読み取れないからです。
使う人は作った人に聞きに行くか、使うのをやめるかのどちらかになり、聞きに行く人が増えると作った人の手も止まります。
本文だけの共有のほかに、定着しない原因としてよく挙がるのは次の4つです。
古い版と新しい版が並んでいて、どれを使えばよいか分からない
誰が直すのかが決まっておらず、うまく動かなくなっても放置される
共有表を開いてコピーし、AIの画面に貼る手間が毎回かかる
入れてよい情報が決まっておらず、慎重な人ほど使わない
受け取った側の止まり方のほかに、置き場所や探し方から見たAIツールが社内で共有されない5つの原因もあります。
共有する項目は、本文のほかに5つあります
本文と一緒に渡すのは、次の5つです。
共有表の列にしても、プロンプトの冒頭に書き添えてもかまいません。
項目 | 書くこと |
|---|---|
用途と使う人 | 何の作業に使うか、どの職種・部署の人向けか |
入れる材料 | 毎回入れる情報と、足りないときにどうするか |
入れてはいけない情報 | 顧客の個人情報や公開前の数字など、このプロンプトで特に気をつけるもの |
入力例と出力例 | 機密を含まない見本と、出力のどこを人が確かめるか |
試したAIと管理の情報 | 試したAIとモデル、試した日、版、更新担当、質問の送り先 |
入力例と出力例は、使う人の迷いをいちばん減らす項目です。
本文を読んで使い方を想像するより、見本を1つ見るほうが早く分かります。
出力例には「数字は元の資料と照らす」「固有名詞は人が確かめる」のように、確かめる場所も添えておきます。
試したAIと日付は、地味ですが外せない項目です。
同じプロンプトでも、AIやモデルが違えば出てくるものが変わるので、どの環境で確かめたものかが分からないと、うまくいかなかったときに原因を切り分けられません。
入れてはいけない情報は、全社のルールを繰り返すより、そのプロンプトで起きやすいものを書くほうが守られます。
例えば議事録の要約なら「社外の参加者の連絡先は消してから入れる」のように、作業の流れに沿って書きます。
GeminiのGemのように資料も一緒に共有する形では、Googleのヘルプにあるとおり、アップロードした中身はアクセス権のある全員が見られます。
共有する相手に見せられない資料は、最初から入れないでおきます。
本文は、差し込み欄のあるテンプレートにして渡します
項目がそろったら、本文も渡しやすい形に直します。
共有したいプロンプトには、作った人の案件の情報が入ったままになっていることが多いので、ここで誰でも使える形に整えます。
直し方は単純で、毎回変わる部分を差し込み欄に置き換えます。
「{会議名}」「{参加者}」「{議事録の本文}」のように、何を入れる欄かが名前で分かるようにしておきます。
欄の名前が「{入力}」だけだと、使う人は何を貼ればよいのか迷います。

差し込み欄にしておくと、機密の面でも安心です。
作った人の顧客名や金額が本文に残ったまま、別の部署に渡ってしまうのを防げます。
空欄のテンプレートと、記入済みの見本は分けて置き、見本を上書きして使う人が出ないようにします。
指示の書き方そのものをそろえたいときは、全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本の7項目が下地になります。
テンプレートを置く場所は、使う場所のなるべく近くにします。
共有表を開いてコピーし、AIの画面に戻って貼る往復が毎回あると、だんだん使われなくなるからです。
Microsoft 365 CopilotならTeamsのチームにプロンプトを共有でき、GeminiならGem、ChatGPTやClaudeならプロジェクトの指示に入れておけば、AIの画面から直接使えます。
ただ、GeminiのGemは、会社のWorkspaceのアカウントでは2027年3月に提供を終え、スキルに移る予定です(2026年10月23日時点のGoogleのヘルプによる)。
どこに置く場合も、本文の写しは共有表にも残しておきます。
閲覧と編集の権限は、使う人と直す人で分けて決めます
共有するときに先に決めておきたいのが、誰が見られて、誰が直せるかです。
使う人は多いほうがよい一方で、直せる人まで多いと、知らないうちに中身が変わってしまいます。
基本の形は、使う人には「閲覧」だけを渡し、「編集」の権限は更新担当を含む少人数に絞る分け方です。
各AIの共有の機能にも、この2段階が用意されています(2026年10月23日時点の各社のヘルプによる)。
置き場所 | 使うだけの権限 | 直せる権限 |
|---|---|---|
Gemini の Gem | 閲覧者(Gem を使え、指示とファイルも見られる) | 編集者(指示やファイルの変更、共有、削除) |
ChatGPT のプロジェクト | チャットアクセス | 編集アクセス(指示の更新、ファイルの追加・削除、招待) |
Claude のプロジェクト(Team・Enterprise) | 閲覧(見てチャットができる) | 編集(指示やナレッジの変更、メンバーの管理) |
スプレッドシートの共有表 | 閲覧者 | 編集者 |
表の中で気をつけたいのは、Gemの閲覧者でも指示の本文は見られる点です。
「使えるけれど中身は見せない」という共有にはならないので、指示に書いた内容も、共有する範囲の全員に見えるものとして扱います。
閲覧の範囲は、部署から始めて広げます。
最初から全社に出すと、部署の中だけで通じる言葉や前提が残ったまま広がり、質問が作った人に集中します。
部署で使われて質問が落ち着いたものから、全社に広げるほうが無理がありません。
正式版と試作版は、置き場所を分けて表示します
ここからは、共有を続けるための決めごとです。
まず、作ったばかりのプロンプトと、何人もが使って直してきたプロンプトを、同じ一覧に混ぜないようにします。
もちろん、試作のプロンプトを共有すること自体は歓迎です。
荒いものでも、誰の手元にもない状態よりは役に立ちますし、試作を出しやすくする考え方はプロンプトを書けない人を置いていかない。作成を民主化するで書いています。
ただ、試作と正式版が混ざると、使う人はどれを信じればよいのか分かりません。
置き場所を分けるか、名前の頭に「試作」「正式」を付けて、ひと目で見分けられるようにします。
正式版には、版の番号と、最後に確かめた日、更新担当の名前を必ず付けます。
使わなくなった版は消さずに「旧版」と表示して、新しい版の場所を書き添えます。

試作から正式版に上げる前には、作った人以外が説明なしで使えるかを試します。
同じ作業をしている別の人に、テンプレートと5つの項目だけを渡し、口で補わないまま使ってもらいます。
途中で手が止まった所や、聞かれた質問が、そのまま項目の書き足りない所です。
見るのは、作業が最後まで終わったかと、出てきたものを確かめて直す手間がどれくらいかかったかの2つです。
直すのに一から書くのと同じくらい時間がかかったなら、正式版にはまだ早いと判断します。
版や直した履歴を残す表の列は、プロンプト管理の方法。社内AIボットを引き継げる管理シートの6列で扱っています。
更新担当を決め、共有のあとに来た質問を次の版に生かします
正式版にしたら、誰が直すのかを決めておきます。
更新担当がいないプロンプトは、AIの仕様が変わってうまく動かなくなっても、誰も直さないまま残ります。
更新担当は、プロンプトごとに1人、名前で決めます。
多くは作った人が担当しますが、作った人だけに任せきりにはしません。
異動や退職で担当がいなくなったときのために、「副担当」を決めておくか、部署の推進担当が引き取ると決めておきます。
共有のあとに来る質問は、次の版の材料になります。
「この欄には何を入れるのか?」「この出力は社外に出してよいのか?」と聞かれたら、答えるだけで終わらせず、5つの項目か本文に書き足します。
同じ質問が2回来たら、そこは「書き足りていない所」だと考えます。
質問の送り先を項目に書いておくのは、この流れを作るためです。

使われているかどうかも、定期的に見ます。
共有したのに使われていないプロンプトは、「届いていない」か「使い方が伝わっていない」かのどちらかであることが多いと思います。
共有表だけでは使われた回数が残らないので、月に一度、部署の定例で「今月どれを使ったか」を聞くだけでも、使われているものとそうでないものが分かれてきます。
使われていないものを一覧から外す基準や、探しやすい一覧の作り方は、共有したのに使われない。社内AI資産をカタログ化するにまとめています。
使われた回数が、共有した人に返る場所を用意できます
使われているかを人に聞いて回るのは、共有するものが増えるほど手間がかかります。
共有した側も、自分のプロンプトやツールが使われているのかが分からないと、直したり次を出したりする気持ちが続きません。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」では、GemやGemini Notebookのような社内のAIツールを登録すると、ツールごとに使われた回数と使っている人が見えます。
プロンプトそのものは、社員が書いて全社に出せる社内向けの記事(ナレッジ)として共有でき、いいねやコメントで反応が返ってきます。
共有は、5つの項目と更新担当を添えた1本から始められます
共有するプロンプトには5つの項目を添え、本文は差し込み欄のあるテンプレートにします。
権限は閲覧と編集で分け、正式版には更新担当を付けます。
次に部署で共有するプロンプトを1本選び、隣の席の人に説明なしで使ってもらうところから試してみてください。
そこで出た質問が、そのプロンプトの最初の改訂の材料になります。
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
お知らせ・組織AI推進ナレッジ一覧










