
ダミーテキストとダミー画像をAIで作る方法。サンプルデータ生成で本番データを使わずにデモと検証を行う
2026/09/16
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
ダミーテキストは、AIのチャットに必要な項目と件数を伝えれば、その場で作れます。
ダミー画像も、画像を作れるAIに場面を伝えるか、色だけの仮の画像で済ませれば用意できます。

どちらも、本番の顧客名簿や社員の名簿をコピーしてくる必要はありません。
デモと検証の最初の段階は、AIで作った架空のデータで足ります。
AIでダミーテキストを作る手順
いちばん簡単なのは、いつも使っているAIのチャットに、何のためのダミーかを伝える方法です。
Gemini、ChatGPT、Claudeのどれでも、手順は変わりません。
1. 何に使うダミーかを決める(資料やWebページの仮の文章、顧客名簿のような表のデータなど)
2. いつも使っているAIのチャットを開く
3. 下のプロンプトの例を貼り、テーマや項目を自分の用途に書き換えて送る
4. 出てきた内容を読み、実在の会社名や人名と重なっていないかを確かめる
5. 足りなければ、「もう20件追加してください」のように続けて頼む
資料やWebページの仮の文章なら、プロンプトの例は次のとおりです。
資料のレイアウトを確認するためのダミーテキストを作ってください。
テーマは「新入社員向けの業務マニュアル」です。
見出しを3つ作り、それぞれの見出しの下に150字前後の本文を付けてください。
実在の会社名・人名・商品名は使わず、架空のものにしてください。
顧客名簿のような表のデータなら、次のように頼みます。
次の列を持つダミーデータを50件作ってください。
列は「顧客ID」「会社名」「業種」「担当者名」「契約日」「金額」です。
会社名と担当者名は架空のものにし、業種は製造業・小売業・サービス業から選んでください。
金額は10万円から500万円の範囲にしてください。
表のデータを頼むときに渡すのは実データの構造だけで、列名と各列の性質を伝えます。
実データそのものは渡しません。
「架空のもの」であることは、必ず指定します。
実在する会社名が入ると、それ自体が別の問題になりかねません。
件数は50件ほどで、動作の確認なら足ります。
大量のデータで確認したい場合は、50件を複製すればよいだけです。
業務でそのまま使えるプロンプトの例はプロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方に、プロンプトの書き方の基本は全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本にまとめてあります。
AIでダミー画像を作る手順
ダミー画像は、資料やWebページの仕上がりを確かめるときに、仮の画像を置く場所に使います。
本物の写真や社内の画面を使わずに済むので、権利や情報の面でも安心です。
1. 何に使う画像かを決める(資料の挿絵、Webページの写真の枠、画面デモの画像など)
2. 画像を作れるAIのチャットを開く
3. 下のプロンプトの例を貼り、場面と大きさを書き換えて送る
4. 出てきた画像に、実在の人物・ロゴ・商品に似たものが写っていないかを確かめる
5. 気に入らなければ、変えたい点だけを書いて送り直す
プロンプトの例は次のとおりです。
資料の仮の挿絵に使う画像を作ってください。
明るい会議室で、数人が机を囲んで話し合っている場面です。
人の顔ははっきり描かず、文字・ロゴ・実在の商品は入れないでください。
横長(16対9)の大きさで作ってください。
色だけの仮の画像でよければ、スライドの四角い図形を画像として保存すれば足ります。
もちろん、画像を作れるかどうかは、使っているAIと契約のプランで変わります。
画面のスクリーンショットに実データが写っているときは、業務ツール「デモ用ダミーデータ置換」が使えます。
スクリーンショットを入れると、会社名・個人名・金額などが架空のデータに置き換わった画像ができます。
置換漏れがないかは、必ず目で確かめてください。
スクリーンショットは、実データのままGeminiに送られます。
社内のルールを確かめ、会社のGoogleアカウントで使ってください。
プロンプトを書かずに使えるダミーデータ作成ツール
毎回プロンプトを書くのが手間なら、表の種類と行数を選ぶだけで使えるツールが、AI Portalizeの業務アプリにあります。
業務ツール「サンプルデータ生成」は、架空のデータを入れた表を作るツールです。
顧客マスタ、勤怠データ、社員名簿など、12種類の表から選べて、行数は8行・20行・40行から決めます。
できた表は、Excelに貼れる形でコピーするか、CSVで保存できます。
選んだ表の種類と題材の指定はGeminiに送られるので、実在の顧客名や社員名は入れず、会社のGoogleアカウントで使ってください。
実在の会社名や人名と重なっていないかは、ここでも確かめます。
サンプルデータやテストデータの作成で、どこまで本番に似せるかの考え方は、このあとの節で書いています。
検証のために本番データを使ってしまう3つの理由
新しい仕組みを試すときに、本番のデータをそのまま使ってしまうことがあります。
顧客の一覧、社員の名簿、取引の記録を「試すだけだから」という判断でコピーしてくることも少なくありません。
これは、AI活用でいちばん起きやすい事故のひとつだと思います。
試したデータが外部に送られていた、あるいは誤って本番のデータを書き換えた、という形で表に出ます。
検証を含めた品質の工程を組織でそろえる全体像はAIアウトプットの品質を組織でそろえる。標準化とレビュー体制にまとめてあります。
扱ってよい情報の線引きそのものは生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするにまとめてあります。
本番データを使ってしまう理由は3つあります。
いちばん大きいのが、「ダミーを作るより、本番のデータをコピーしたほうが速くない?」という感覚です。
数十件のデータを手で作るには時間がかかるので、コピーするほうが速いと感じてしまいます。
次にあるのが、「試すだけ」という認識です。
「まだ本格的には使わない」と思うと、扱いが軽くなります。
もうひとつが、ダミーデータでは検証にならないと思われていて、実データでないと動作が確認できないという認識です。
この中でいちばん大きいのは、ダミーデータを作る手間のほうです。
ここは、AIでそのまま解決できる部分でもあります。
もちろん実データでないと検出されない問題は確かにあり、最後の認識にも一部正しい面があります。
とはいえ、最初の検証はダミーデータで足ります。

本番に似せるのは一部でよく、例外の値はあえて入れる
ダミーデータは、似せすぎる必要がないので、線を引いておきます。
似せる必要があるのは、列の構成(実データと同じ列で、同じ順序)、データの形式(日付の形、数値の桁数、文字数の目安)、値の範囲(金額ならありそうな範囲)の3つです。
逆に似せる必要がないのは、実際の値(会社名、人名、金額の具体的な数字)、データの量、分布の3つです。
この中で値の範囲がいちばん重要で、ここが実際とずれていると集計の確認ができなくなります。
極端な値ばかりのデータでは、合計や平均が実務での見え方と変わってしまいます。

ダミーデータには、例外的な値も意図的に入れておきます。
入れるべきは、空欄(一部の列を空にする)、極端に長い文字列(会社名が50文字)、記号や特殊な文字(「&」「(株)」)、全角と半角の混在、極端な数値(0、負の数、非常に大きい数)、重複(同じIDが2件)の6つです。
実データには、これらが必ず含まれています。

ところが見た目には分からないので、正常なデータだけで検証を済ませると、本番で例外に当たった時点で止まります。
この「例外を意図的に入れられる」ことが、ダミーデータの最大の利点だと思います。
実データをコピーしたところで、必要な例外がそこに含まれている保証はありません。
想定外の入力を洗い出す話は開発・デザインの品質チェックにAIを入れる。UXとバグの早期検知で扱っています。
検証環境は本番と分け、実データが要る場面だけ段階を踏む
環境の側も決めておきます。
決めるのは4つです。
検証に使う場所を本番と分けて名前で区別できるようにする、本番のデータをコピーしないとルールで明示する、検証が終わったら削除する、何を試してどうだったかの記録を残す、の4点です。
この中で最も重要なのは、場所を分ける点です。
場所が分かれていないと、誤って本番を触ってしまいます。
「本番のデータをコピーしてよい例外」は作りません。
例外を認めると、それがそのまま常態になります。
権限まわりの整え方は内製環境の権限設定をどう整えるか。安全と速度を両立させるにまとめてあります。
そのうえで、実データでないと検出されない問題があることも認めておきます。
具体的にはデータの品質の問題(実データに含まれる表記の揺れ、誤入力)、量の問題(大量のデータでの処理時間)、分布の問題(本番特有の偏り)の3つで、これらは実データでしか確認できません。
だから段階を分けます。
「段階1」はダミーデータで基本の動作と例外への対応を確認するところです。
「段階2」は実データの一部で確認するところで、100件ほどに絞り、個人情報を含む場合はマスキングします。
「段階3」が実データ全体での確認で、本番に反映する前に承認を得て行います。
「段階1」を飛ばさないのが要点で、ここで見つかる問題を段階2以降で見つけると、直すコストが上がります。
マスキングを工程として置く話は個人情報を含む文章をAIに渡す前に。マスキングを標準工程にするにまとめてあります。

新ツールの検討は手順を決め、ダミーデータは使い回す
現場に配る形も決めておきます。
新しいツールやサービスを検討するときの手順は5つです。
検討する業務のデータ形式でダミーデータを作る(例外を含めて)、ダミーデータで動作を確認してできる範囲とできない範囲を見る、扱う情報の範囲を確認して法務とすり合わせる、実データの一部で確認する、判断する、の順に進めます。
情報の範囲確認を実データを入れる前に置くのが要点になります。
実データを入れてから扱いを確認しても、入れてしまった事実は戻せません。

作ったダミーデータは保存しておきます。
次の検討でもそのまま使えますし、業務ごとのダミーデータの一覧があれば、検証の立ち上がりが速くなります。
蓄積の仕方としては、業務ごとに1組を目安にします。
本番で問題が起きた入力は、そのつどダミーデータに追加していきます。
過去に問題になったパターンが集まるので、これがいちばん価値のある資産になります。
置き場所を決めて誰でも使える状態にして、新しく入った人には「検証にはこれを使う」と渡します。
データの形式でつまずく場面の対処はCSVの文字化けを直す方法。Excelで0落ちを防いで開く手順と2つのリストの突合で扱っています。
ダミーデータで検証してから本番へ進める段取りは、当社のAI伴走支援でも、AIワークフローやツールの実装の中で現場の担当者と一緒に組み立てています。
本番データを使う理由は、構造さえ渡せばなくなる
ダミーテキストもダミー画像も、AIに用途と条件を伝えれば用意できます。
表のデータは、実データの構造だけを渡して、架空のデータを50件作らせます。
似せるのは列の構成・データの形式・値の範囲に絞り、空欄や重複などの例外は意図的に入れます。
環境は本番と分け、実データが要る場面だけ、ダミーから実データの一部、実データ全体へと段階を踏みます。
自部門でよく使うデータ形式について、例外を含んだダミーデータを1組作ってみると、本番データに頼る理由が消えていきます。
すぐ使える業務アプリが300以上
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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