
文章校正をAIで行う方法。誤字脱字チェッカーで誤字を直し、論理の矛盾と数値の照合は工程を分けて行う
2026/09/15
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
文章校正をAIで行うなら、校正したい文章をAIのチャットに貼り、誤字・脱字・表記の揺れを表にして出すよう頼むのがいちばん簡単な方法です。
貼って送るだけなので、特別なツールを入れなくても今日から試せます。
ただ、文章校正AIが得意なのは誤字脱字のように機械的に見られるところで、論理の矛盾や数字の裏取りは、観点を分けて頼まないと抜けが残ります。

AIで文章を校正する手順
どのAIでも手順は同じで、まず誤字脱字だけを頼み、論理や数字は別の依頼に分けます。
Gemini、ChatGPT、Claudeのどれでも、文章を貼って送れるチャットなら使えます。
1. 校正したい文章を用意し、社外に出せない情報が入っていないかを確かめる
2. いつも使っているAIのチャットを開く
3. 下のプロンプトの例を貼り、「(ここに文章を貼る)」の位置に文章を入れて送る
4. 出てきた表を、原文と見比べながら1行ずつ確かめる
5. 直す箇所だけを自分で直し、必要なら直した文章でもう一度送る
誤字脱字を頼むプロンプトの例は次のとおりです。
次の文章を校正してください。
誤字・脱字・変換ミス・表記の揺れ・ですます調とである調の混在を探してください。
見つけた箇所を「該当箇所」「問題の種類」「直し方」の3列の表にして、文章そのものは書き換えないでください。
見つからなかった場合は「見つかりませんでした」とだけ答えてください。
(ここに文章を貼る)
文章そのものを書き換えないよう頼んでおくと、指摘だけを受け取って、直すかどうかを自分で決められます。
AIの指摘は間違っていることもあるので、原文と見比べてから直してください。
業務ごとのプロンプトの例を用意したいときは、プロンプトテンプレートの例文集。業務でそのまま使える10本と社内での配り方が使えます。
指摘が多すぎる、少なすぎるといった調整は、プロンプトに1行足して送り直します。
プロンプトの書き方の基本は、全社共通のプロンプト作法を決める。押さえるべき7つの基本にまとめてあります。
社外秘の資料や個人情報が入った文章は、AIに貼る前に、扱ってよい情報かを確かめます。
線引きの考え方は、生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするにまとめてあります。
契約や利用プランによって扱いが変わるため、最終的な判断は社内の情報システムの担当者に確認してください。
誤字脱字チェッカーなど、すぐ使える文章校正ツール
毎回プロンプトを貼るのが手間なら、貼って押すだけで使える文章校正ツールが、AI Portalizeの業務アプリにあります。
目的ごとに分かれているので、確かめたい観点に合わせて選びます。
業務ツール「誤字脱字チェッカー」は、文章を貼ると、誤字・脱字・変換ミスを直し方つきの表にします。
画像やPDFも読み込めて、自社の用語の辞書を入れておけば、辞書と違う表記も見つかります。
貼った文章は、誤りを探すためにGeminiに送られるので、社外秘の内容は外してから、会社のGoogleアカウントで使ってください。
前後の矛盾や数字の食い違いは、業務ツール「論理チェッカー」で確かめます。
指摘には原文の引用と直し方が付き、2つの文書の食い違いも探せます。
誤字や言い回しは見ない作りなので、誤字脱字チェッカーとは分けて使います。
文字数と、ですます調・である調の混在を確かめるなら、業務ツール「文字数カウンター+原稿チェック」が使えます。
どのツールでも、指摘は原文と見比べてから直す点は、チャットのAIと同じです。
チェックの質が人によって変わる3つの理由
校正をAIに任せても、頼む観点が人によって違えば、結果もそろいません。
観点がそろわない理由は、3つあります。
まず、観点が決まっていません。
「この資料、確認してもらえますか?」と頼むだけでは、何を見るかが受け取った人任せになります。
次に、得意な観点に偏ります。
文章が得意な人は表現を見て、数字が得意な人は数値を見るので、自分が苦手な観点は見落としたことにも気づきません。
もうひとつが、時間の制約です。
忙しいときは、目立つ部分だけを見て通してしまいます。
いちばん厄介なのは、得意な観点への偏りです。
本人は「ちゃんと見た」と思い込んでいるので、指摘されない限り直りません。
出発点になるのは、観点を明示して全部を見る形にすることです。

校正の観点は4つ。機械に任せられる範囲
機械的に見られる観点は機械に任せ、人は判断が必要な観点に時間を使います。
観点は4つあり、それぞれ機械に渡せる度合いが違います。
誤字脱字と表記は、誤字・脱字・表記の揺れ・文体の混在といったもので、機械的に見られるのでそのまま任せられます。
「検出された箇所を一覧で出してください」と付けておくと、文書全体を読み直さずに該当箇所だけを確認できます。
自社用語との整合は、自社の名称や製品名、社内での呼び方を用語集と照合するものです。
用語集がない組織では、製品名の正式表記が人によって違っても何を正とすればよいかが決まらず、この観点そのものが作れません。
共通言語をそろえる話は発注・指示の共通言語をそろえる。専門用語リストを組織資産にするにまとめてあります。
論理の矛盾は、前後で言っていることが違う、根拠と結論が噛み合っていない、順序が入れ替わっているといったものです。
意図的に対比している箇所を矛盾として挙げてくることがあるので、「矛盾している箇所を挙げてください」と依頼して指摘だけを受け取り、採否は人が判断します。
数値の整合と裏取りは、合計が合わない、前後で数字が違う、出典と一致しないといったものです。
文書内の整合は任せられますが、出典との照合だけは人の工程として残します。
対外文書には、機密の混入と表現のリスクという2つの観点を足します。
社内向けの成果物には不要ですが、外に出る文書では、この2つが最も損失の大きい見落としになります。
数値の照合は、対象を絞れば工程になる
数値の観点だけは性質が違うので、独立した工程として置きます。
やることは、文書内の数値をリストにして、出典とそれぞれ照合する作業です。
数値のリストは、「文書の中の数値を一覧にしてください」とAIに頼めば作れます。
ただ、すべての数値を照合するのは現実的ではありません。
絞る基準は3つです。
社外に出る数値、金額が動く数値、意思決定の根拠になる数値のいずれかに当たるものだけを対象にします。
社内の作業メモに書かれた概算の工数は対象外にして、提案書に載せる導入社数や単価は必ず照合する、という線引きです。

「照合できない数値は削除する」と決めておきます。
「たぶん合っている」という状態で残すと、それが根拠として一人歩きします。
照合したことを記録に残しておくと、後から誰がいつ確認したかを追えます。
裏取りの型そのものはAIの回答をファクトチェックする5分の型。全社の標準動作にするにまとめてあります。
成果物ごとの観点の絞り方と、確認の3段階
適用範囲を決めておかないと、工程がすぐに重くなります。
成果物の種類ごとに、対応表を作ります。
社内の記録、つまり議事録や作業メモは、誤字脱字のみか、あるいは何もしません。
社内の報告は、誤字脱字と論理と数値の3つを見て、自社用語の照合は不要な場合が多いです。
社外に出る文書は、4観点すべてに機密と表現を足します。
公開される文書は、そこに人の二重確認を加えます。
この対応表を1枚にして配れば、どの成果物にどの観点を適用するかが決まり、毎回迷わずに済みます。

「対応表を超えるチェックをしない」とも決めておきます。
議事録の表現を整えても、そこから増える価値はほとんどありません。
表記ルールを機械的にそろえる具体は対外文書の表記ルールを機械的にそろえる。チェックの自動化で扱っています。
順序は3段階です。
段階1は、作成者が機械的なチェックを回す工程で、誤字脱字・自社用語・文書内の数値の整合を、書いた直後に済ませます。
段階2は、作成者が数値を出典と照合する工程で、照合したことをここで記録に残します。
段階3は、作成者以外が内容を見る工程で、論理の矛盾と、対外文書なら機密と表現を見ます。
段階3の対象は絞ります。
社外に出る、金額が動く、人事に関わる、のいずれかに当たるものだけです。

機械的な指摘をレビューアがやると負荷が大きく、肝心の内容を見る時間が減ります。
そのため、「段階1と2を飛ばして段階3に回さない」という線も引いておきます。
段階3で誤字が出てきたら、レビューアが直すのではなく段階1に差し戻します。
チェックリストは6項目。通したことは安全の証明にならない
現場に渡す形も決めておきます。
対外文書向けのチェックリストは、6項目です。
誤字脱字と表記の揺れをチェックした、自社名と製品名を用語集と照合した、文書内の数値の整合を確認した、判断に使う数値を出典と照合した(照合できないものは削除した)、前後の論理に矛盾がないか確認した、機密情報が含まれていないか確認した、という並びです。
すべて完了形で書きます。
「〜を確認する」だと、見たかどうかが曖昧なまま通るからです。

置く場所は、業務の動線上にします。
提出のフォームの中か、文書のテンプレートの末尾です。
探しに行く場所に置くと使われなくなるので、用語集へのリンクも添えておき、照合のたびに探す手間をなくします。
効いているかを見る指標は、3つです。
差し戻しの内容、公開後に見つかった誤り、チェックリストの記入率です。
なかでも差し戻しの内容がいちばん本質的で、レビューでの指摘が誤字や数値の話から構成や表現の話に移っていれば、段階1と2が機能している証拠になります。
指摘の内容を見ながら運用を直していく回し方は使い方の改善サイクルを回す。プロンプトの添削とフィードバックにまとめてあります。
ここで、注意点をひとつ加えます。
機械的なチェックを通したこと自体が、誤った安心を生みます。
検出されないものは、事実の誤り、文脈上の不適切さ、出典との不一致、画像の内容といったところです。
表記も数値の整合も正しいのに内容が間違っている場合があるので、なかでも事実の誤りがいちばん危険です。
だからチェックリストには「これは形式のチェックであり、内容の正確性は別に確認が必要です」と一行入れます。
内容を確認する担当は、その分野が分かる人に決めておきます。
公開前の最終確認そのものは公開前チェックをAIに任せる。機密混入・炎上・顧客視点の事前検知で扱っています。
私たちが提供しているAI伴走支援でも、観点の対応表づくりから社内研修までを、現場の担当者と一緒に進めています。
文章校正は、AIに任せる観点と人が見る観点を先に分ける
AIのチャットに文章を貼って誤字脱字の表を出させる校正は、今日から始められます。
一方で、論理の矛盾は指摘だけを受け取って人が採否を決め、数値の出典との照合は人が持ちます。
成果物ごとの対応表を1枚にして配り、作成者が先に機械的なチェックと数値の照合を済ませたうえで、作成者以外が内容を見ます。
まずは、対外文書のテンプレートの末尾に6項目のチェックリストを貼るところから始めます。
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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