
Gemini Notebook(旧NotebookLM)の社内活用。部門の一次対応から全社に広げる進め方
2026/08/21
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
NotebookLMを社内で使うなら、部門に毎月届く同じ質問に、規程や手順書から答えさせる使い方から始めるのがよいと思います。
NotebookLMは2026年7月に名前が変わり、今は「Gemini Notebook(旧NotebookLM)」として提供されています。
以降は、この記事でもGemini Notebookと書きます。
ただ、1人が作った1冊が便利でも、それだけで部門の問い合わせが減るわけではありません。
誰が持ち主なのか、どの資料なら入れてよいのか、ほかの部署の人がどこで見つけるのかが決まっていないと、ノートブックは作った人の画面の中に残ったままになります。
この記事では、2026年10月時点のGoogleのヘルプをもとに、社内で向いている場面、Geminiとの使い分け、管理者の設定とデータの扱いを確かめます。
そのうえで、一人で試す、部門で共有する、全社に広げる、の順に進め方を見ていきます。
AIに読ませる社内の資料をどう整えるかという全体の話は、社内ナレッジをAIで活用する方法。ツール導入・RAG・手持ちのAIの選び方にまとめています。

Gemini Notebook(旧NotebookLM)の社内活用は、資料から答える場面に向いています
最初に、Gemini Notebookが社内で何に向いているのかを、ヘルプの説明から押さえておきます。
Gemini Notebookは、ノートブックに入れた資料(ソース)をもとに、質問に答えるAIです。
ヘルプでは、チャットの回答には「ソースに含まれているデータのみ」が使われ、答えがソースに無い場合は回答できない、と説明されています。
回答には、ソースから直接引いた文章が「引用」として付きます。
引用にカーソルを合わせると引かれた文の全文が出て、引用を選ぶとソースの該当箇所に移って前後を読めます。
社内で使うときに助かるのは、この2つの性質です。
「経費の上限はいくらか」と聞いたとき、世間の相場ではなく自社の規程の値が返り、その値がどの資料のどこに書いてあるかを、聞いた人がその場で確かめられます。
向いているのは、答えの根拠を決まった資料にそろえておきたい質問です。
部門ごとに挙げると、次のような資料が候補になります。
人事・総務:就業規則、休暇や各種申請の手順、福利厚生の案内
経理:経費精算の規程、支払いの締め日、よく聞かれる勘定科目の決まり
情シス:端末やアカウントの申請手順、よく聞かれる設定の案内
営業:製品の仕様書、料金表、過去の提案書
教育担当:研修の資料。ヘルプには、ソースからクイズや音声解説を作る機能も案内されています
一方で、資料に書かれていない判断や、その場の事情で答えが変わる相談には向きません。
ソースに無いことは答えないので、「規程には無いけれど、慣例ではこうしている」という決まりは、文書にしてから入れることになります。
Geminiとは、答えの根拠をどこまで広げるかで使い分けます
「GeminiとGemini Notebook、どちらを使えばいいのか?」という質問は、社内でもよく出てきます。
2つの違いは、回答の根拠をどこに置くかにあります。
Geminiアプリは、自社の資料に限らない幅広い知識から答えます。
下書き、要約、アイデア出しのように、根拠を自社の資料に限らなくてよい作業はこちらが向いています。
Gemini Notebookは、入れた資料の範囲で答えます。
規程や手続きのように、答えが自社の資料と食い違っては困る質問はこちらで扱います。
ヘルプによると、Gemini Notebookで作ったノートブックはGeminiアプリの画面にも表示され、どちらからでも話せます。
ただ、Geminiアプリから話した場合は、ノートブックのソースに加えて、ウェブ検索などのツールも回答の根拠に入ることがある、と書かれています。
また、共有したノートブックはGeminiアプリには表示されない、とも書かれています。
つまり、部門で共有して規程に答えさせるノートブックは、「Gemini Notebookの画面で聞く」と案内しておくと、使う人が迷いません。
Gemは、指示と知識のファイルを持たせて、決まった作業を繰り返させる使い方に向いています。
ただ、Gemは提供の終了が決まっていて、Googleのヘルプでは、WorkspaceのBusiness・Enterpriseのアカウントは2027年3月にGemが自動で「スキル」へ移されると案内されています。
移されたスキルは、作った人が有効にするまで使うことも共有することもできない、とも書かれています。
資料に答える窓口を部門で持つなら、この移行の影響を受けないGemini Notebookで作っておくほうが手間がかかりません。

会社で使うなら、仕事用アカウントと管理者の設定を先に確かめます
社内の資料を入れる前に、どのアカウントで使うかを決めておきます。
「Gemini Notebookは無料で使えるのか」「入れた資料は学習に使われないのか」という質問にも、ここで答えられます。
Gemini Notebookは、個人のGoogleアカウントでも使えます。
ただ、会社の資料を入れるなら、Google Workspaceの仕事用アカウントで使うのが前提です。
2026年10月時点のヘルプでは、Business Starter・Standard・Plus、Enterpriseなど、Workspaceの多くのエディションでGemini Notebookは「コアサービス」として提供されています。
エディションによっては追加サービスの扱いになるので、自社の契約で確かめておきます。
データの扱いについて、ヘルプには、仕事用アカウントではアップロードしたファイル、チャット、モデルの出力を、人のレビュアーが確認することも、生成AIモデルの改善に使うこともない、と書かれています。
ただし、回答にフィードバックを送ると、質問やファイルを含むそのやり取りをGoogleが確認する場合がある、とも書かれています。
社内の案内には、この1行も入れておきます。
「情報漏洩のリスクはないのか?」と聞かれたときは、学習の扱いとは別に、共有の設定で見える人が広がる点も説明します。
ノートブックを共有すると、相手は中に入っているソースを読めるからです。
社員から「Gemini Notebookが使えない」と言われたら、まず管理者の設定を見ます。
管理者向けのヘルプでは、管理コンソールの「生成AI」→「Gemini Notebook」→「サービスのステータス」で、組織全体、組織部門、アクセスグループごとにオンとオフを切り替えると案内されています。
設定を変えるには、Geminiの「設定」の管理者権限が要ります。
先に一部の部署だけで試したいなら、その部署の組織部門か、アクセスグループだけをオンにする形もとれます。

上限は、ヘルプの表では標準のアクセス権でノートブックは1人100件、ソースは1冊50件、チャットは1日50回までで、最高レベルのアクセス権ではそれぞれ500件、600件、5,000回です。
1つのソースは50万語まで、アップロードするファイルは200MBまでとされています。
上限は変わる場合があると書かれているので、試す段階で自社のアカウントの表示を確かめます。
一人で試す段階では、入れてよい資料を区分し、引用を開いて確かめます
ここからが進め方です。
最初は推進担当か、問い合わせを受けている部門の誰か1人が、自分の担当業務の資料で試します。
資料を集める前に、社内の入力ルールに沿って、入れてよいかを区分します。
生成AIに入れてはいけない情報とは。社内ルールを3段階で線引きするのように、そのまま入れてよい、加工すれば入れてよい、加工しても入れない、の3段階に分けておくと、資料ごとに迷わずに済みます。
部門に配るノートブックには、もう1つ条件が加わります。
共有する相手の全員が読んでよい資料かどうかです。
人事評価、給与、未公表の計画のように、見られる人が限られる資料は、仕事用アカウントで使える場合でも、部門全員向けのノートブックには入れません。
資料の入れ方も、最初に決めておきます。
ヘルプによると、Googleドライブから入れたファイルは数分ごとに同期され、元のドキュメントを直すと、ノートブックを開いたときに反映されます。
ソースを開いて「クリックして Google ドライブと同期」を選べば、手で更新することもできます。
自動の同期は2026年5月26日のGoogleの案内で始まったもので、それまでは手で更新する必要がありました。
パソコンからアップロードしたPDFやWordは、取り込んだ時点の写しとして残るので、改訂のたびに入れ直します。
規程のように改訂がある資料は、正本をGoogleドキュメントにしてドライブから入れておくと、版の食い違いが起きにくくなります。
資料を入れたら、自分が実際に聞かれた質問を10個ほど投げます。
見るのは、答えが合っているかどうかに加えて、引用の中身です。
引用を選んでソースの該当箇所を開き、根拠になった文が今の規程と一致しているか、古い版の資料から引いていないかを確かめます。
ヘルプには、試験運用中の機能の説明の中で、Gemini Notebookが不正確な情報を表示することがあるので、生成された回答は必ず確かめるように、と書かれています。
部門に渡すときも、「答えを使う前に引用を開いて確かめる」という使い方を、最初から案内に入れておきます。
答えられない質問が出たら、資料に記載が無いのか、資料を読み込めていないのかを分けて見ます。
ヘルプでは、コピープロテクトのかかったPDFや、上限を超えるファイルは取り込めないとされています。

ノートブックの作り方、ソースの入れ方、テストの質問の選び方は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)で社内チャットボットを作る方法。規程に答えるまでに手順として書いています。
部門で共有するときは、ノートブックの単位と持ち主を先に決めます
1人で使えるようになったら、部門の人に渡します。
そのとき、資料が改訂されたら誰がノートブックを直すのでしょうか?
ここを決めずに共有すると直す人がいなくなるので、ノートブックの単位と持ち主を先に決めておきます。
単位は、1冊に何を入れるかの線引きです。
部門の資料を全部1冊に入れたくなりますが、質問する人と更新の頻度が違う資料は分けておきます。
人事に届く質問と、営業が知りたい製品の情報を同じ1冊に入れると、聞く人にとっても、引用を確かめる人にとっても、どの資料の話なのかが分かりにくくなります。
標準で1冊50件というソースの上限も、分けておく理由になります。
分け方は、社内AIの「単位」をどう切るか。ナレッジ分割を決める3つの軸の、業務・読者・更新頻度の順で考えると決めやすくなります。
持ち主は、ノートブックを作った人です。
2026年10月時点のヘルプには、ノートブックの所有者を別の人に移す手順が書かれていません。
そのため、部門で使う1冊は、その資料を更新する業務の担当者が作り、副担当を編集者に加えておきます。
ドライブから入れた資料の置き場所にも気をつけます。
ヘルプによると、ドライブのファイルへのアクセス権を失ったり、ファイルが削除されたりすると、そのソースはノートブックで使えなくなり、共有しているノートブックでも同じだと書かれています。
資料の正本を担当者個人のドライブではなく部署で管理している場所に置いておくと、異動のときに急に答えられなくなる心配が減ります。
権限は、使う人を「閲覧者」に、資料を差し替える人を「編集者」にします。
編集者はソースの追加と削除に加えて、ほかの人への共有もできるので、1〜2人にとどめておきます。

渡すときは、ノートブックの名前と、何に答えるかを1行で書いた説明、聞ける質問の例を3つほど添えます。
「何を聞けばいいの?」という状態のまま渡されると、一度開いて閉じたきりになりがちです。
開いて閉じたきりになる理由は渡し方のほかにもあり、社内チャットボットが使われない5つの原因と対策で順に見られます。
共有の画面の操作、チャットビューと一般公開の違い、社外への共有の管理者設定は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)の共有方法。社内で使える状態にするまでにまとめています。
全社に広げるときは、禁止より公認の置き場を一覧で用意します
部門で回り始めると、ほかの部署からも「うちでも作りたい」という声が出てきます。
この段階で決めるのは、どこまでを会社として認めたノートブックにするかと、それをどこで探してもらうかです。
全社に広がる途中で起きやすいのが、個人のアカウントや、作った人が決めた範囲で共有されたノートブックが、社内のあちこちに散らばる状態です。
これを「個人で作るのは禁止」で抑えようとすると、使う人は管理する側から見えないところで使い続けます。
それより、会社として認めた「公認」の置き場を用意し、そこに載っているノートブックは使ってよいと案内するほうが、管理する側も中身を追えます。
一覧に載せる条件は、次の4つくらいに絞ります。
仕事用のアカウントで作られている
持ち主と副担当が、業務の担当者として決まっている
入っている資料が、共有する相手の全員に見せてよい区分のものだけになっている
何に答えるかが1行で書かれていて、資料の正本の場所が分かる
一覧があると、部署をまたいで同じ資料が使われていることにも気づけます。
例えば就業規則を入れたノートブックを人事と各部署がそれぞれ作っていると、片方だけ改訂前の資料のまま残り、聞く場所によって答えが変わってしまいます。
全社共通の規程は1冊にまとめて人事が持ち、各部署のノートブックからは外しておきます。

一覧を作ったら、使われていないノートブックの棚卸しも決めておきます。
Gemini Notebookには、ノートブックごとの利用状況を見る「アナリティクス」があり、過去7日間の「1日あたりのユーザー数」と「1日あたりのクエリ数」が出ます。
ただ、数字が出るのは、自分以外の4人以上と共有していて、過去7日にチャットが使われたノートブックだけです。
四半期に1回など時期を決めて、次のどれかに当たるノートブックを、持ち主と一緒に見直します。
しばらくアナリティクスの数字が出ていない
入っている資料が、今の正本と違う版になっている
持ち主か副担当が、異動や退職で業務から外れている
別の部署に、同じ資料を入れたノートブックがある
使われていない理由が「知られていない」なら一覧の案内を見直し、「答えてほしい質問とずれている」なら資料を足します。
役目を終えたものは共有を外して、一覧から下ろします。
広がったかどうかは、ノートブックの数より、部門に届く同じ質問が減ったかで見ます。
人事や情シスに「この申請はどうすれば?」という問い合わせが同じように届いているなら、まず一覧の案内と、ノートブックの説明の1行を見直します。
部門で作ったノートブックは、全社から探せる場所に置きます
ノートブックが部署ごとに増えてくると、一覧を手で直し、アナリティクスを1冊ずつ開いて書き写す作業は続きにくくなります。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」では、Gemini NotebookをAIツールとして登録すると、名前・説明・タグで全社から検索でき、ツールごとに使われた回数と使っている人も見えます。
最初の1冊は、部門に毎月届く質問から作れます
Gemini Notebookの社内活用で差が出るのは、ノートブックを作る操作よりも、誰が持ち、どの資料を入れ、どこで見つけてもらうかを決めるところです。
一人で試す段階で資料の区分と引用の確かめ方を、部門で共有する段階で単位と持ち主を、全社に広げる段階で公認の一覧と棚卸しを決めていきます。
手始めに、部門に毎月届く質問を10個書き出し、その答えが載っている資料がドライブのどこにあるかを横に並べてみます。
その表がそのまま、最初の1冊に入れる資料の一覧になります。
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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