
Gemini Notebook(旧NotebookLM)で社内チャットボットを作る方法。規程に答えるまで
2026/07/21
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
「有給の申請は何日前まででしたっけ?」「出張の日当はいくらですか?」。
人事や総務の担当者のもとには、規程を開けば分かる質問が毎日のように届きます。
Gemini Notebook(旧NotebookLM)に規程やマニュアルを入れておくと、こうした質問に資料の該当箇所を示しながら答える社内チャットボットを、開発なしで作れます。
この記事では、2026年10月時点のGoogleのヘルプをもとに、ノートブックを作ってから社内で使える状態にするまでの手順を書きます。
入れる資料の選び方、資料に無い質問への答えさせ方、答えのぶれの確かめ方も、作る順に見ていきます。
後半は、資料を直したときの反映、学習の扱い、上限です。

- Gemini Notebook(旧NotebookLM)は、入れた資料だけを根拠に答える社内チャットボットになります
- 作る前に、何に答えるボットかを1行で決め、正式な最新版の資料だけを選びます
- 作り方の手順|ノートブックを作り、資料を入れ、チャットの設定で答え方を決めます
- 公開する前に、実際に届いた質問を何度か聞いて、答えのぶれを確かめます
- 社内には閲覧者として共有し、案内文を添えて、全社から探せる一覧に載せます
- ドライブから入れた資料は自動で同期され、会社のアカウントのデータは学習に使われません
- 部門ごとのボットが増えてきたら、全社から検索できる場所に並べます
- 最初の1冊は、よく届く質問と、その答えが載った規程から作ります
Gemini Notebook(旧NotebookLM)は、入れた資料だけを根拠に答える社内チャットボットになります
最初に、Gemini Notebookが社内チャットボットとして何をしてくれるのか、どこまでが範囲なのかを押さえておきます。
NotebookLMは2026年7月に名前が変わり、今はGemini Notebookとして提供されています。
Googleが2026年7月16日に出した案内では、すでに共有しているノートブックやリンクは自動で転送され、管理者の作業も要らないとされています。
仕組みは、ノートブックに資料(ヘルプでは「ソース」と呼びます)を入れ、その資料について質問するというものです。
ヘルプには、チャットの回答はソースのデータだけを使い、ソースから直接引いた文章を引用として示すと書かれています。
引用を選ぶと、ソースの該当箇所に移って前後の文脈まで読めます。
社内の問い合わせ窓口に向いているのは、この性質があるからです。
「経費の上限はいくらか」と聞いた人に、世間一般の相場ではなく自社の規程の値が返り、根拠の条文まで自分で確かめられます。
ただ、ヘルプは回答を確かめ直すよう案内していて、法律や財務などの分野では専門家の助言の代わりにしないよう注意しています。
範囲の話も1つあります。
ヘルプによると、ノートブックはそれぞれ独立して動き、複数のノートブックの情報を同時に参照することはできません。
人事の規程と情シスの手順の両方に答えさせたいなら、1冊にまとめるか、別のボットにするかを先に決めます。

「無料で使えるのか」もよく聞かれます。
Gemini Notebookは、Google WorkspaceのBusiness Starter・Standard・Plus、Enterprise Standard・Plusなど、多くのエディションにコアサービスとして含まれています。
個人のGoogleアカウントにも無料の枠はありますが、社内の資料を入れるボットは会社のアカウントで作ります(理由は後の節で書きます)。
作る前に、何に答えるボットかを1行で決め、正式な最新版の資料だけを選びます
ボットの出来は、操作の手順よりも、何を入れるかで大きく変わります。
作り始める前に、答える範囲と、入れる資料を決めておきます。
まず、何に答えるボットかを1行で書きます。
「就業規則と各種申請の手順に答える」「経費精算の規程に答える」のように、質問する人が「これは聞いていいのか」を判断できる書き方にします。
この1行は、ノートブックの名前と共有するときの案内文にも使えます。
入れる資料は、正式な最新版だけにします。
改訂前の規程や下書き、個人のメモが混ざっていると、同じ質問に古い版の数字が返るおそれがあります。
範囲を絞っておくほうが、答えがずれたときに直す場所も追いやすくなります。
資料が足りているかどうかは、実際に聞かれた質問から逆にたどると分かります。
過去にチャットやメールで届いた質問を集め、答えがどの資料のどこにあるかを1件ずつ確かめます。
どこにも書かれていない答えは、口頭や慣習で回っているルールなので、先に文書にしておきます。
ヘルプに書かれている、入れられる資料の主な種類と上限は次のとおりです。
Googleドキュメント・スライド・スプレッドシート、Word、PowerPoint、PDF、テキスト、Markdown、CSV
WebページのURL、字幕のある公開のYouTube動画、コピーして貼り付けたテキスト
1つのソースは50万語まで、ファイルは200MBまで(Googleスライドは100枚、Googleスプレッドシートは10万トークンまで)
規程を入れるときに見落としやすいのが、Googleのファイルの脚注とコメントは取り込まれないという点です。
大事な例外を脚注に書いている規程は、本文に書き直してから入れます。
また、タブで章を分けたドキュメントも、まとめて1つのソースとして扱われます。

1冊に何を入れるかで迷ったら、質問する人が同じかどうかで分けます。
例えば、人事への質問と営業向けの製品情報を1冊に入れると、使う人は何を聞けるのか分からず、直す人も担当の範囲があいまいになります。
業務・読者・更新頻度の3つの軸で分ける考え方は、社内AIの「単位」をどう切るか。ナレッジ分割を決める3つの軸にまとめています。
作り方の手順|ノートブックを作り、資料を入れ、チャットの設定で答え方を決めます
資料がそろったら、ノートブックを作ります。
ここからはパソコンのブラウザでの操作で、ヘルプの手順に沿って書いています。
1. Gemini Notebook(notebook.google.com)を開き、「ノートブックを新規作成」を選ぶ
2. 出てきた画面で「ソースをアップロード」を選び、ファイルを上げるか、Googleドライブから資料を選ぶ
3. ノートブックに、前の節で決めた1行が分かる名前を付ける
4. チャットパネルで「チャットを設定」を開き、会話のスタイルで「カスタム」を選んで、答え方の指示を書く
5. 回答の長さを選び、「保存」を押す
資料をあとから足すときは、「ソース」パネルの「+ 追加」から入れます。
手順4の指示は、社内のボットとして使うなら書いておきたい所です。
答える範囲、資料に無いときの返し方、答えの形の3つを書いておきます。
指示の例を載せておきます(〔 〕の中を自社に合わせて書き換えます)。
あなたは〔会社名〕〔部署名〕の問い合わせ窓口として、社員からの質問に、ソースに入っている規程と手順書だけをもとに答えてください
答えの最初に結論を1〜2文で書き、そのあとに根拠になった規程の名前と条番号を示してください
ソースに書かれていないことは推測で答えず、「この資料には書かれていません。〔窓口の名前と連絡先〕に確認してください」と返してください
規程の解釈が分かれそうな質問や、個別の事情の判断が要る質問には、答えの最後に〔担当部署〕へ確認するよう一言添えてください
ただ、このチャットの設定が、共有した相手の画面にもそのまま効くのかは、2026年10月時点のヘルプには書かれていません。
共有したら、閲覧者の人に1問聞いてもらい、指示どおりの形で答えが返るかを確かめます。
公開する前に、実際に届いた質問を何度か聞いて、答えのぶれを確かめます
作り終えたら、社内に知らせる前に、作った人と部門の数人で答えを確かめます。
見るのは、正しく答えるかどうかと、同じ質問に同じ答えが返るかどうかです。
テストの質問には、前の節で集めた、実際に届いた質問を使います。
自分で考えた質問は、資料に書いてあることを前提に作ってしまいがちで、うまく答えられて当然になります。
「有休」「有給」のような現場の言い回しのまま聞くと、資料と違う言葉で聞かれたときに答えられるかも分かります。
確かめ方は、次の順に進めると抜けが出ません。
1問ずつ聞き、答えに付いた引用を選んで、ソースの該当箇所と答えの中身が合っているかを見る
同じ質問を言い回しを変えて2〜3回聞き、結論や数字が変わらないかを見る
その他メニューの「チャットの履歴を削除」で履歴を消してからもう一度聞き、前の答えと比べる
別の人のアカウントでも同じ質問をしてもらい、答えを並べて比べる
答えがそろわない質問が見つかったら、まず資料と指示の2つを見直します。
同じことについて違う記述をしている資料(改訂前の版や、部署ごとのローカルルール)が入っていれば、どちらかを外します。
規程の書き方そのものがあいまいなら規程の側を直し、答えの形がぶれるだけなら、指示に結論の書き方を足します。
それでもぶれが残る質問は、ボットに答えさせる範囲から外し、案内文に担当者の窓口を書いておきます。
「この質問はボットではなく人事の窓口へ」と分けておけば、使う人も迷いません。

答えられなかった質問は、表に1行ずつ残します。
質問の文と足りなかった資料を書いておけば、資料を足したあとに同じ質問で確かめ直せます。
社内には閲覧者として共有し、案内文を添えて、全社から探せる一覧に載せます
確かめ終わったら、使う人に共有します。
共有の細かな設定は別の記事に分けているので、ここではボットとして渡すときに決めておくことに絞ります。
共有は、ノートブックの右上の「共有」から、相手のメールアドレスや部署のGoogleグループを入れて、権限を選びます。
質問に使ってもらうだけなら、権限は閲覧者で足ります。
編集者はソースの追加・削除に加えて、ほかの人への共有までできるので、資料を差し替える担当の1〜2人にとどめます。
知っておきたいのは、閲覧者もソースとメモを読めることです。
チャットだけを表示するリンク(チャットビュー)も用意されていますが、ヘルプには、閲覧者が別の方法で資料にたどり着ける場合があると書かれています。
使う人に見せたくない資料は、表示で隠すのではなく、ノートブックに入れないようにします。
チャットの履歴は、ヘルプでは保持されて本人だけに見えると説明されています。
ヘルプに書かれた範囲では、作った人が質問の中身を見る方法は見当たらないので、答えられなかった質問は使う人から集めます。
部署のGoogleグループと共有したときはメンバーに通知が届かないので、共有したら別に案内を出します。
案内には、何に答えるかの1行、聞ける質問の例を3つ、「答えが無かったときはここに」というフォームやチャンネルを入れます。

社外の取引先や顧客に使ってもらうときは、管理者が決めている社外共有の設定に従います。
社外への共有や一般公開、コピーの許可まで含めた手順は、Gemini Notebook(旧NotebookLM)の共有方法。社内で使える状態にするまでにまとめています。
共有したボットは、社内の誰でも見られる一覧にも載せます。
招待されていない人からは、ボットがあること自体が見えないからです。
一覧には、名前、何に答えるか、入っている資料、差し替える担当、共有の範囲を書きます。
使われているかどうかは、ノートブックの「アナリティクス」で見られます。
ヘルプによると、見られるのは過去7日間の1日あたりのユーザー数とクエリ数(質問の数)です。
数字が出るのは、自分以外の4人以上と共有していて、過去7日にチャットがあったときだけです。
週に1回開いて一覧に書き足していくと、使われているボットと置かれたままのボットが分かれてきます。
置かれたままのボットが出てきたときに確かめる点は、社内チャットボットが定着しない理由に原因ごとに並べています。
ドライブから入れた資料は自動で同期され、会社のアカウントのデータは学習に使われません
運用を始める前に、資料を直したときの反映、入れた資料の扱い、上限を確かめておきます。
資料の更新から見ていきます。
ヘルプによると、Googleドライブから入れたソースは自動で更新され、数分ごとに同期されます。
元のファイルの変更はノートブックを開いたときに反映され、すぐに反映したいときは、ソースを開いて「クリックして Google ドライブと同期」を選びます。
同期には、元のファイルへの閲覧以上の権限が要ります。
権限が外れたり削除されたりしたファイルのソースは使えなくなるので、規程のファイルを消す前には、ボットの資料になっていないかを確かめます。
パソコンからアップロードしたPDFやWordのファイルは、ヘルプでは同期の対象として書かれていません。
改訂したときは新しい版を入れて古い版を外し、両方が残らないようにします。
改訂の多い資料は、ドライブのドキュメントとして入れておくと手間が減ります。

誰が、どのタイミングで資料を直すかの決め方は、古い情報で答えるAIを作らない。社内ナレッジの更新体制のつくり方にまとめています。
次に、入れた資料の扱いです。
2026年10月時点のヘルプでは、仕事用・学校用のアカウントのデータは、フィードバックを送らない限り、Gemini Notebookの学習には使われないとされています。
また、企業向けのセキュリティとプライバシーの下では、アップロードしたファイルやチャット、モデルの出力を人のレビュアーが見ることはないと書かれています。
ただし、フィードバックを送ると、質問やファイル、回答を含むやり取りの全体をGoogleが確かめる場合があります。
この点は、使う人にも伝えておきます。
個人のGoogleアカウントでの扱いはこの記事では確かめていないので、社内の資料は会社のアカウントにだけ入れる、と決めておくのが確かです。
最後に上限です。
ヘルプの表では、標準の枠で、ノートブックは1人100件、1つのノートブックのソースは50件、チャットは1日50回までとされています。
上位の枠ではソースが最大600件、チャットが1日5,000回まで増え、どの枠かは契約しているライセンスで変わります。
上限は変わることがあるとヘルプにも書かれているので、自社の画面で一度確かめておきます。
部門ごとのボットが増えてきたら、全社から検索できる場所に並べます
ボットが部門ごとに増えると、一覧の更新とアナリティクスの書き写しは、作った人それぞれの手作業になっていきます。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」では、Gemini NotebookをAIツールとして登録すると、名前・説明・タグで全社から検索でき、ツールごとに使われた回数と使っている人が見えます。
最初の1冊は、よく届く質問と、その答えが載った規程から作ります
Gemini Notebookの社内チャットボットは、作る操作そのものはすぐに終わります。
時間をかけたいのは、何に答えるかを決めること、資料を選ぶこと、実際の質問で答えを確かめることのほうです。
作るのは、どの資料を入れるべきかをいちばんよく知っている、その部門の人が向いています。
推進担当は手順を渡して、最初の1冊を一緒に作るところまで付き合えば、あとは部門の中で回していけると思います。
部門で1つ動いたら、そのやり方をほかの部門に渡していきます。
組織で広げる進め方はGemini Notebook(旧NotebookLM)の社内活用。部門の一次対応から全社に広げる進め方に、作ったボットを共有・改善・廃止まで回す流れは社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルにまとめています。
先月いちばん多く届いた質問は何だったでしょうか?
その答えが書いてある規程を1つ開くところから、最初のボットは作り始められます。
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
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