
Gemini Enterpriseとは。WorkspaceのGeminiとの違いと、追加で契約するかの決め方
2026/11/02
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
Gemini Enterpriseとは、Google Cloudが出している企業向けのAIエージェントの製品です。
Google Workspaceの契約には含まれず、別にライセンスを買って使います。
一方で、Workspaceのプランにも、GeminiアプリやGmailの中のGeminiが最初から付いています。
一言でいうと、Gemini Enterpriseを足す意味があるのは、Microsoft 365やSalesforceなどWorkspaceの外にある資料まで、AIに読ませたいときです。

Gemini Enterpriseとは、社員がAIエージェントを作って共有する製品
Gemini Enterpriseが何をする製品なのかは、Google Cloudの「よくある質問」のページにまとまっています。
ページでは、従業員がAIエージェントを「発見、作成、共有、実行」できるプラットフォームと説明されています。
AIエージェントは、目的を渡すと、いくつもの手順をまたいで仕事を進めるAIのことです。
調べものをレポートにまとめる「Deep Research」や、企業向けの「Gemini Notebook(旧NotebookLM)」が用意されています。
コードを書かずに、自分でエージェントを作ることもできます。
もうひとつの特徴が、つなげるデータの広さです。
製品ページでは100以上の連携に対応するとされ、Workspaceのほか、Microsoft 365、Slack、Jira、Salesforce、BigQueryなどが挙がっています。
データは元の場所に置いたまま、使う人がもともと持っている権限の範囲で答える仕組みです。
部署ごとに作ったエージェントを1か所に集めて共有する考え方は、社内AIボットを共通資産にする。作成・共有・改善のサイクルの流れとも重なります。
ただ、開発者がコードでエージェントを作る「Gemini Enterprise Agent Platform」は、社員が使う「Gemini Enterprise app」とは別の製品です。
appはシート単位の月額、Agent Platformは使った分だけ払う従量課金なので、見積もりではどちらの話かを先に確かめる必要があります。
製品ページでは、10月に発表された「Gemini agent」と重なる機能の一部が、早期アクセス版とされています。
Gemini agentでできることは、Googleが「Gemini agent」を発表。何ができるのか、自分のメールアドレスを持つ「coworker agent」まで整理しましたにまとめています。
Google WorkspaceのGeminiで使える範囲とプランの料金
次に、Workspace側のGeminiが、どのプランで何まで使えるのかを押さえます。
Google Cloudのよくある質問では、Geminiアプリは、Workspaceの商用のお客様には追加料金なしで提供されるとしています。
Gmailやドライブ、ChatなどWorkspaceのデータも使って答え、管理はWorkspaceの管理コンソールで行います。
Workspaceの料金ページ(日本・年間プランの表示)では、ユーザーあたりの月額は、Business Starterが800円、Standardが1,600円、Plusが2,500円です。
期間限定の割引があるときは、この金額より下がります。
Geminiアプリでのチャットとスキルは、Starterを含むすべてのプランで使えます。
ただ、Starterはアプリの中のGeminiが「制限あり」で、Gmailでは使えても、ドキュメントやMeetの中では使えません。
Standard以上なら、ドキュメント・スプレッドシート・スライド・ドライブ・Meet・ChatでもGeminiを使えます。

部署での使い分けは、Gemini for Google WorkspaceとGemini Notebookの活用法。組織で成果を出す使い分けで扱っています。
Gemini EnterpriseとWorkspaceのGeminiの違い
どちらも企業向けのセキュリティと管理の仕組みを持っていて、Googleも、どちらが合うかはニーズと要件によると書いています。
そのうえで、違いが出るところを並べます。
Gemini Enterpriseのヘルプでは、Workspace向けのGeminiは、Gmailやドキュメントの中で書く・要約するといった作業を手伝うアシスタントと説明されています。
Gemini Enterpriseは、多くのシステムのデータをもとに、いくつもの手順にまたがる仕事を進めるためのプラットフォームです。
よくある質問でも、向いているのは、Workspace以外のデータもまとめて使いたいチームや、自作や他社のエージェントを使いたいチームとされています。
管理する場所も違います。
WorkspaceのGeminiは、Workspaceの管理コンソールで管理します。
Gemini Enterpriseは、Businessならbusiness.gemini.googleの画面、StandardとPlusならGoogle Cloudのコンソールです。
ただ、Gemini EnterpriseにWorkspaceのデータを読ませるかどうかは、Workspaceの管理コンソールの側で決めます。

Gemini Enterpriseのエディションと料金
Gemini Enterpriseは、組織の大きさと求める管理の強さで、エディションが4つに分かれています。
金額が公開されているのは、そのうちBusinessだけです。
Businessは、個人や小さな会社、少人数のチーム向けです。
製品ページの表示は「$21~(シートあたり月額)」で、30日間の無料トライアルがあり、ITの設定なしに使い始められます。
利用者数は1〜500人で、Deep Researchや、コードを書かずにエージェントを作る「Workflow Builder」などが含まれます。
StandardとPlusは、より厳しいセキュリティとコンプライアンスの要件がある組織向けで、シート数の上限がありません。
他社のエージェントが使え、データを置く地域の指定、監査ログ、顧客管理の暗号鍵(CMEK)にも対応しています。
30日間の無料トライアルはありますが、確かめた公式ページに金額は載っておらず、購入は営業担当者への問い合わせになります。

Frontlineは現場で働く人向けで、StandardかPlusのユーザーが150人以上いる組織が、アドオンとして買います。
見落としやすいのが、Claudeなどのパートナーモデルの費用です。
有効にすると使った量に応じて課金され、シートに含まれる月のクレジットはGeminiのモデルにしか使えないとされています。
Workspaceで足りるか、Gemini Enterpriseを足すかの決め方
法人でGeminiの導入を進めると、「WorkspaceでもうGeminiを使っているのに、さらに契約が要るのか?」という声が上がります。
当社では、機能の一覧を比べるより、AIに読ませたい資料がどこに置かれているかから考えることをおすすめします。
社内の文書とメールがほとんどWorkspaceの中にあり、AIに任せたいのが下書きや要約、会議のメモなら、Workspaceに付いているGeminiで足ります。
Business Starterで足りないと感じたら、Gemini Enterpriseより先に、Standard以上へのプランの見直しを検討してください。
資料がMicrosoft 365やSalesforceにも分かれていて、「どこにあるか分からない資料をまとめて探したい」なら、Gemini Enterpriseを検討する場面です。
少人数のチームで使うならBusiness、データを置く地域や監査ログまで求められるならStandardかPlus、という分け方になります。
Businessからは後で上のエディションに移れないので、ここは最初に決めておく必要があります。

Workspaceの契約にBusinessを追加して、請求と設定をまとめる形もあります。
購入は、Googleの営業担当者かGoogle Cloudのパートナーへの問い合わせから始まります。
社内の規程に答えるボットを作りたいだけなら、Workspaceの中で始める道もあります。
作り方ごとの向き不向きと費用は、社内AIチャットボットの作り方。法人プラン・ノーコード・RAG・Gemini Notebookの選び方と費用で比べています。
導入前に管理コンソールで決める設定とデータの扱い
Gemini Enterpriseを入れるときは、情シスが先に決める設定と、データの扱いを確かめておきます。
お金とセキュリティが関わるので、最終的な判断は、社内の情報システム部門や法務にも確認してください。
設定の場所は、Workspaceの管理コンソールの「生成 AI」→「Gemini Enterprise」です。
管理者ヘルプによると、「サービスのステータス」で、組織部門やグループごとにオンとオフを分けられます。
Workspaceのデータを読ませるかは、「Gemini Enterprise に Google Workspace データへのアクセスを許可する」のチェックボックスで決めます。
オンにすると、エージェントがGmail、ドライブ、カレンダーなどのデータを読めるようになります。
Businessでは、チャットを共有できる範囲も、「オフ」(組織の中だけ)、「許可リスト登録済みドメインと共有する」、「オン」(組織の外にも)から選びます。
当社では「オフ」にして、社内の人だけで共有する前提で使い始めることをおすすめします。
組織の外にも共有できる設定は、中に入れた業務データが社外の人に見られるおそれがあるので勧めません。
どの設定も、反映までに最長で24時間ほどかかることがあります。
データの扱いは、Business・Standard・Plusのどれでも、プロンプトや出力をモデルの学習に使わないとされています。
Workspaceの側も、Workspaceのデータを許可なく学習に使わないとしています。
エディションは、後から選び直しにくい点にも気をつけます。
Businessのヘルプでは、データを移す手段が今はないため、BusinessからStandardやPlusには上げられないとされています。
また、すでに別のGemini Enterpriseのプランを使っている組織は、Businessを買えません。

契約を足す前に見ておく、Workspaceで作ったAIツールの使われ方
契約が2つに分かれると、Workspaceで作ったGemやスキルと、Gemini Enterpriseのエージェントが別々の場所に増えていきます。
「AIツールやプロンプトが、社内で共有されない」状態を広げないためにも、まずWorkspaceの中で作ったAIツールの使われ方を見ておく必要があります。
使われ方が分かれば、契約を足す理由があるのかを数字で話せます。
私たちの組織のAIポータル「AI Portalize」では、Workspaceで作ったGemやスキル、HTMLアプリを登録して、全社で探せるようにできます。
登録したツールが、どれだけ使われているかも見られます。
よく使われているツールがWorkspaceの資料だけで用を足しているなら、新しい契約より先に、そのツールを別の部署へ広げる手もあると考えます。
Gemini Enterpriseは、Workspaceの外の資料を読ませたいときに足す契約
Workspaceを契約していれば、Geminiアプリとアプリの中のGeminiは、プランに応じた範囲ですでに手元にあります。
Gemini Enterpriseは、Microsoft 365やSalesforceの資料もまとめて読ませたいときや、システムをまたぐ仕事をエージェントに任せたいときに、別のライセンスで足す製品です。
見積もりを取る前に、AIに読ませたい資料の置き場所を部署ごとに一覧にし、それを持って営業担当者と話すのが近道です。
参照した情報(2026年10月29日に確認)
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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