組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

分析レポートを自動生成する。数字を見る習慣を組織に埋め込む

分析レポートを自動生成する。数字を見る習慣を組織に埋め込む

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

数字のレポートでは、作る人と見る人が分断しているという問題が、よく起きています。
作る側は集計に時間をかけて詳細な資料を作りますが、見る側はそれを開きません。

「レポートを見てください」と言われて、見た気になって終わっていないでしょうか?
この分断の原因は、レポートが作る側の都合で設計されているところにあります。
今回は、分析レポートをAIで自動生成し、数字を見る習慣のほうを組織に埋め込んでいく話を書いていきます。
内製化の全体像は社内AIツールの内製化。現場が自分で作れる組織にするまでにまとめてあります。

レポート作成の6つの工程。データを集める、形をそろえる、集計する、変化した項目を抽出する、診断のコメントを出す、様式に流し込む。診断のコメント以外の5つは自動化でき、データを集める工程が全体の半分を占めるので、ここを自動化するだけで作業時間は半分になる

レポートを作る人と見る人が分断している

なぜ分断が起きるのでしょうか?
作る側と見る側とで、求めているものが違うところに理由があります。
作る側は「聞かれたときに答えられるように」と、項目をどんどん増やしていくので、網羅性を求めます。

一方で見る側が求めるのは判断材料で、知りたいのは「だから何をすべきか」であって、項目の網羅性ではありません。
もう一つの理由が、作るのに時間がかかるので頻度が月1回になり、忙しい月は飛んでしまう点です。
この最後の理由が解決すると、作るコストが下がって見る側に合わせた形を作る余裕が生まれるので、残り二つの議論もできるようになります。
だから、まず作る工程のほうを自動化し、そのうえで空いた時間を使って見る側に合わせた形を設計していきます。

データを集める工程が、レポート作成の半分を占める

構成は6つの工程で、何が自動化できて何が残るのかを、ここから見ていきます。
データを集める、形をそろえる、集計する、変化した項目を抽出する、診断のコメントを出す、様式に流し込む、というのがこの6つです。
このなかで、データを集める・形をそろえる・集計する・抽出する・流し込むという工程は自動化でき、診断のコメントを出す工程だけに人の判断が残ります。
なかでもデータを集める工程が全体の半分を占めているので、ここを自動化するだけで作業時間はそのまま半分になります。

やることは、複数のデータの置き場所から定期的に数字を取ってきて1箇所に集める作業で、設計のポイントは4つあります。
まず、取ってくる項目を先に決めます。
全部を取ってくると量が多くなるので、必要な項目だけに絞ります。

次に、期間の単位をそろえます。
日次と月次が混ざると、集計できなくなります。

また、取得の失敗に気づけるようにします。
実行の履歴を記録に残しておかないと、静かに止まってその期間のデータが丸ごと欠けてしまいます。

さらに、認証の期限を管理します。
ここも、期限切れで静かに止まる原因になります。
過去のデータも取っておき、比較のために過去12か月分は保持します。

データを集める工程で決めておく4つと、決めないと起きることを左右に並べた図。取る項目を決めないと量が多くなり、期間の単位がそろわないと集計できず、取得の失敗に気づけないとその期間のデータが丸ごと欠け、認証の期限を管理しないと期限切れで静かに止まる

ただ、元のデータは加工せずに保持しておきます。
集計した結果だけを残すと、あとから別の切り口で見られなくなるからです。

表を土台として扱う設計はスプレッドシートを社内DBとして扱う。AI自動化の土台設計にまとめてあります。

見る指標は5つに絞り、診断コメントは仮説として扱う

指標は、何を選べばいいのでしょうか?
月次で見る指標は5つまでにして、選ぶ基準は「動いたら手を打てるかどうか」にします。

動いても打つ手がない指標は、そもそも見る意味がありません。
指標ごとに「こうなったらこうする」も先に決めておき、「この数字が2割下がったら、〇〇を見直す」という形にします。
この1行があるだけで、レポートを見る意味が生まれます。

レポートで見る指標の設計。月次で見る指標は5つまでにして、動いたら手を打てるかで選び、指標ごとにこの数字が2割下がったら見直すという「こうなったらこうする」を先に決める。詳細は別紙にし、経営と実務担当で形を分ける

ただ、詳細のほうは別紙に回します。
内訳や明細は、聞かれたときに出せる状態にしておけば十分です。

読み手ごとに、形も分けます。
経営には5つの指標と打ち手を、実務担当には詳細を渡すようにしないと、同じレポートを全員に配って結局どちらにも合わなくなります。

診断のコメントにも、線を引いておきます。
任せられるのは、変化した項目の指摘、変化の要因の仮説、他と傾向が違う項目の指摘で、逆に任せられないのは打ち手の判断、見通し、要因の確定です。
返ってきた要因は、仮説として扱います。
要因の説明は相関の記述にすぎず、確定した原因として報告すると誤った打ち手につながります。

だからレポートには「仮説」と明示し、検証の方法を1行だけ添えておきます。
なかでも価値が大きいのは、他と傾向が違う項目の指摘です。
「この部門だけ傾向が違う」という指摘は、人がいちばん気づきにくいところを拾ってくれます。

打ち手は、人が書きます。
ここを任せると、質問されたときに答えられなくなるからです。

診断のコメントでAIに任せられるものと人が持つものを分けた図。任せられるのは変化した項目の指摘、変化の要因の仮説、他と傾向が違う項目の指摘。人が持つのは打ち手の判断、見通し、要因の確定。要因は仮説と明示して検証の方法を1行添える

数字を扱う役割分担そのものはAIに計算させない。数字を扱う業務での役割分担を組織ルールにするにまとめてあります。

レポートは会議の起点にし、四半期ごとに見直す

配ったレポートは、本当に読まれているでしょうか?
運用の設計も要りますし、ここが実は最も重要な部分です。
レポートは配られても、読まれなければ意味がありません。
対応するのは3つです。

会議の前に配ります。
会議のなかで読む時間を取らないよう、前日までに配っておきます。

会議では「打ち手」だけを議論します。
数字の確認に時間を使わず、レポートは読んでいる前提で始めます。

決まった打ち手は、次回のレポートで追跡します。
「前回決めた打ち手の結果」を項目として入れておきます。
なかでも追跡が、最も効きます。
打ち手を追跡すると決めた内容が実際に実行されるので、実行されなければそれが次回のレポートで見えてしまいます。

レポートを会議の起点にする繰り返し。会議の前日までに配り、会議では打ち手だけを議論し、決まった打ち手は次回のレポートで追跡する。追跡が最も効く

読んでいない人がいる場合の対処も決めておきます。
会議の冒頭で「読んでいない人は5分で読んでください」と言います。
読み上げないのが要点で、読み上げると読まない習慣のほうが固定してしまいます。

作った後の設計も書いておくと、四半期に一度、レポートそのものを見直します。
見るのは、5つの指標が機能しているか、打ち手が実行されているか、読まれているかの3つです。
機能していない指標は入れ替えますが、5つという数は維持したままにします。

項目が増え続けないようにもしておきます。
「これも見たい」という要望は必ず出ますが、追加するときには1つ外します。

週次レポートの自動生成は週次レポートを自動生成する。マネジメントの定型業務を外す、数字を見える状態にする話は数字を見える状態にする。データ集計と分析をAIで日常業務化するにまとめてあります。

この作業に使える業務ツール「GA4 週次レポート」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。

自動化の前に、そのレポートが見られているかを確認する

そのレポート、本当に見られているでしょうか?
上流の確認についても、ここで書いておきます。
確認するのは、誰が見ているか名前で言えるかどうか、見て何をしているか、出さなかったらどうなるかの3つです。

もちろん、複数のレポートが重複していないかも見ておきます。
同じ数字が複数のレポートに重ねて載っており、そこは統合できます。

見る人が、判断する立場にあるかも確かめます。
判断できない人に配ったところで、数字を眺めるだけで終わるからです。

この確認は、自動化の前に済ませます。
不要なレポートを自動化しても、不要なものが自動で出続けるだけです。

レポートを自動化する前に確かめる5つの項目。誰が見ているか名前で言えるか、見て何をしているか、出さなかったらどうなるか、複数のレポートで重複していないか、見る人が判断する立場にあるか

失敗の型は8つあります。
集計をAIに任せる、取ってきたデータを加工して保存する、取得の失敗に気づけない、指標を10個載せる、要因の説明を確定した原因として報告する、会議でレポートを読み上げる、打ち手を追跡しない、そして不要なレポートを自動化する、という8つです。
どれも、数式で計算する、元のデータを残す、実行の記録を残す、5つに絞る、仮説と明示する、読み上げない、次回のレポートで追跡する、先に必要性を確認する、で避けられます。

事業の数値と同じように、AI活用そのものの数値も見えるようにする

ここまで書いてきたのは事業の数字の話ですが、AI活用そのものの数字にも、まったく同じ構造があります。
推進担当が報告に困るのは、集計が手作業だからです。
誰がどのツールをどれだけ使っているか、部門別の利用率、削減時間の積算を毎月手で集めていると、忙しい月から報告のほうが止まります。

報告が止まると、経営の判断材料が消えます。
予算の検討の時期に数字がないと、次の投資が決まりません。

そのため、見る指標の設計もまったく同じになります。
「動いたら手を打てるか」で選び、部門別の利用率が下がればその部門に手を打ち、作成者の人数が伸びていなければ内製化の支援を強める、という具合です。

打ち手も追跡します。
前回決めた打ち手が実行されたのか、効果が出たのか。

指標の設計そのものはAI推進担当者の情報収集と経営判断。リサーチとROIの設計にまとめてあります。

AI活用の数字については、当社の組織のAIポータル「AI Portalize」で、部署・職種・グレードごとの利用率と前期比が集計の手間なしで出て、止まっている部署も分かります。
事業の数字は見えるようになったが、AI活用の数字だけが手作業のまま、という場合は、考え方の参考になるかもしれません。

作る工数を半分にできれば、見る側に合わせる余裕が生まれる

レポートで作る人と見る人が分断するのは、作る側が網羅性を求め、見る側が判断材料を求めるからです。
そのうえ作るのに時間がかかるので、頻度も上がりません。
構成は6工程で、データを集める工程が全体の半分を占めるので、ここを自動化するだけで時間は半分になります。

見る指標は5つまでにして、「動いたら手を打てるか」で選び、指標ごとに「こうなったらこうする」を先に決めておきます。
読み手ごとに、形も分けます。

診断のコメントは、変化の指摘・要因の仮説・他と傾向が違う項目の指摘までを任せ、打ち手と見通しは人が書きます。
なかでも傾向の違いの指摘が、最も価値があります。

レポートは会議の起点にし、前日までに配り、会議では打ち手だけを議論し、決まった打ち手は次回のレポートで追跡します。
この追跡が、最も効きます。
自動化する前に、そのレポートが見られているかを確認しておきます。

まずは自分が作っているレポートについて、データを集める工程に何分かかっているか、一度測ってみませんか。

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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