組織のAI活用をAIポータルと伴走支援で加速

PDFのOCRとテキスト抽出。Googleドライブで画像のPDFを文字にする方法と文書の棚卸し

PDFのOCRとテキスト抽出。Googleドライブで画像のPDFを文字にする方法と文書の棚卸し

執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。

PDFのOCR(画像の中の文字を、文字のデータに読み替える処理)をするなら、PDFをGoogleドライブに入れて右クリックし、「アプリで開く」から「Googleドキュメント」を選びます。
画像のPDFの中の文字が読み取られて、コピーも検索もAIへの貼り付けもできる文書になります。

AIにPDFを渡しても内容に答えないときは、ほとんどの場合、そのPDFが画像のPDFで、AIで読めない状態になっています。
PDFという拡張子は同じでも、中身は2種類に分かれ、OCRが要るのは画像のPDFだけです。

PDFにはテキストのPDFと画像のPDFの2種類があり、文字の持ち方、主なもの、AIに渡したときの結果、10秒でできる見分け方を比べた表

見分け方と、画像PDFのテキスト化を含む社内文書の棚卸し、これから増える分の止め方は、手順のあとに書いています。
参照先そのものの設計から入りたい場合は、社内ナレッジをAIで活用する方法。ツール導入・RAG・手持ちのAIの選び方にまとめてあります。

GoogleドライブでPDFをOCRして文字にする手順

OCRのためのソフトを探す前に、Googleドライブの変換機能を試せます。
パソコンでの手順は、Googleドライブのヘルプにある次の流れです。

1. 画像のPDFをGoogleドライブにアップロードする
2. ドライブでそのPDFを右クリックする
3. 「アプリで開く」から「Googleドキュメント」を選ぶ
4. PDFの内容が文字として入った、Googleドキュメントが開く
5. 数字・固有名詞・日付を元のPDFと見比べて、必要な所を直す

対象になるのは、複数ページのPDFと、JPEG・PNG・GIFの写真です。
言語は自動で検出されるので、日本語か英語かを自分で選ぶ必要はありません。

開いた文書は、そのままコピーしてAIのチャットに貼れますし、Googleドキュメントとして保存しておけば社内で検索もできます。
PDFから文字だけを取り出すテキスト抽出が、これでできたことになります。

ただし、読み取りの精度には条件があります。
ヘルプでは、ファイルは2MB以下、文字の高さは10ピクセル以上、向きは正しく、一般的なフォントで、明るく鮮明な画像が望ましいと説明されています。
元の書式は完全には再現されず、太字や斜体、改行は通常保たれる一方で、リスト・表・列・脚注は検出されない場合があります。

表の多いPDFは、変換後の文書で表の形が崩れていないかを必ず見ます。
スキャンが斜めだったり暗かったりするときは、撮り直してから変換し直すと読み取れることがあります。

OCRが要るPDFかどうかは、文字を選択できるかで決まる

そもそも、すべてのPDFにOCRが要るわけではありません。
最初に見るのは、そのPDFを開いたときに本文の文字を選択できるかどうかです。
「この規程、AIに読ませたのに答えない?」という声の多くは、この確認で原因が分かります。

中身の違いを、もう少し詳しく見ておきます。
一つが「テキストのPDF」で、文字がそのまま文字のデータとして保持されているものです。
WordやPowerPointで保存したもの、Webページを保存したものがこれにあたります。

もう一つが「画像のPDF」です。
紙をスキャナで取り込んだもの、複合機でFAXを受信して保存したもの、写真から作ったものがあります。
見た目は文字ですが、データとしては写真と同じなので、文字の情報が入っていません。

後者をAIに渡すと読み取れる文字がなく、内容に答えられません。
ファイルは受け付けられるのに答えないという症状は、ここから来ます。
社内に眠っている古い規程や契約書、押印のある書類は、画像のPDFである確率が高いと考えています。

判定そのものは簡単で、10秒で済みます。
PDFを開いて本文の文字を選択して反転できるなら「テキストのPDF」で、OCRは要りません。
クリックしても選択できず、画像として全体が1枚で扱われるなら「画像のPDF」で、先ほどの手順でOCRをかけます。

もう一つの方法が、文書内を検索してみることです。
本文に確実に出てくる単語を検索してヒットしなければ、画像のPDFになります。

テキストのPDFから文字を取り出すだけなら、文字を選択してコピーすれば足ります。
コピーした文章に、行の途中の改行が入ってしまうときは、業務ツール「PDFコピペ整形ツール」の詳しいページに、できることと使い方があります。

この10秒の確認は、現場に配る手順書に入れておくと役に立ちます。
「AIが答えないときは、まずPDFの文字を選択できるか見る」。
これだけで、問い合わせの一部が現場で解決します。

AcrobatでOCRする方法と、外部のOCRサイトに上げるときの注意

Adobe Acrobatを使える環境なら、スキャンしたPDFを開き、右側の「PDFを編集」を押すと、OCRが自動で実行されます。
Adobeの説明では、そのあとに「編集するテキスト」を選べば、文字を入力して直せると案内されています。
AcrobatのOCRは有料のプランで使う機能なので、会社として契約しているかを先に確かめます。

一方で、無料をうたうOCRのWebサイトに、PDFをそのままアップロードする使い方には注意が必要です。
アップロードしたPDFは、そのサイトのサービスに送られることになります。

顧客名の入った書類や、未公表の数字を含む資料は、外部のサービスに送った時点で社内の決まりに反することがあります。
急いでいるときほど、検索で最初に出たサイトに上げてしまいがちです。
社外秘のPDFは、会社で使っているGoogleのアカウントの中のドライブで変換するのが無難です。

名刺や請求書、レシートのように、決まった項目を表にしたい書類は、OCRしてAIに項目を取り出させる流れが向いています。
手順は帳票のOCRをAIで行う方法。名刺・請求書・レシートの写真を一覧表にする手順と、GeminiのCanvas機能で作る読み取りアプリで書いています。
作らずにすぐ使うなら、名刺・帳票→CSVのページが参考になります。

OCRの前に、文書資産を棚卸しして優先順位を付ける

自社の重要な文書が、いま何件読める状態にあるかを、数字で答えられる会社は多くありません。
把握できていないなら、OCRを始める前に棚卸しをします。
個別に対処するのではなく、社内の文書資産としてどうなっているかを一度把握します。
作業は3つです。

まず、AIに読ませたい文書を一覧にします。
全部ではなく、問い合わせが多い文書、参照される頻度が高い文書に絞ります。
就業規則、経費の規程、製品の仕様書、業務手順書、過去の提案書といったところで、この段階で20〜50件程度に収まります。

次に、それぞれが2種類のどちらかを確認します。
先ほどの10秒の判定を、一覧の全件に対して行うだけです。

また、原本がどこにあるかを確認します。
画像のPDFだった場合、元のWordやExcelのファイルが残っていることがあります。
残っていれば、そこから文字を取り出すのがいちばん早く、OCR処理より確実で、手間も少なくて済みます。
ドライブ全体の棚卸しまで広げる場合は使われていない資料が精度を下げる。ドライブ棚卸しを自動化するで扱っています。

この棚卸しをやると、たいてい想定と違う結果が出ます。
「電子化されている」と思っていた文書が実は画像だった、逆に原本が見つかってすぐ使える状態になった、といった具合です。

原本が見つからず画像のPDFしかない文書は、OCRで文字として読める形に変換します。
ただ、全部をやろうとすると終わらないので、優先順位を付けます。
基準は3つです。

まず、参照される頻度です。
問い合わせが多い文書が最優先で、就業規則や経費の規程はここに入ります。

次が更新の頻度で、頻繁に改訂される文書は変換してもすぐ古くなるので、次の改訂時にテキストで作り直すという判断のほうが合理的です。
更新が止まった文書をどう扱うかは古い情報で答えるAIを作らない。社内ナレッジの更新体制のつくり方にまとめてあります。

もう一つが分量で、数百ページの文書は変換の手間が大きいので後回しにします。
とはいえ、参照頻度が高いなら章を絞って先にやる判断もあります。

画像のPDFだった場合の扱い。元のWordやExcelが残っていればそこから書き出す。原本がない場合は、参照頻度が高いものを優先してOCR化し、頻繁に改訂されるものは次の改訂で作り直し、数百ページのものは後回しにする

あわせて、変換後の精度確認を工程に入れます。
OCRの結果は完全ではなく、特に表、縦書き、手書き、印影の重なった部分は誤読しやすくなります。
数字の誤読がいちばん危険なので、金額や日付が入っている文書は必ず人が確認します。

これから増える画像のPDFは、3つのルールで止める

過去の分を片付けても、これから増える分を止めなければ、同じ状態に戻ってしまいます。
「また画像のPDFが増えている」と感じたら、過去の分を変換するのと同時に、増える分を止める手を打ちます。
決めることは3つで足ります。

一つが、紙をスキャンして保存するときに、文字認識をかけた形式で保存する対応です。
複合機やスキャナの設定を変えるだけで済む場合が多いので、情報システムの担当者に設定を確認してもらいます。

次が、社内文書は元のファイル形式も一緒に残す対応です。
PDFだけを残す運用にすると、後から編集も抽出もできなくなります。

もう一つが、「外部向け」と「社内向け」を分ける対応です。
押印や署名が必要な文書はPDFで確定させる必要がありますが、社内で参照する版は編集可能な形式で並行して残しておきます。
ファイルサーバ側の整理とあわせて進めるならファイルサーバをAIの参照先にする。ドライブ整理はAI活用の前提工事が参考になります。

この3つを文書管理のルールに1行ずつ足すだけで、5年後の状態が大きく変わります。
AIの利用ルールのほうをどう組み立てるかは生成AIの社内ルールの作り方。ガイドラインの項目サンプルと守れる環境で扱っているので、文書管理のルールと見比べながら進められます。

過去の分を変換するのと同時に、これから増える画像のPDFを止める3つのルール。スキャンは文字認識をかけて保存する、元のファイル形式も残す、外部向けと社内向けを分ける

棚卸しの流れを、従業員300名の会社を想定した説明用の例で書いておきます。
実在の会社の数字ではありません。
目的は、社内規程をAIに読ませて問い合わせを減らすことです。

対象の規程28件のうち、文字として読めたのは9件で、残りは複合機でスキャンした画像のPDFだったとします。
数年前に文書を電子化した際、スキャンして保存する運用になっていたためです。

やることは、まず原本の探索です。
ここで11件のWordファイルが見つかれば、そこから文字を取り出すだけで対応できます。
残った8件のうち、参照頻度の高い5件をOCR処理して、数字の部分だけ人が確認します。
残り3件は次回の改訂時に作り直す方針にして、このときは対象外にします。

この例では、対象28件のうち25件が読める状態になり、規程に関する問い合わせへの一次回答が回るようになります。
あわせて複合機の保存設定を変更すれば、新しく増える文書は読める形式になります。
規程を根拠に一貫した回答を返す仕組みは回答の一貫性を担保する。社内文書を根拠にした返答の仕組みで扱っています。

従業員300名の会社を想定した説明用の例で、対象の規程28件のうち、もともと読めたのが9件、原本のWordから書き出したのが11件、OCR処理して数字を人が確認したのが5件、次回の改訂で作り直すのが3件で、25件が読める状態になったことを示した図

この例で示唆的なのは、作業の大半が「原本探し」になる点です。
技術的な変換作業より、文書がどこにあるかを追う作業のほうに時間がかかります。

よくある失敗

まず、「これはAIの限界だ」と判断してしまう失敗です。
別のサービスを試して同じ結果になり、AI活用そのものを諦める判断につながります。

次が、全文書をOCRしようとする失敗で、終わらないので途中で止まります。
参照頻度で絞ります。

もう一つが、原本を探さないまま変換から始める失敗です。
元のファイルが残っていればそちらのほうが確実で早いので、棚卸しの3番目を飛ばさないようにします。

最後の2つが、変換後の精度を確認しない失敗と、今後のルールを決めない失敗です。
数字の誤読が入った文書が「正しい規程」として参照されると、変換前より危険になります。
ルールを決めなければ、過去分を片付けても同じ状態の文書が増え続けます。

文書資産の整備は、推進の前提工事

ここまで書いてきたのは、AI活用の施策というより文書管理の整備です。
これは前提工事にあたります。

社内ナレッジをAIに活かす、規程の問い合わせを自動化する、過去の提案書を再利用する。
こうした取り組みはどれも、読める形の文書があることを前提にしています。
ここが整っていない状態で施策を進めると、「試したが効果が出なかった」という結果になり、次の投資が止まります。

そして厄介なのは、この工事がAI活用の成果としては見えにくいことです。
数か月かけて文書を整えても、報告できるのは「準備が終わりました」という事実だけです。
どうしても優先順位が下がりがちです。

私たちが提供しているAI伴走支援では、業務の棚卸しと並行してこうした前提工事の範囲と順序を一緒に決めています。
何から手を付けるべきかで止まっている場合は、進め方の参考になります。

画像のPDFは、OCRで文字にしてからAIに渡す

AIがPDFの内容に答えないときは、そのPDFが画像として保存されています。
判定は「文字を選択できるか」を見るだけなので、10秒で済みます。

画像のPDFだったら、GoogleドライブでGoogleドキュメントとして開いてOCRをかけ、数字は人が確認してからAIに渡します。
その前に原本のWordやExcelが残っていないかを探すと、変換そのものが不要になることもあります。

あわせて複合機の保存設定を変えて、これから増える分を止めておきます。
問い合わせが多い規程5件について、文字を選択できるかどうかをまず確かめてみてください。

参照した情報(2026年11月1日に確認)

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執筆:寺田昇平

AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事

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