
Claudeにブラウザ操作を任せる。定型作業の自動化と線引き
2026/09/07
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
社内には、人が画面をクリックし続けている業務がまだ多く残っています。
システムから1件ずつデータを取る、複数の画面を開いて情報を突き合わせる、同じ入力を何十回も繰り返す。
「自動化できないから人がやっている」という状態のまま、固定されている業務です。
Claudeにブラウザ操作を任せる話は、ここに効いてきます。
ここでは、どこまで任せられるかを整理していきます。
自動化の全体像はAIによる業務自動化の全体像。手段の選び方とコスト設計にまとめてあります。

画面をクリックし続ける業務ほど、任せられる条件がそろっている
この種の業務は、「画面でしか操作できない」「繰り返しが多い」「判断が入らない」の3条件で共通しています。
自動化されずに残っている理由は、たいてい「画面でしか操作できない」の1点にあります。
データを取り出す機能がないか、連携の仕組みがないかのどちらかで、古いシステムほど当てはまりやすくなります。
一方で、繰り返しが多く判断が入らない条件さえそろっていれば、任せられる可能性があります。
「1件あたり2〜3分の操作を50件やる」という、2〜3時間かかっている業務が典型です。
任せられるのは、画面を見て判断し、操作する一連の流れです。
表示されている情報を読み取る、クリックや入力や選択で操作する、決まった手順を繰り返す。
この3つが任せられる中身になります。
従来の自動化との違いは、ここではっきり出ます。
従来の自動化は画面の要素の位置を指定するので、画面が変わると動かなくなります。
一方でClaudeは表示されている内容を見て判断するので、画面が少し変わっても対応できる可能性があります。
ただし確実性のほうは、位置を指定するやり方の従来の自動化が高くなります。
任せてよいのは「読み取るだけ」、危ないのは「書き込みと送信」
任せてよい作業には、4つの条件があります。
「読み取るだけ」「失敗の影響が小さい」「結果を人が確認する」「認証情報を扱わない」、この4つです。
実際には「読み取るだけ」から始めることになります。
システムから一覧を取得する、複数の画面から情報を集める、公開されている情報を集める、といった作業です。
読み取るだけの場合でも、結果は必ず確認します。
読み取りの誤りは普通に起きるので、確認を飛ばすと気づかないまま誤ったデータが流れるからです。
あわせて、途中で止まった場合にどうなるか、手作業で回せるかも先に確認しておきます。
任せてはいけない作業は、5つに整理できます。
「書き込み」はデータの登録・更新・削除で、誤った操作は元に戻せません。
「送信」はメールの送信・申請の提出・公開で、誤った相手に送ってしまうと取り返しがつかないぶん、最も事故が起きやすい領域になります。
「金額が動く」操作、つまり支払・発注・契約も同じ扱いにします。
「権限を変える」操作、つまり設定の変更・共有の範囲の変更も同じです。
また、「認証を伴う」操作、つまりログインや認証情報の入力は最も注意を要します。

書き込み・送信・金額・権限の4つは、確認の工程を人が持つ形にします。
準備までを任せて、実行するところは人が担います。
なお書き込みには例外があって、作業用の場所への書き込みなら構いません。
本番のデータに書き込まないというところが線になります。
認証情報を渡さず、進め方は4段階で区切る
ここが最も重要な設計なので、節を分けて書きます。
原則は、認証情報を渡さないという一点です。
理由は3つあります。
入力した内容が履歴に残るかもしれないこと、そのアカウントの権限をすべて使えてしまうこと、誰の操作か分からず追跡できないことです。
対処は2つあります。
ひとつは、認証が不要な範囲だけを任せることです。
すでにログインしている状態から始めて、ログインそのものは人がやります。
もうひとつは、限定された権限のアカウントを用意することです。
読み取りだけの権限にして、そのアカウントの操作として記録される形にします。
後者のほうが確実ですが、アカウントを用意する手間がかかるので、前者のほうが現実的です。
人がログインしてから、その後を任せる形になると思います。

どちらの場合でも、操作の記録は必ず残します。
権限の設計そのものは内製環境の権限設定をどう整えるか。安全と速度を両立させるで扱っています。
進め方はどうすればいいのでしょうか。
4段階に分けて進めます。
「段階1」は、読み取るだけの作業を1つ試すことです。
結果を人が確認しながら2〜4週間かけて、精度と止まったときの挙動を確認します。
「段階2」は、手順を記録して繰り返すことです。
同じ作業を複数回やって精度を確認する段階で、画面の変化、読み取りの誤り、途中での停止といった問題が最も多く出ます。
段階2のうちに、止まったときの対処を決めておきます。
「段階3」で他の読み取りの作業にも範囲を広げ、「段階4」で書き込む操作の準備までを任せます。
実行そのものは人がやります。
進め方は、この段階4で止めます。
実行まで任せるところには進みません。

止まる前提で設計すれば、従来の自動化との使い分けも決まる
前提として、これは必ずどこかで止まります。
画面が変わった、読み込みが遅い、想定外の表示が出た、といった理由です。
だから、止まったときのために決めておくことが4つあります。
ひとつは、止まったことを検知することです。
「完了の記録が残らない」ことで分かる形にしておかないと、必要になったときに初めて止まっていたと気づきます。
2つ目は、途中までの結果を保持することです。
ここが最も重要になります。
「50件のうち30件まで終わっていたら、残り20件だけをやる」という形にして、全部やり直しにならないようにします。
あわせて、手作業での代替手順も要ります。
止まったときに人が回す手順を用意しておき、完全には依存しない設計にします。
最後に、再開の方法として、どこから再開するかをあらかじめ決めておきます。
画面が変わると動かなくなる前提で設計しておくことも大切です。
システムの更新が入れば、そのたびに止まるからです。

従来の自動化と、どちらを選べばいいのでしょうか。
判断の基準も決めておきます。
画面を読み取る形が向くのは、画面の構造が複雑な場合、画面が変わる可能性がある場合、作る手間を抑えたい場合です。
従来の自動化が向くのは、動作の確実性が必要な場合、繰り返しの回数が多い場合、長期的に使う場合です。
確実性が必要なら従来の自動化で、位置を指定するほうが安定します。
試すだけなら、画面を読み取る形のほうが作る手間は小さくなります。

試して効果があったら、そこから従来の自動化で作り直すという判断もあると思います。
手段の選び方は業務自動化はどのツールで作る?Gem・GAS・Canvasの判断基準で扱っています。
そもそもデータを取り出す機能があるなら、画面の操作はあくまで最後の手段なので、そちらを優先して使います。
まずデータを取り出す機能がないかを確認するのが、最初の一歩になります。
APIの理解はAPIを「窓口」として理解する。ツール連携の判断ができる組織になるにまとめてあります。
失敗の型は、確認を飛ばすところから始まる
データを取り出す機能を確認しないまま画面の操作から始めるのが、いちばん多い失敗の型です。
その機能があるなら、そちらを使ったほうが確実で速いからです。
次に多いのが、認証情報を渡すことです。
記録に残り、権限が広く、誰の操作か追跡できなくなります。
書き込む操作を任せるのも失敗で、誤った操作が元に戻せないので、準備までにとどめます。
送信する操作を任せるのも同じで、取り返しがつかないぶん最も事故が起きやすくなります。
止まったことを検知する仕組みを作らないと、必要になったときに初めて気づくことになります。
途中までの結果を保持しないと、全部やり直しになります。
手作業での代替手順を用意しないと完全に依存してしまい、止まったときに業務そのものが止まります。
段階4から先に進むなら、責任の所在まで設計し直す
進め方は、段階4で止めておくのが安全です。
ただ、実際にはその先に進みたい場面も出てきます。
準備まででは削減できる時間が限られるので、書き込みや送信まで任せたいという要望が出てくるからです。
その先に進むとなると、設計そのものが変わります。
必要になるのは、誤った操作を検知する仕組み、元に戻す手段、実行の記録と承認の経路、責任の所在の明確化の4つです。
このなかでいちばん重要なのが、責任の所在です。
「自動で実行された操作の責任は誰が負うのか」という話になります。
これは情シスと経営の判断で、推進担当だけでは決められませんし、業務によっても判断は変わります。
影響の大きさ、規制の対象かどうか、相手に影響が及ぶかどうかで、線が動くからです。
私たちが提供しているデジタル系企業向けのAI導入支援では、こうした自動化の範囲の設計と、権限や責任の整理を情シスと一緒に進めています。
段階4より先に進むかの判断で止まっている場合は、進め方の参考になるかもしれません。
任せる前に、データを取り出す機能から確認する
人が画面をクリックし続けている業務には、「画面でしか操作できない」「繰り返しが多い」「判断が入らない」という3つの条件がそろっています。
繰り返しが多く判断が入らないなら、任せられる可能性があります。
読み取って判断して操作する流れを任せられ、画面が少し変わっても対応できますが、確実性は従来の自動化のほうが高くなります。
任せてよいのは、読み取るだけ・失敗の影響が小さい・結果を人が確認する・認証情報を扱わない、の4つです。
危ないのは、書き込む・送信する・金額が動く・権限を変える・認証を伴う、の5つです。
認証情報は渡しません。
認証が不要な範囲だけを任せるか、限定された権限のアカウントを用意するか、どちらかで対処します。
進め方は4段階で、準備までを任せる段階4で止めます。
止まったときは、検知する・途中までの結果を保持する・手作業で代替する・再開の方法を決める、の4つで備えます。
自部門で人が画面をクリックし続けている業務を1つ挙げ、データを取り出す機能の有無を確認した組織から、自動化の対象は絞られていきます。
すぐ使える業務アプリが300以上
開いてそのまま使えて、AIで自社用にも直せます。15の分野から、やりたい作業で探せます。業務アプリを見る
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
お知らせ・組織AI推進ノウハウ一覧










