
議事録作成を仕組みに寄せる。1万字の文字起こしを要約で回す
2026/08/06
執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
仕組みとコンサルティング伴走支援の両面で、組織のAI活用の加速を支援。
議事録の作成は、誰がやっても重い業務です。
1時間の会議の文字起こしは1万字を超え、そこから必要な部分を抜き出して読める形に整えるだけでも、慣れた人で40〜60分かかります。
負担が大きいので後回しになり、記憶が薄れてから書く分、精度のほうも落ちていきます。
今回は、議事録の要約をAIに寄せて仕組みにする話を書いていきます。
会議と議事録の全体像は会議と議事録のAI化。準備から共有・タスク化までの設計にまとめてあります。

議事録が重くなるのは、構造がそうなっているから
負担の中身を、分解して見ていきます。
まず、分量が多い点で、1万字を読むだけでも15分かかります。
次に、何を残すかの判断が要る点で、発言の全部を残すわけではない分だけ、この判断がいちばん時間を使います。
さらに、話し言葉を書き言葉にし順序を整える、読める形へ整える作業も挟まります。
もうひとつが、会議の直後は次の予定が始まっているので記憶が薄れてから書くはめになる、後回しの問題です。
分量と整形はそのまま任せられ、判断は型を決めれば、後回しは仕組みにすれば、それぞれ解決します。
要約は型と分量を先に決めると回る
議事録に何を残すべきでしょうか?
型を決めずに「要約して」と頼むと話された内容そのものの要約が返ってきますが、それは議事録としては使えません。
会議の目的は、情報の共有ではなく決める点にあるからです。
型に入れるのは4項目です。
「決定事項」(何が決まったか)、「宿題」(誰が・何を・いつまでに、の3点セットで書く)、「結論が出なかったこと」(議論したが決まらなかった議題で、次回の議題になる)、次回の日程と議題になります。
「発言の記録」のほうは、誰が何を言ったかが多くの会議では要らないので入れません。
例外は3つあります。
取締役会など記録が要件になっている会議、後から経緯を追う必要がある会議、対外的な交渉の記録です。
この3つは、詳細版を別に作ります。
型と一緒に、分量も決めておき、目安は1200字程度、1時間の会議ならこの分量に収まります。
「1200字を超えたら、決定事項が多すぎるか議論が発散している」と判断できるので、分量そのものが指標になります。
長い議事録は読まれず、5000字の議事録を作っても参加していなかった人は読まないからです。
読まれない議事録は、そもそも作る意味がありません。
短くする以上は何を残すかを選ぶ判断が要りますが、この判断が型で決まっていれば機械的に処理できます。

簡易な手段で足りるか、フロー化が要るかは条件で決まる
最初からフローを組む必要は、本当にあるでしょうか。
もちろん、簡易な手段で足りるのは3つの条件が揃うときです。
会議の件数が少ない(月に10件程度なら手動で回せる)、参加者が同じ(型が固定できる)、文字起こしが既にある(録画の機能で自動的に作られる環境なら、そこから始められる)の3つです。
手順は、文字起こしを表に貼る、要約の依頼を1本書く、出た結果を確認して共有する、というだけです。
表の中で処理する形がいちばん手軽で、1行に文字起こしを貼ると隣の列に要約が出る形になります。
フローを組むより先に、これで足りるかを確かめるのが順序として正しいと思います。
3〜4回試して型を固め、型が確定してから自動化に進みます。
仕組みにする必要があるのは、次の4つです。
件数が多いとき(月に30件以上なら手動では回らない)、会議の種類が複数あるとき(種類によって型が違えば振り分けが要る)、記録の保管と通知が要るとき(所定の場所に保存して関係者に通知する、ここが手作業だと抜ける)、担当者が変わるとき(手動の運用は担当に依存するが、仕組みにすれば担当が変わっても回る)です。

もっとも自動化の価値が大きいのは、保管と通知のところだと思います。
作った議事録が共有されず保管もされないと、作った意味が半減するからです。
フローの構成は、録画または文字起こしが作られたら要約し、所定の場所に保存して関係者に通知する、という並びになります。
会議データを一箇所に集める話は会議の録画と文字起こしを一箇所に集める。会議データの基盤づくりにまとめてあります。
長い文字起こしを扱うコツもあります。
1万字を一度に渡すと、細部が落ちます。
序盤と終盤が残って、中盤の内容が薄くなる傾向があるからです。
だから、議題の区切りで分割します。
議題ごとに要約し、最後にまとめる形です。
「議題が切り替わっている箇所」を先に挙げさせて、そこで分割するとうまくいきます。
あるいは会議の側で対処して、アジェンダの議題ごとに録音を区切る運用にすると、後の処理が楽になります。
会議の運用と議事録の作成は、つながっています。
分割の作法そのものはファイルが大きくてAIに読めない。分割の作法を社内標準にするで扱っています。
議事録は、保管場所と一覧で検索できる状態にする
作った後の設計まで、手が回っているでしょうか。
まず保管場所を1つに決めてそこに蓄積し、個人のフォルダに置くと後から追えなくなります。
命名の規則も決めておき、「日付_会議名」という形にすると日付を先頭にした時系列で並びます。
あわせて、日付・会議名・決定事項の1行・参加者・議事録へのリンクを並べた一覧も作っておくと、後から探せるようになります。
また、議事録をまとめて参照できる状態にしておくのも効きます。
「この件について過去にどう議論されたか」を聞けると経緯を追う作業が短縮されるので、議事録を蓄積する価値はここに出ます。
保管期間と閲覧範囲もあわせて決めておき、人事や経営に関わる会議の議事録は範囲を限定します。

精度が出ない原因は、だいたい会議の側にある
運用に入ると精度の問題が出てきますが、原因はどこにあるでしょうか。
まず、発言者が特定できていない場合で、文字起こしに発言者の情報がないと誰の宿題か分かりません。
対処は、会議中に「これは〇〇さんの宿題ですね」と口に出す運用です。
次に、決定事項が曖昧に語られている場合で、「じゃあそれで」で終わると何が決まったか抽出できません。
対処は、会議の終わりに決定事項を口頭で確認することです。
さらに、宿題に期限が語られていない場合は、会議中に期限まで決めてしまいます。
3つとも会議の側の問題で、つまり議事録の精度は会議の進め方のほうで決まります。

だから「議事録の精度を上げる」ためにやることは、会議の終わりに5分使って決定事項と宿題と期限を口頭で確認する運用で、ここがいちばん効きます。
決めた内容をタスクに落とす話は決まったことが実行されない。アクションアイテムを自動でタスク化、会議前の準備は会議前15分のAI準備を制度にする。準備の質を組織でそろえるにまとめてあります。
つまずきやすいのは6つです。
型を決めずに要約を依頼する、発言の記録を残す、分量を決めない、最初からフローを組む、1万字を一度に渡す、保管場所と一覧を作らない。
どれも、4項目の型を先に決め、発言は残さず1200字に収め、表の中で3〜4回試し、議題の区切りで分割し、保管場所と一覧を用意すれば避けられます。
会議の進め方まで含めた議事録の仕組みづくりは、当社のAI伴走支援でも扱っていて、型を決めるところからAIワークフローの実装までを現場の担当者と一緒に進めています。
この作業に使える業務ツール「構造化議事録メーカー」は、詳しいページでできることと使い方を紹介しています。
議事録は型と分量を決めれば、仕組みで回せる
議事録が負担になるのは、分量が多い・何を残すか判断が要る・整える作業がある・後回しになる、の4つが原因です。
分量と整形はそのまま任せられ、判断は型で、後回しは仕組みで解決します。
要約の型は4項目で、「決定事項」「宿題」(誰が・何を・いつまでに)「結論が出なかったこと」・次回の日程と議題です。
発言の記録は入れず、記録が要件の会議だけ詳細版を別に作ります。
長い議事録はそもそも読まれないので、分量は1200字程度に収めます。
手段は、件数が少なく参加者が同じなら簡易な手段で足ります。
表の中で処理して3〜4回試し、型が固まってから自動化に進みます。
件数が多い・種類が複数・保管と通知が要る・担当が変わる場合は、フロー化します。
長い文字起こしは議題の区切りで分割するか、会議の側で録音そのものを区切っておきます。
保管場所を1つに決め、日付を先頭にした命名にして、一覧表を作っておきます。
精度が出ない原因は3つとも会議の側にあり、会議の終わりに5分使って決定事項と宿題と期限を口頭で確認するのがいちばん効きます。
4項目・1200字の議事録に寄せているチームほど、長い文字起こしに振り回されなくなっています。
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執筆:寺田昇平
AI Portalize株式会社 代表取締役/AI Digital Community 代表理事
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